実施 2024.06 ・ 更新 2026.08.17
西松建設が検証、トンネル工事の設備配置をAIで自動生成しベテランの経験をデータ化
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 計画づくりがベテラン頼み
- 配置や段取りの検討に時間がかかる
- 若手が同じ品質の計画を作れない
どのようなAIの取り組み?
西松建設とONESTRUCTIONが、条件を入力すると複数の設計案を自動でつくる手法でトンネル工事の仮設備配置計画を組み立て、ベテランの知識をデータの形に置き換えることに取り組んだ事例
業種
総合建設業(建設・土木)
取り組み領域
工事現場の仮設備配置計画
使ったAI
ジェネレーティブデザイン(設計案の自動生成)とDynamo
主な成果
計画作業の効率が大幅に向上する見込み
山岳トンネル工事の現場では、プラントや資材のストックヤードといった仮設備をどこに置くかが、その後の施工の進み方を左右します。西松建設はONESTRUCTIONと共同で、設計の要件やイメージを入力すると複数のデザイン案が自動で生成される「ジェネレーティブデザイン」という手法を用い、実際のトンネル工事現場で検証を行いました。西松建設が長年の工事で培ってきた現場のノウハウやアイデアをインプットデータとしてシステムに落とし込み、山岳トンネル工事のスペシャリストだけが持っていた暗黙知、つまり言葉になっていない経験則を形式知化しています。あわせて、設計の手順を部品のように組み立てて動かすツール「Dynamo」で形状の制御や複雑なデータ処理を自動化し、従来の手作業よりも速く配置案を導き出す仕組みを構築しました。
出典:ジェネレーティブデザインによるトンネル仮設備配置計画の効率化と最適化 | 西松建設株式会社 発行元:西松建設株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
限られた敷地に、プラントも資材置き場も工事車両の通り道も収める。地形の起伏や導線といった条件が同時に絡み合うため、経験を積んだ現場技術者であっても最適な配置計画を描くのは容易ではなく、若手が担当すれば膨大な時間がかかっていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの中心にあったのは作業量そのものではなく、判断の根拠が言葉になっていなかったことです。ベテランがある一角を空けておくと決めるとき、その頭の中では複数の条件が同時に処理されていますが、条件の優先順位も、どこで折り合いをつけたのかも、外からは見えません。だから若手は手本をなぞることができず、試行錯誤に時間を注ぐしかない。図面を描く速さの問題ではなく、判断の中身が共有されないまま個人に閉じていた状態こそが、計画業務を属人的なものに留めていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
ベテランの経験を人から人へ教える形ではなく、システムへの入力条件として書き下したことが、この取り組みの中核にあります。長年のトンネル工事で積み上がったノウハウを研修資料にまとめるだけなら、受け取る側の解釈に委ねられてしまいますが、自動生成の入力データに落とし込むとなれば、何を満たせば成立する配置なのかを条件の形で確定させざるを得ません。データ化という結果よりも、その過程で判断基準を言語化した作業のほうが、属人化を解く実質的な一手だったと考えられます。
答えを一つだけ出させるのではなく、条件から複数の案を自動生成させる進め方も効いています。配置計画には、敷地形状や車両の導線のように条件として書き下しやすいものと、現場の感覚に近い判断とが混ざっています。前者を機械に任せて案を並べさせ、後者の見極めを人が引き受ける切り分けにすれば、技術者はゼロから図を起こす役割から、出てきた案を評価して選ぶ役割へ移れます。属人性を消すのではなく、属人性が本当に必要な工程だけに人を残す設計。
ロジックに基づく形状の制御と複雑なデータ処理をDynamoで自動化した点は、この試みを一度きりで終わらせないための土台です。手作業の図面では条件を一つ変えるたびに描き直しが発生しますが、処理の流れを組んでおけば、入力を差し替えるだけで案が更新されます。現場の知見を持つ西松建設と、技術面を担うONESTRUCTIONが組んだ体制も、条件の妥当性と仕組みへの実装を同時に詰めるうえで働いたはずです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現場での検証を通じて、建設現場における計画作業の効率が大幅に向上する見込みが立ちました。自動的に出力される設計案には工事車両の導線や安全通路も織り込まれるため、現場の安全性向上にも寄与しています。定量的な数字以上に目を引くのは、ベテラン技術者の暗黙知が可視化・ナレッジ化され、次世代へ知識を引き継ぐ仕組みの土台ができた点でしょう。今後はさらに多くの暗黙知を組み込んで性能を高めるとともに、他の工種への展開、現場計画業務の時間短縮、施工管理の品質向上に向けた取り組みが進められる方針です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、限られた空間にものを配置する計画で、守るべき条件をある程度は言葉にできる業務です。工場のライン配置、倉庫の保管レイアウト、催事会場の動線設計あたりは、通路幅や搬入経路、危険物からの離隔といった条件を並べていけば、案づくりを機械に任せる余地が生まれます。反対に、条件の多くがその日の天候や取引先の都合で入れ替わる業務や、なぜその配置なのかをベテラン自身も説明しきれない領域では、入力データが定まらないため同じ形にはなりにくいでしょう。この事例も、長年のトンネル工事で蓄積された知見という元手があったからこそ、入力条件を組み立てられています。
始めるなら、自社で最も条件が絡み合う配置や段取りを一つ選び、熟練者が案を却下するときの理由を三つ挙げてもらうところから。なぜこの案では駄目なのかという説明は、そのまま自動生成に与える制約条件の原型になります。
この事例は2024年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
出典・参考情報
ジェネレーティブデザインによるトンネル仮設備配置計画の効率化と最適化 | 西松建設株式会社
発行元:西松建設株式会社
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