実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.17
生成AIがカメラ映像から冠水を判定、監視労力8割減を確認した照明メーカーの実証
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- カメラ映像の目視確認に人手を取られている
- センサーを置けない場所の異変に気づけない
- AI開発の学習コストが高くて手が出せない
どのようなAIの取り組み?
1分ごとのカメラ画像を生成AIに判定させ、冠水監視の目視をなくせるかを確かめたAI取り組み
業種
照明機器製造(製造業)
取り組み領域
防災サービス/カメラ映像による監視
使ったAI
生成AI(Amazon Bedrock/Claude 3 Haiku・Sonnet)
主な成果
実証で監視員の労力を約80%削減
照明機器メーカーの岩崎電気は、冠水しやすい場所に水位検知器を置いて警告を出す防災サービスを手がけています。センサーを設置できない地点ではカメラ映像を人が見て確認するしかなく、この確認を生成AIに任せられるかどうかの検証に踏み出しました。使われたのはAWSの生成AIサービスであるAmazon Bedrockと、業務での使いどころを試すためのアプリケーションGenU(Generative AI Use Cases JP)で、AWSパートナーの株式会社ベンジャミンがサーバーレス構成の構築と機能追加を担っています。1分ごとに取り込むカメラ画像を生成AIが読み取り、冠水かどうかを判定する仕組みで、企画から2か月でプロトタイプが立ち上がりました。実証では、監視員の労力を約80%削減できることが確かめられています。
出典:岩崎電気株式会社様の AWS 生成 AI 事例「カメラ付き照明で冠水検知を実現。照明の専門メーカーとして80年以上の歴史を持つ製造業のモノとコト融合 | Amazon Web Services ブログ 発行元:Amazon Web Services
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
冠水を自動で知らせるには水位検知器が要る。この前提が、同社の防災サービスには長く置かれていました。センサーを設置できる場所は自動で警告が出せる一方、設置できない地点はカメラ映像をスタッフが見続けるしかなく、監視の負担がそこへ集中していました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は目視という作業の重さそのものではなく、「機器で測れる場所」と「測れない場所」の間に空いた落差を、人の目で埋め続けなければならなかった点にあります。しかも、その落差を技術で塞ごうとすると、従来型の画像認識AIは学習にかかる手間が重く、投じた分の成果が返ってくるかも読めません。負担がはっきり見えていながら投資判断に踏み切れない、そんな膠着が続いていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
判定を一種類のAIに任せず、難易度によって処理先を分けたところに、この仕組みの設計思想が表れています。大部分の画像は安価で高速なClaude 3 Haikuが引き受け、判断に迷うケースだけを高性能なClaude 3 Sonnetへ回す二段構えです。1分間隔で画像が届き続ける監視業務では、1枚あたりの処理費がそのまま運用費として積み上がります。全件を高性能モデルに通す発想を捨て、精度を厚く見るべき場面を絞り込んだ切り分けが、日常的に回し続けられる構成を成り立たせたと考えられます。
学習用のデータを集めてモデルを育てるのではなく、プロンプト(AIへの指示文)を書き直しながら精度とコストの落としどころを探る進め方も効いています。ユースケース検証用のアプリケーションGenUを土台に据えたことで、試したい判定条件をすぐ書き換えて結果を確かめるサイクルが短く保たれました。企画からプロトタイプ完成まで2か月という速さは、作り込む前に確かめるという順序を崩さなかった帰結でしょう。
入力される画像そのものの質をハード側で担保した点も見逃せません。照明とカメラを一体にしたデバイスは照明機器メーカーならではの持ち物で、暗がりの現場でも判定に耐える映像を送り出せます。AI側の指示をどれだけ練っても、何が写っているか判別できない画像からは答えは出ません。なお、サーバーレス構成の設計と追加機能の開発はAWSパートナーの株式会社ベンジャミンが担い、自社は現場条件とデバイスの強みを持ち寄るという役割分担が敷かれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実証では、1分ごとの画像判定によって24時間の道路監視を自動で回せることが確かめられ、常時張り付く必要がなくなったことで監視員の労力は約80%削減されています。照明とカメラの一体型デバイスにより、従来は難しかった暗所でも鮮明な画像が得られ、高精度な検知につながりました。参加したエンドユーザーからも、自動で冠水を知らせてくれるため監視業務の負荷が大きく軽くなったとの評価が寄せられています。今後は火災や交通事故へと検知対象を広げること、通知方法を増やすことが計画されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判定したい状態を言葉で説明でき、その状態が画像にはっきり現れる業務です。「水が路面を覆っているか」のように文章で書き下せる対象なら、学習用データを大量に用意しなくても、指示文を調整しながら判定の輪郭を詰めていけます。反対に、わずかな色味や質感の違いを見分ける検査のように、判定の根拠を言葉にしづらい領域では同じ進め方は通りにくくなります。
もう一つの分かれ目は、画像の質を自分の側で整えられるかどうかです。この事例では照明とカメラが一体という自社の資産が効いていますが、既設のカメラを流用する場合は、画角や夜間の明るさをどう確保するかが先に問われます。見逃しがそのまま被害につながる用途なら、AIの判定を最終判断にしない逃げ道も要ります。手始めに、手元の監視カメラ画像を数枚選び、知りたい状態を一文で書いてAIに尋ねてみてはいかがでしょうか。どんな写り方のときに答えがぶれるのかが分かれば、自社で使えるかの見当はかなりつきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:経営・企画
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
岩崎電気株式会社
照明の専門メーカーとして80年以上の歴史を持つ製造業。冠水しやすい場所に水位検知器を設置し、しきい値を超える水位を検知すると近くの警報表示板に警告を表示するサービスを提供しており、カメラ付き照明による遠隔での状況確認にも対応する。
出典・参考情報
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