実施 2023.03 ・ 更新 2026.08.17
顧客の価値観をAIで分析し購入率約12倍、ローソンのクーポン最適化
プロジェクト期間:3年以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- お客ごとに響く販促が打てない
- データ整理で手一杯になる
- 分析できる人材が社内にいない
どのようなAIの取り組み?
購買履歴と会員ごとの価値観データをAIで分析し、クーポンの配信先とデザインを出し分けて商品購入率を約12倍に高めた取り組み
業種
コンビニエンスストア(小売)
取り組み領域
販売促進・マーケティングのデータ分析
使ったAI
dotData(特徴量抽出を自動化するAI分析基盤)
主な成果
クーポン配信で商品購入率が約12倍に向上
全国約1万5000店舗を展開するローソンは、購買履歴と会員別の価値観情報を組み合わせた販促を狙っていましたが、その手前にあるデータマートの整備が人手頼みで、肝心の「価値観と購買の関係」を調べる余力が残らない状態にありました。そこでNECの支援のもと、データマートを自動で生成し、独自のAIで特徴量抽出まで自動化するdotDataを採用しています。選定の前には外部の大手データ分析コンサル企業と同じ条件を与えて結果を比較し、精度を確かめました。さらに自社の独自UIにdotDataを組み込み、マーケティング部門の担当者が項目の入力とパラメータの選択だけで予測モデルを作れる環境を整えています。大手菓子メーカーとの取り組みでは予測スコアに応じてクーポンのデザインを出し分け、商品購入率が約12倍に伸びました。
出典:ローソンが「デジタル人材不足の壁」を打ち破った方法とは ~最先端AIでターゲティング広告の商品購入率が約12倍に~ 発行元:NEC
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
価値観に合わせて販促を届けるという狙い自体は、はっきりしていました。詰まっていたのはその手前です。価値観の分類は複数の因子から成り立つため、さまざまなデータソースから分析に必要な項目を精査し、データマートに仕立て直す作業が発生します。これが職人的な手作業として担当者に積み上がり、工数の大半をそこで使い切ってしまう。本来いちばん時間を割きたい価値観と購買の関係を読み解く作業まで、手が伸びませんでした。外部のデータサイエンティストへ委託する道もありましたが、条件を変えるたびに柔軟に動けず、費用の面でも折り合いがつきにくかった。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は分析力の不足ではなく、分析に着手するまでの助走が長すぎたことにあります。データも問いも手元にあるのに、下ごしらえが人の手に握られている限り、試行の回数は増やせません。デジタル人材不足という言葉で語られがちな問題の実体は、限られた人手を前工程が先に食い潰してしまう構造だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
自動化の的を「分析そのもの」ではなく「分析にたどり着くまでの前工程」に定めた切り分けが、この取り組みの起点です。dotDataが担ったのは、データマートの自動生成と、予測に効く特徴量をAIが自動で抽出する部分でした。ここを機械に渡せば、人が向き合う対象は、どの価値観がどの商品と結びつくのかという解釈の作業に寄っていきます。手を動かす量ではなく考える時間を増やすほうへ配分を変えた設計と言えます。
導入を決める前に、外部の大手データ分析コンサル企業と同じ条件を与えて結果を突き合わせる比較テストを挟んだ進め方も効いています。一流のデータサイエンティストと遜色ない精度だと確認できたことで、自動化した結果を業務判断に使ってよいという土台ができました。さらに評価軸は精度だけに閉じず、全国約1万5000店舗から日々積み上がるデータの変化や追加に追随できるかという運用条件も見ています。実験室での当たり外れではなく、更新され続けるデータの上で使い物になるかを先に確かめた点が、その後の定着を左右したと考えられます。
独自UIにdotDataを組み込み、必要な情報の入力とパラメータの選択だけで予測モデルを作れる形にしたことも、見逃せない工夫です。高機能なツールをそのまま現場へ渡せば、結局は使いこなせる一部の人に依存が戻ります。分析の知識や経験がない担当者の操作の語彙に合わせて入口をつくり替えたからこそ、販促を企画する当人が自分の仮説を自分で試せるようになりました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
価値観に基づくターゲティングはローソンが構築するBIツールに組み込まれ、販売促進から商品開発、メーカーとの連携まで使われています。大手菓子メーカーとの取り組みでは、AIが分析した会員の価値観と商品の購買関係をもとにデザイナーが複数のレシート・クーポンのデザインを用意し、予測スコアに応じて会員ごとに最適な一枚を配信しました。結果はターゲティング精度の向上で4倍、デザインの最適化で3倍、合わせて商品購入率が約12倍。誰に配るかと何を見せるかを別々に磨いた効果が掛け合わさった形です。今後はスマホアプリと連携したカスタマージャーニーの設計や、Cookieレス時代の新しいデータマネジメントモデルとしての活用も視野に入っています。
うちでも使える?
会員IDに購買履歴が継続して紐づいていて、購買以外の属性情報を別に持っていること。そして、クーポンのように相手ごとに出し分けられる打ち手があること。この三つが揃う業種なら、同じ考え方は小売以外でも成り立ちます。逆に、来店客が匿名で購買が一回きりに近い業態や、販促手段が全店一律の値引きしかない場合は、予測スコアを作れても配り分けができず効果が現れにくいでしょう。分析基盤を入れる前に、出し分けの受け皿があるかを見ておくのが安全です。
もう一つ、この事例で成果が伸びたのは配信先の精度だけではありません。同じ相手に何を見せるかというクリエイティブ側も併せて変えています。まずは既存の販促のうち反応が割れている一つを選び、送る相手を絞る案と、見せ方を変える案を分けて試してみる。どちらが効いているのかを切り分けられる状態をつくることが、AIに任せる範囲を決める判断材料になります。
この事例は2023年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ローソン
約1万5000店舗のコンビニエンスストアを展開する小売企業。購買履歴と会員別の価値観情報をもとにした「価値観に基づいたターゲティング」に取り組み、自社の販売促進や商品開発のほか、取引先メーカーの商品開発・販促活動の支援にもデータを活用している。
出典・参考情報
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