実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
旧式システムの開発時間を最大70%短縮、TOPPANの業務特化型AI検証
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 古いシステムを直せる人がいない
- 生成AIを入れたが成果が出ない
- 社内システムの保守に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
自社サーバー上に構築した業務特化型の生成AIで、旧世代言語のプログラム解読とコード生成を支え、検証で作業時間の最大約70%短縮を確認したAI取り組み
業種
総合印刷(印刷・情報コミュニケーション)
取り組み領域
社内システムの開発・保守
使ったAI
OSSベースの業務特化型LLM(生成AI)
主な成果
検証でシステム稼働確認までの時間を最大約70%短縮
TOPPANホールディングスが用意したのは、社内システムのプログラム開発業務だけを対象にした生成AIです。OSS(公開されていて自由に改変できるソフトウェア)をもとにした大規模言語モデルを自社サーバー上に置き、開発の中身を外部へ出さずに使える環境としました。対象業務を絞ることで学習させる量を抑え、半自動の更新の仕組みによって参照する情報を高い頻度で最新に保っています。業務の内容や求められる精度に応じてモデルの性能と動かす環境を選び分け、複数の特化型モデルは「LLM-HUB」という一つの入り口に集約されました。2023年8月から10月にかけてデジタルイノベーション本部で行われた検証では、プログラムの要約とコード生成に用いた結果、システムの稼働確認までにかかる時間が最大約70%短縮されています。
出典:TOPPANホールディングス、生成AIを活用し、社内システムプログラム開発の業務効率が約70%向上 | TOPPANホールディングス株式会社 発行元:TOPPANホールディングス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
起点にあったのは、旧世代のプログラミング言語で書かれたシステムを読み解き、手を入れられる人が足りないという事情です。DX(デジタル技術による業務や事業の作り替え)で新しい仕組みを立ち上げる動きが加速するほど、すでに動いている社内システムの面倒を見る担い手は薄くなっていきます。加えて、国内グループ従業員約2万人へ汎用の文章生成AIをすでに展開していたにもかかわらず、実務の現場では具体的な効果に結びつかない場面が残っていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は人数の不足そのものではなく、古いコードを解読する知識が特定の担い手の中に閉じたまま、社内で共有できる形になっていなかったことにあります。汎用AIが実務で効かなかったのも、同じ構造の裏返しではないでしょうか。世の中の一般的な知識をいくら参照できても、自社のシステムがどう組まれているかは、その中に含まれていないからです。
どうやって、うまくいったのか
用途を社内システムのプログラム開発に絞り、OSSベースの大規模言語モデルを自社サーバー上に構築した設計が、この取り組みの土台になっています。機密性の高い開発資産を外部のサービスに預けずに済むうえ、扱う範囲を限定したぶん学習させるべき量そのものが小さくなります。広く賢いモデルを目指すのではなく、狭い範囲で確実に当てにいく。この割り切りが、自社サーバーでの運用という重い選択を現実的な負担に収めたのだと考えられます。
更新を半自動化し、高い頻度で最新の状態を保つ体制を組み込んだ点も見逃せません。特化型のAIは対象業務に密着している分だけ、社内の仕組みが変わった瞬間に内容が古びます。更新が人手頼みだと、日々の忙しさに押されて後回しになり、やがて誰も参照しなくなる。手を掛けずに回り続ける形にしたことが、検証止まりで終わらせないための条件になっていたと見ています。
業務の要求レベルに合わせてモデルの性能と構築環境を選び分け、その入り口を「LLM-HUB」へ一本化した構成にも狙いが読み取れます。用途ごとに最適なモデルを揃えれば、どれを使うべきかという判断が利用者側に降りてきますが、入り口を一つに集約すればその迷いは生じません。開発支援にとどまらず技術伝承の器としても位置づけられているのは、ここに使い方と知見が集まる構造だからでしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2023年8月から10月にかけてデジタルイノベーション本部で行われた検証では、プログラムの要約とコード生成に生成AIを用い、システムの稼働確認に至るまでの時間が導入前と比べて最大約70%短縮されました。この先は国内外のシステム開発支援へ広げ、レガシーシステム対応を含む社内全体の開発保守工数を30%削減することが目標に掲げられています。研究サポート業務や技術アーカイブといった専門領域への応用、業務特化型LLMの外販も視野に入っています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、対象の業務がはっきり切り出せて、その業務に紐づく社内の蓄積が形として残っている場合です。既存のソースコードや設計資料、過去の対応履歴といった素材の厚みと、絞り込みの明確さが、特化型AIの使いものになる度合いを左右します。逆に、判断の理由が資料に残らず担当者の記憶と口頭のやりとりだけで進んできた領域では、業務を絞っても学習させる中身が集まらず、汎用のAIとの差は出にくいでしょう。
もう一つの分かれ目は体制です。自社サーバーでOSSの大規模言語モデルを動かす形は、外部サービスを契約する場合と違い、環境をつくり、モデルを更新し続ける担い手が社内に要ります。この事例が更新の半自動化にわざわざ手を掛けているのは、その負担を織り込んだ結果とも読めます。まずは、いま人手が詰まっている作業を一つ選び、市販の汎用AIへそのまま投げてみてはどうでしょうか。どこから答えが的外れになるか。その境界線こそが、自社に特化した仕組みが必要になる地点です。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
TOPPANホールディングス株式会社
TOPPANグループの持株会社(代表取締役社長:麿秀晴、本社:東京都文京区)。国内グループ従業員約2万人に汎用型文章生成AIサービスの活用を推進し、デジタルイノベーション本部を中心に業務特化型LLMによる生成AI活用を進めている。
出典・参考情報
TOPPANホールディングス、生成AIを活用し、社内システムプログラム開発の業務効率が約70%向上 | TOPPANホールディングス株式会社
発行元:TOPPANホールディングス株式会社
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