実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.17
楽天の無人配送、海外製ロボット追加とシステム改良で届け先90カ所超に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 配送に回せる人手が足りない
- 短い距離の運搬に人件費がかさむ
- 無人配送を試したいが安全面が不安
どのようなAIの取り組み?
米国製の自動配送ロボットの採用と自社の配送管理システムの改良により、無人配送の対象店舗と届け先を広げた事例
業種
EC・宅配サービス(EC・物流)
取り組み領域
ラストワンマイル配送/無人配送
使ったAI
自動配送ロボット(自動運転AI・センサー)
主な成果
届け先が90カ所超に拡大し、取扱商品は4,500品以上へ
楽天グループは、東京都中央区の晴海周辺で、自動配送ロボットが商品を届けるサービス「楽天無人配送」を運営しています。配送体制を強化するため、米国で自動配送ロボットを展開するAvride inc.の機体を新たに採用しました。先進的な自動運転技術と多様なセンサー、アルゴリズムを備え、公道のような入り組んだ環境でも安全に自動走行できる機体で、日本のサービスで使われるのは今回が初めてです。機体の追加に合わせて、楽天は自社開発の配送管理システムに手を入れ、注文の内容に応じて最適なロボットを自動で割り当てる機能を組み込みました。本格導入の前には、経済産業省の補助事業を活用し、ロボット10台体制でサービスを提供する実証実験を行って、安全性と運用の流れを確かめています。
出典:楽天、商品配送サービス「楽天無人配送」において、新たなロボットの導入、対象店舗や地域の拡大などサービスを拡充 | 楽天グループ株式会社 発行元:楽天グループ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
晴海周辺で動いている「楽天無人配送」は、夜間や雨天といった、人が動きにくい時間帯・条件を含めて日々の配送を引き受けてきました。利用者が増えるにつれ、今度は注文をさばく配送体制そのものの強化が急務になっていきます。
配送業界の人手不足という言葉でくくられがちですが、ここで効いていた制約は、募集をかけても人が集まらないという採用の問題だけではないと考えられます。注文が伸びればその分だけ運ぶ手を増やさなければならないという、利用者数と必要な人員が比例してしまう事業の形そのものが、サービスを広げるうえでの上限になっていたのではないでしょうか。編集部の見立てでは、無人化はここで人件費を抑える手段というより、需要の伸びと人員の増加を切り離すための手段として選ばれています。
どうやって、うまくいったのか
走る性能そのものは外から調達し、それをどう動かすかは自社で握る。この役割分担が、体制強化のスピードを支えた設計だと考えられます。Avrideの機体は自動運転技術に加えて多様なセンサーとアルゴリズムを組み合わせ、公道のように人や車が入り混じる環境でも走行できることを特徴としています。走行という最も技術的難度が高い部分を自前開発の対象から外した判断が、既存サービスを止めずに新しい機体を戦力化する近道になったと読めます。
機体の追加とシステム改良を同時に進めた点も見逃せません。注文内容に応じて最適なロボットを自動で割り当てる機能を配送管理システムに実装したことで、性能や特性の異なる機体が混ざっても、どれをどの注文に充てるかの判断が仕組みの側で処理されます。ここが人の采配のままなら、台数が増えるほど現場の管理負荷が積み上がり、増強がそのまま配送能力の増加につながらない。割り当てを自動化した設計は、機体を足せば能力が伸びる構造をつくるための土台と言えます。
本格導入の前に、10台体制での実証実験を挟んだ段取りにも意図が見えます。経済産業省の補助事業を活用して安全性と運用の流れを検証するという進め方は、公道を走る以上どうしても避けられない安全面の確認を、サービス本番とは別の場で先に済ませておくやり方です。技術の性能を確かめるだけでなく、複数台をまとめて動かしたときに運用が回るかまで検証範囲に含めた点が、この段階の踏み方の要になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
サービスの提供範囲は目に見えて広がりました。対象店舗には従来のカフェやスーパーマーケットに加えてケーキ店とコンビニエンスストアが参画し、取り扱う商品数は4,500品以上へ増加。配送対象の地域も晴海全域から月島や勝どきの一部へと伸び、利用者が指定できるお届け場所は90カ所を超える規模になっています。Avrideの機体は今後順次10台まで増やす予定で、増強はまだ途上の段階です。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、決まった区域のなかで届け先が近い範囲に集まっている運搬でしょう。工場や事業所の敷地内、学校や病院の構内のように公道を通らない環境であれば、安全面の調整は比較的軽く済みます。運ぶ経路がほぼ固定されていて、荷物の受け渡し場所があらかじめ決まっている業務ほど、機体の力を借りやすい領域です。
一方で、公道を走らせる前提になると話は変わります。この事例でも本格導入の前に実証実験の期間が置かれているとおり、安全基準への適合と、沿道で暮らす人や通行する人の理解を得る過程は省けません。届け先が広く散らばり、一件あたりの移動距離が長い地域では、複数の機体をやりくりする仕組みの利点も出にくくなります。加えて、機体だけ用意しても、どの依頼をどの機体に振るかを決める仕組みがなければ、台数の増加は管理の煩雑さに変わってしまいます。
まずは自社のなかで、毎日ほぼ同じ経路を人が歩いて運んでいる荷物を一つ選び、その受け渡しに人の手がどこで必要になっているかを目で追ってみてはいかがでしょうか。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
楽天グループ株式会社
東京都中央区晴海周辺で自動配送ロボットによる小売店・飲食店の商品配送サービス「楽天無人配送」を2024年11月6日より展開。注文内容に応じて最適なロボットを自動割当する配送管理システムを独自開発している。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
