実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.17
計画立案時間を約70%削減、熟練者の勘まで学ばせた製氷会社の生産計画AI
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 季節で需要が大きく振れる商品を扱っている
- 計画づくりがベテラン一人頼みになっている
- 条件が多すぎて計画作成に時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
熟練者の勘と40を超える制約条件をAIに学ばせ、生産・輸送・在庫の計画立案時間を約70%削減したAI取り組み
業種
製氷業(食品製造)
取り組み領域
生産・輸送・在庫の計画立案
使ったAI
数理最適化を用いた計画最適化AI(日立「計画系業務最適化サービス」ベース)
主な成果
計画立案の業務時間を約70%削減
包装氷を手がける製氷事業者が、株式会社日立製作所との協創により、生産・輸送・在庫の計画立案を自動化するAIシステムを構築した事例です。土台になったのは、数理最適化(条件を数式で表し、最も条件に合う組み合わせを計算で選び出す技術)を用いた日立独自の「計画系業務最適化サービス」でした。ここに、生産能力をはじめとする40を超える制約条件と、これまで熟練作業者が経験則として抱えてきた勘や暗黙知を学習させています。扱う商品は約50品目、生産工場・輸送倉庫・輸送形態・日程の組み合わせは約200万通りに及びますが、システムはその膨大な選択肢の中から、制約を満たす最適な計画を自動で抽出します。手作業で行っていた計画立案の業務時間は約70%削減され、急な需要変動への計画修正も柔軟に行えるようになりました。
出典:製氷事業を展開するニチレイ・アイス 生産・輸送・在庫計画の立案業務をAIシステム開発により自動化!業務効率化と働き方改革を実現 - お知らせ - 冷凍食品・冷凍野菜はニチレイフーズ 発行元:株式会社ニチレイフーズ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
包装氷は季節性が非常に高く、需要の振れ幅が大きい商材です。その中で欠品も過剰在庫も避けながら生産・輸送・在庫の計画を組む作業は、人手で高い精度を保つには限界があり、実務上は特定の熟練作業者の経験と勘が支えていました。結果として、その担当者に負荷が集中する属人化が深刻化していきます。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「計算量が多いこと」そのものではありません。熟練者が日々くだしていた判断——どの工場でつくり、どの倉庫を経由し、いつ出すか——の良し悪しを決める基準が、本人の頭の中にしか存在せず、他の人が再現できる形になっていなかった点にあります。だからこそ人を増やしても解消せず、担当者が離れれば計画そのものが止まりかねない状態が続いていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、熟練者の勘を「非科学的なもの」として脇に置かず、制約条件と同じ土俵に載せた設計です。生産能力などの明文化しやすい条件が40を超える一方、暗黙知は本来そのままではシステムに入りません。それを学習対象として定義し直し、機械が扱える形に翻訳したことが、実務で使える計画を出せるかどうかの分かれ目になったと考えられます。現場が納得できる計画とは、制約に違反していない計画ではなく、熟練者ならそう組むだろうという判断まで再現された計画だからです。
もう一つは、問題の立て方を変えたことです。品目・工場・倉庫・輸送形態・日程の組み合わせが約200万通りある状況で、人が良さそうな案を探して比較する方式を続けるかぎり、精度も速度も担当者の力量に縛られます。これを、条件を満たす解を計算で抽出する数理最適化の形に置き換えた選択が、選択肢の多さを弱点から強みへ反転させました。組み合わせが多いほど、人手より計算のほうが有利になる領域だからです。
土台にゼロからの開発ではなく、日立が持つ既存の「計画系業務最適化サービス」を据えた進め方も見逃せません。汎用的な最適化の仕組みはパートナー側の資産を使い、事業者側は自社固有の制約と暗黙知の定義に力を割く。この役割分担により、労力を注ぐべき場所が「自社にしかない知見の言語化」に絞り込まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
手作業で行っていた計画立案の業務時間は、約70%削減されました。加えて、季節要因などによる急激な需要変動に対しても、生産・輸送・在庫の計画を柔軟かつ迅速に修正できるようになり、計画そのものの質が向上しています。長年の課題だった属人化が解消され、特定の熟練者に偏っていた業務負荷が軽くなった点は、時間短縮以上に大きな変化と言えます。働き方改革に直結する成果として位置づけられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、選ぶべき組み合わせが数千・数万規模に膨らむ一方で、良し悪しの判断基準を条件の形に書き下せる業務です。季節変動の大きい商材を扱う製造・卸、複数拠点を経由する物流、シフトや配車の割り当てなどは、この事例と構造が近いと言えます。逆に、判断の理由が「その日の空気」や取引先との個別交渉に左右され、条件として固定できない業務では、同じ形はそのまま持ち込めません。また、この事例では品目・工場・倉庫・日程といった選択肢が離散的に定義でき、制約も列挙できたからこそ計算に載りました。自社の計画業務がそこまで整理できていない場合、最初のハードルは技術ではなく定義作業のほうにあります。
試すなら、直近に立てた計画のうち、担当者が途中で手を加えた箇所を一つ取り上げ、その変更理由を「◯◯は不可」「◯◯を優先」という条件の言い方に置き換えられるか確かめてみてはどうでしょうか。置き換えられる判断がある程度そろうなら、数理最適化に載せられる見込みが立ちます。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ニチレイ・アイス
出典・参考情報
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