実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.17
レオパレス21の社内AIチャット、1人月8時間削減を生んだ二段階の展開
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内規定を探すだけで時間が過ぎる
- マニュアルのどこに答えがあるか分からない
- 情報漏えいが不安で生成AIを使えない
どのようなAIの取り組み?
社内規約やマニュアルを学習させた自社開発のAIチャットで、資料探しの手間を減らしたAI取り組み
業種
不動産業(建設・不動産)
取り組み領域
社内の情報検索/バックオフィス支援
使ったAI
生成AIチャット(Azure OpenAI Service)
主な成果
利用者1人あたり月間約8時間の業務時間を削減
レオパレス21は、従業員が社内規約や業務マニュアルを参照する際の検索負担を減らすため、社内向けの生成AIチャットシステム「LeoAI Chat」を自社開発しました。基盤には日本マイクロソフトが提供するAzure OpenAI Serviceを採用し、入力したデータがAIの再学習に使われない仕様を選ぶことで、社内情報を扱ううえでの安全性を担保しています。2023年11月の本格導入では全従業員がイントラネット経由で使える環境を整え、あわせてデジタルリテラシー教育の実施と生成AI利用ガイドラインの策定を並行して進めました。翌2024年4月のバージョンアップでは、社内規約、業務マニュアル、過去の事例、FAQといった社内データをAIに学習させ、チャットで質問すれば必要な回答が直接返ってくる形にしています。
出典:社内向け生成AIチャットシステム「LeoAI Chat」をバージョンアップ | ニュース | 株式会社レオパレス21 発行元:株式会社レオパレス21
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
導入前の従業員は、社内ポータルに掲示された膨大なファイル群から目的の資料を探し当て、さらにその中身を読み進めて該当箇所を自力で特定する必要がありました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は資料の量そのものではなく、探す作業が二重構造になっていた点にあります。目的のファイルにたどり着くまでが一段階目、開いた文書の中から答えを見つけるのが二段階目で、どちらも「どこに何が書かれているか」の見当がついている人ほど短時間で終わる作業です。裏を返せば、検索にかかる時間の差は業務経験の長短がそのまま所要時間に跳ね返る構造だったのではないでしょうか。参照の機会が多い業務ほど、この差は日々静かに積み上がっていきます。
どうやって、うまくいったのか
入力したデータが再学習に使われないという仕様を、土台となるサービス選定の条件に据えたことが、この取り組みを成立させています。社内規約やマニュアル、過去の事例といった外部に出せない文書をAIに読み込ませる前提に立つ以上、安全性が曖昧なままでは検討そのものが前に進みません。既製のサービスをそのまま使うのではなく、Azure OpenAI Serviceを基盤に据えたうえで自社開発でチャットシステムを組み上げた構成は、大規模言語モデルの能力と情報の閉じ込めを同時に成立させる選び方だったと考えられます。
機能を一度に完成させず、二段階に分けて広げた進め方も効いています。2023年11月の本格導入時点では、まず全従業員がイントラネットから使える環境を用意することに主眼が置かれ、社内データの学習は2024年4月のバージョンアップまで待つ形になりました。この順序には、AIに質問するという行為そのものに社員が慣れる期間を先に確保する意味があったのではないでしょうか。人が集まってから中身を入れる進め方は、精度の高い仕組みを作ったのに誰も使わないという典型的なつまずきを避けるうえで理にかなっています。
ツールの提供と同時にデジタルリテラシー教育とガイドライン策定を走らせた点は、技術面の工夫と同じ重みで見るべきところです。生成AIは聞き方によって返ってくる答えの質が大きく変わるため、使う側の技能が成果をそのまま左右します。教育とルール整備を後追いにせず並走させた設計には、導入初期に「使ってみたが役に立たない」という評価が固まってしまう事態を防ぐ働きがあったはずです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実際に利用している従業員では、1人あたり平均で月間約8時間の業務時間削減という定量的な成果が出ています。資料を探す作業が丸ごと消えたというより、探し当てるまでに費やしていた時間が、質問して回答を受け取る時間に置き換わった結果と読むのが自然でしょう。同社は2024年内を目途に、規約やマニュアルにとどまらない幅広い社内業務データの学習を進め、データドリブン経営の実現とDX推進を加速させる方針を掲げています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、業務の判断基準や手順が文書として存在し、それが現行版として維持されている組織です。規約やマニュアルが整っているのに参照に手間がかかっている、という状態であれば、この事例と同じ構図に当てはまります。
逆に持ち込みにくいのは、同じ手順の文書が部署ごとに枝分かれしていたり、改訂されないまま古い版が残っていたりする場合です。AIは読ませた文書の内容をもとに答えるため、矛盾した記述が混在していれば、そのままもっともらしい誤答の材料になります。学習させる前に、どの文書を正とするかを決める作業が避けられません。また全社に開くタイプの仕組みは、使う人の質問の仕方によって体感がばらつくため、教育やルールの整備を後回しにすると効果が伸びにくい点にも注意が必要です。
最初の一歩としては、この一週間で社内の誰かに口頭で尋ねられた「あれはどこに書いてありますか」という質問を、そのまま書き留めてみてください。何を先に学習させるべきかの順番は、そこに現れます。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社レオパレス21
賃貸事業、開発事業、シルバー事業・その他事業を展開する企業。全従業員がイントラネットを通じて利用できる社内向け生成AIチャットシステム「LeoAI Chat」を社内開発で構築し、2023年11月に本格導入した。
出典・参考情報
社内向け生成AIチャットシステム「LeoAI Chat」をバージョンアップ | ニュース | 株式会社レオパレス21
発行元:株式会社レオパレス21
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
