実施 2023.07 ・ 更新 2026.08.17
ドローン空撮とAIで資機材管理の作業時間を約75%短縮、鹿島建設の現場検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 広い敷地で備品を探し回っている
- 点検のための巡回や高所作業が不安
- 借りたままの機材が減らない
どのようなAIの取り組み?
ドローンの空撮動画からAIが資機材の名称と位置を推定し、現場の3Dモデル上に見える化することで、管理作業の時間短縮を現場検証した取り組み
業種
総合建設業(建設)
取り組み領域
建設現場の資機材管理
使ったAI
画像認識AI+ドローン空撮(AI統合基盤「AnyDate」)
主な成果
実証検証で資機材管理の作業時間を約75%短縮(1回あたり約2時間→30分)
鹿島建設が、AI insideと共同で、建設現場の資機材管理をドローンと画像認識AIで行う仕組みを開発しました。人よりも速く自由に動けるドローンで現場を空撮し、その動画からAIが資機材の名称と位置を推定するという構成です。AIモデルはAI insideのAI統合基盤「AnyDate」で構築し、事前にドローンで撮影した空撮画像を使って、現場に置かれる資機材の形状と名称を学習させています。運用時は、一定の高度から撮った動画とドローンの飛行記録をPCへ取り込んで解析し、その結果を現場の3Dモデルへ反映することで、広い敷地のどこに何があるのかをデジタル上で確認できるようにしました。法定点検日など個別の管理が必要な資機材には、プラカードによる識別を組み合わせています。現場での実証検証では、巡回作業の時間が大きく短縮されることが確認されています。
出典:AIとドローンによる新たな資機材管理システムで作業時間を75%削減 | プレスリリース | 鹿島建設株式会社 発行元:鹿島建設株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
建設現場では膨大な数の資機材を扱いますが、その所在確認は現場職員が敷地を巡回し、目視と手作業で行うやり方が続いていました。高所や狭所に立ち入る場面では安全上のリスクを伴い、資機材の大半がレンタル品であることから、点検期限切れの機材をそのまま使ってしまう危険や、同じ物を重ねて借りてしまう無駄も抱えていました。
この困りごとの本質は、歩く手間の多さそのものではなく、確認した結果がその場限りで消えてしまう点にあったのではないでしょうか。誰が、いつ、どこで何を見たのかが記録として残らなければ、現場全体の在り処は誰の頭の中にも完全な形では存在しません。期限切れも重複手配も、記録が残らないことの副産物として現れた症状だと編集部は見ています。
どうやって、うまくいったのか
最も効いたのは、確認作業の担い手を人の足からドローンという移動体カメラへ置き換えた設計です。上空から捉えれば、人が近づきにくい高所や狭所も立ち入らずに把握でき、確認できる範囲が人の移動速度や体力に縛られなくなります。安全リスクの低減と作業時間の短縮を、別々の施策ではなく一つの設計変更で同時に取りにいった点に判断の妙があります。
次に、AI inside社のAI統合基盤「AnyDate」を土台に据えつつ、学習データをその現場の空撮画像から作った進め方です。汎用の物体認識をそのまま持ち込むのではなく、実際に現場へ置かれる資機材の形状と名称を覚えさせているため、上から見た独特の見え方に合わせた判別が成り立ちます。運用時に一定の高度から撮ると決めているのも、学習したときの見え方と実際の映像を近づけるための条件そろえと読めます。飛行記録を動画と一緒に取り込む手順も、映っている物を現場の位置情報へ結びつけるうえで欠かせない部分でしょう。
三つめは、AIの出力先を一覧表ではなく現場の3Dモデルにした判断と、AIに任せない領域をはっきり分けた割り切りです。位置は図面上に載って初めて「探しに行ける情報」になりますし、画像からは読み取りようのない法定点検日のような個別情報は、プラカードによる識別に受け持たせています。何を機械に解かせ、何を現場の運用ルールで担保するかを分けた設計が、実際の運用に耐える形をつくったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実証検証では、空撮動画からAIが資機材を検出し、現場3Dモデル上に見える化する流れが成立しています。検出できるのは人と同程度の大きさの資機材であればおおむね対応でき、その種類は25にのぼります。従来の目視巡回と比べると、資機材管理にかかる時間は1回あたり約2時間から30分へ、およそ75%短縮されました。配置が見えるようになったことで、使われていない資機材を早期に見つけて返却でき、無駄なレンタルコストの削減にもつながっています。今後は小型資機材の検出率向上、他現場への展開、既存の現場管理システムとの連携が見込まれています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、上から見て形で見分けられる大きさの物が、広い範囲に散らばっている場面です。大規模な工場の敷地や物流のヤード、農地のように、人が歩いて確認するしかなかった対象を持つ現場であれば、同じ考え方を検討する余地があります。逆に、屋根や覆いの下に置かれる物、棚に密に並ぶ物、手で持ち運べるほど小さい物は上空からの判別が難しく、この事例でも小型資機材の検出率向上は今後の課題として残されています。天候によってドローンを飛ばせない日が生じることや、AIに学習させる初期の画像を自分たちで集める必要がある点も、始める前に見積もっておきたいところです。
判断を早めたいなら、次の巡回のときに、確認して回っている範囲をできるだけ高い位置から一本の動画に収めてみてはいかがでしょうか。上から見て何が見分けられ、何が見分けられないのかが、その映像だけでかなりはっきりします。
この事例は2023年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
鹿島建設株式会社
建設会社。国土交通省北陸地方整備局発注の大河津分水路新第二床固改築Ⅰ期工事などの土木工事を施工。AI inside株式会社とAIとドローンを組み合わせた資機材管理システムを共同開発した。
出典・参考情報
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