実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.17
LINEヤフー、全従業員1万1千人に生成AI活用を義務化した働き方の組み替え
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを配ったのに誰も使わない
- 資料をいつも白紙から作っている
- 会議が多くて自分の仕事が進まない
どのようなAIの取り組み?
全従業員約11,000人に生成AIの活用を義務づけ、調査・資料作成・会議という共通業務の進め方そのものを組み替えたAI取り組み
業種
情報通信(IT・インターネットサービス)
取り組み領域
全社共通業務(調査・検索/資料作成/会議)
使ったAI
ChatGPT Enterprise(生成AI)、社内検索ツール「SeekAI」
主な成果
生成AI活用機能51件を導入、社内効率化プロジェクトは35件以上が進行
LINEヤフーは、約11,000人の全従業員を対象に、生成AIを使うことを前提とした働き方へ切り替えました。的を絞ったのは、調査・検索、資料作成、会議という、業務時間のおよそ3割を占める共通領域です。2025年6月に全従業員へChatGPT Enterpriseのアカウントを付与し、社内規則を調べる場面では自社の業務効率化ツール「SeekAI」を使うなど、用途ごとに使う道具を決めています。あわせて「まずはAIに聞く」「資料をゼロベースで作らない」といった業務ルールを明文化し、会議も議題整理や議事録をAIに任せて出席者を絞る形へ改めました。利用の条件として必須研修と試験合格を課し、全部署に活用推進者を配置しています。
出典:【LINEヤフー】全従業員約11,000人を対象に業務における「生成AI活用の義務化」を前提とした新しい働き方を開始 | LINEヤフー株式会社のプレスリリース 発行元:LINEヤフー株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
課題として置かれていたのは、調査・検索、資料作成、会議という、業務時間の約3割を占める領域でした。いずれも特定の部署に閉じた作業ではなく、職種を問わず毎日発生する共通業務です。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「AIを使える人が足りない」ことではなく、仕事の手順が人の手作業を前提に組まれたまま残っていた点にあるのではないでしょうか。資料は白紙から書き起こす、会議は関係しそうな人を広めに呼ぶ。そうした既定の進め方が動いている限り、新しい道具は手順の外側に置かれた選択肢にとどまります。3年で生産性を2倍にする目標を掲げたとき、埋めるべき差はツールの有無ではなく、業務の初期設定の側にあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、義務化を掛け声で終わらせず、日々の作業単位のルールへ翻訳したことでしょう。「調査はまずAIに聞く」「資料はゼロベースで作らない」という言い方は、担当者がその都度使うかどうかを迷う余地を残しません。AIによるアウトライン作成や文章校正を標準の手順に据えたことで、AIを使うことが例外ではなく既定の動作になります。行動が変わりにくいのは意欲の問題というより既存の手順が持つ引力によるもので、その手順自体を書き換えた設計が定着を左右したのではないでしょうか。
会議の扱いには、AIを作業補助ではなく参加の設計に使う発想が表れています。事前の議題整理と議事録作成をAIに任せ、任意参加者は議事録での把握にとどめると決めたことで、出席の要否を判断する基準がはっきりしました。社内規則の検索には自社ツール「SeekAI」、社外の情報収集にはプロンプト例と、扱う情報の性質で入り口を分けた切り分けも、実務で迷いを生みにくくしています。
利用条件にリスク管理とプロンプト技術の必須eラーニングと試験合格を紐づけた設計は、義務化を支える側の工夫です。一斉展開すれば情報の取り扱いは必ず論点になりますが、教育を通過した人だけが使う形にすれば、利用を広げることと統制を効かせることが一つの仕組みの中で成立します。全部署に生成AI活用推進者を置き、社内表彰や社員アンバサダー制度で定着を後押しする体制も、旗振り役を一部門に抱え込ませない配り方です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年7月14日時点で、個人向けサービスを中心に生成AIを活用した機能が51件導入され、社内業務でも効率化を狙ったプロジェクトが35件以上動いています。これらの数字が示すのは削減できた時間そのものではなく、AIを前提にした施策が全社の各所で立ち上がっている状態です。3年で生産性を2倍にするという目標はまだ途上にありますが、働き方の前提を変える動きは具体的な形で進んでいます。
うちでも使える?
調査、資料作成、会議はどの業種にも共通する作業なので、ルールの考え方そのものは規模を問わず持ち込みやすい部分です。特に「白紙から作らない」「議事録で足りる人は出席しない」といった線引きは、ツールの追加投資がなくても今の環境で試せます。
一方、そのまま同じ形にするのが難しい点もあります。全従業員へのアカウント付与、必須研修の作成と試験の運用、全部署への推進者配置は、それを回す事務体制と費用の裏付けがあって成り立つ仕組みです。社内規則の検索を専用ツールで担う設計も、参照すべき文書が整理されていることが前提になります。顧客ごとに条件が異なる個別対応が業務の中心で、繰り返し発生する資料や定例会議が少ない職場では、効果の出方は小さくなるでしょう。
手をつけるなら、次に開く定例会議を一つ選び、議事録をAIで作る前提で招集範囲を引き直してみてはどうでしょうか。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
LINEヤフー株式会社
情報通信業を営む東証プライム上場企業。代表者は出澤剛。「『WOW』なライフプラットフォームを創り、日常に『!』を届ける。」をミッションに掲げる。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
