実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.17
社内規格の検索を最大80%短縮、機密を外に出さない産業機械メーカーの生成AI
プロジェクト期間:半年〜 1年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内ルールの確認に時間がかかる
- 専門的な仕様書のチェックが大変
- 機密データがありAIを使えない
どのようなAIの取り組み?
社内規格の検索と英文仕様書のレビューに生成AIを使い、規格を探す時間を最大80%短縮した取り組み
業種
産業機械・装置の製造(製造業)
取り組み領域
製造現場の規格確認・仕様書レビュー
使ったAI
製造業向けアシスタントAI(生成AI)
主な成果
規格検索の作業時間を最大80%削減
日立インダストリアルプロダクツは、ポンプや送風機といった大型産業機械をつくるメーカーです。事務作業ではすでに生成AIを使っていたものの、製造の現場では、顧客向け図面などの機密データを外部サービスに預けられないこと、自社ノウハウが詰まった工程に汎用サービスが噛み合わないことが障壁になっていました。そこで日立システムズの「製造業向けアシスタントAI」を採用し、外部とつながらない閉じた環境で二つの仕組みを開発します。ひとつは社内の製造規格を学習させ、作業内容を尋ねると該当する規格を引用元つきで返す確認支援AI。もうひとつは英文の塗装仕様書を翻訳し、対応できない要求や記述の矛盾を洗い出すレビューAIです。いずれも、規格を探す時間とレビューの工数の短縮につながっています。
出典:製造業向けアシスタントAI導入事例:株式会社日立インダストリアルプロダクツ様:株式会社日立システムズ 発行元:株式会社日立システムズ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
事務作業では生成AIが機能していたのに、本業である製造領域には手が届かない。理由として挙げられていたのは、顧客向けの製品図面など機密性の高いデータを扱う以上、一般的な生成AIでは情報漏えいの危険があること、そして自社のノウハウが凝縮された工程が多く、汎用のサービスでは十分な効果を見込めないことの二点でした。
編集部の見立てでは、ここでの壁は生成AIの性能そのものではなく、汎用サービスが前提とする「広く知られた知識を、外部の環境で扱う」という枠組みと、製造現場が抱える情報の性質がずれていた点にあります。規格も仕様書も、外に出せず、かつ社外の知識では代替できない。裏を返せば、閉じた場所に自社の文書を置くことができれば解ける問題だったと整理できます。
どうやって、うまくいったのか
出力に必ず引用元を添えるという設計が、この取り組みの実務性を支えています。規格の確認は、それらしい文章が返ってくるだけでは足りず、どの規格のどこに書かれているかまで示されて初めて次の作業へ進めます。回答そのものを最終解にせず、担当者を原典まで案内する道具としてAIの役割を定めた判断が、もっともらしい誤りが混じりうるという生成AIの弱点を、業務が止まらない範囲に収めているのではないでしょうか。
学習させる対象を、全社・工場別・部門別と階層の異なる社内規格や、過去の仕様書とそこで実際に出された指摘事項に絞った点も効いています。汎用の知識では届かない領域だと分かっていたからこそ、閉じた環境を用意したうえで自社文書そのものを持ち込む構成が選ばれたと読めます。とりわけ仕様書レビューでは、過去に人が「これは対応できない」「ここが矛盾している」と判断した記録が学習素材になっており、熟練者の判断基準を教材の形に置き換える設計になっています。
開発を一度きりで終わらせず、テストとチューニングを反復して精度を積み上げる進め方も見逃せません。仕組みづくりと継続的な支援は日立システムズが担い、紙などアナログのまま残っていたデータをデジタル化する地道な工程まで含めて伴走しています。生成AIが扱える状態へ社内文書を整えるところから作業が要る以上、納得のいく精度に届くまで手を入れ続けられる体制そのものが、成立の条件だったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
製造規格の確認支援AIでは、1回あたり約5分を要していた規格検索が約1分になり、最大80%の作業時間削減につながりました。仕様書レビューAIでも、1件あたり平均約30時間だった作業が約18時間となり、約40%の工数削減が確認されています。経験の浅い作業員でも必要な情報にたどり着けるようになった一方、作業手順書作成の精度向上は現時点では期待の段階です。現場に加えて経営層からの関心も高く、業務プロセスの標準化を進めながら活用の幅を広げる方針が示されています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、答えが社内の文書に書かれていて、担当者はそれを探し当てて突き合わせる、という性質の業務です。規格の確認も仕様書のレビューも、判断の根拠が文書として存在するからこそ、引用元を示す仕組みが意味を持ちます。膨大な社内規定を参照する場面や、取引先から届く要求仕様を自社の対応可否と照らす場面であれば、業種が変わっても構図は近いはずです。
反対に、同じ確認作業でも部門ごとに手順や書式がばらばらだと、その差の数だけ作り込みが増え、開発の負担が膨らみます。過去の指摘が個人のメモや口頭のやり取りにとどまって記録に残っていない場合も、レビューを任せるための学習素材が足りません。まず試すなら、直近のレビューで出た指摘をいくつか並べ、それぞれが規格や仕様書のどこに紐づくのかを追ってみるところから。紐づけられない指摘が多いようなら、AIより先に整えるべきものが見えてきます。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社日立システムズ
製造業向け生成AIサービス「製造業向けアシスタントAI」を提供する企業。生成AI専門チームにより、ユースケース開発からチューニング・カスタマイズまで一貫した伴走支援を行う。
株式会社日立インダストリアルプロダクツ
出典・参考情報
製造業向けアシスタントAI導入事例:株式会社日立インダストリアルプロダクツ様:株式会社日立システムズ
発行元:株式会社日立システムズ
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
