実施 2023.03 ・ 更新 2026.08.17
POSデータ分析を現場の手に、社員食堂・売店の品揃え最適化を進めた人材育成
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 売り切れと売れ残りが同時に起きる
- 発注がベテランの勘頼み
- データはあるのに使えていない
どのようなAIの取り組み?
現場の担当者自身がPOSデータを分析できる状態をつくり、売店の品揃えと発注の見直しに取り組んだデータ活用の事例
業種
社員食堂・売店の運営受託(フードサービス)
取り組み領域
店舗運営/仕入れ・発注
使ったAI
Microsoft Power BI(データ可視化ツール)によるPOSデータ分析
主な成果
分析結果を実際の発注業務に反映
NECライベックスは、顧客企業のオフィス内にある社員食堂や売店の運営を受託しています。働き方の変化で出社人数が大きく減り、混雑と売り切れを前提にした従来型の店舗運営が成り立たなくなるなか、レジに蓄積されたPOSデータをもとに顧客と商品の組み合わせを見直し、品揃えを最適化するプロジェクトが始まりました。目を引くのは、データサイエンティストなどの専門人材を新たに配置せず、店舗運営に携わる現場の担当者自身が分析の担い手になった点です。NECの支援を受けながら、データ分析の基礎知識と課題整理の手法を学んだうえで、Microsoft Power BIを用いたワークショップを実施。自社のPOSデータを「商品中心の分析」と「人を中心にした分析」という二つの切り口で読み解き、売れ筋と死筋の判別や、利用頻度で分けた顧客グループごとの購買傾向の把握を進めました。
出典:マッチングの最大化でフードロスも削減 売店の品揃え最適化に向けた挑戦 発行元:NEC
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出社する人数が大幅に減れば、これまで売れていた量も、売れる時間帯も変わります。混雑と売り切れを前提にしていた店舗運営はその前提ごと崩れ、仕入れた商品が余れば経営上の損失になると同時に、フードロスという社会課題にも直結します。
ただ、困りごとの本質は「客数が減ったこと」そのものではなく、減ったあとに残った少人数が何をいつ買うのかを、店舗側が把握する手立てを持っていなかったことにあると考えられます。来店客が多いうちは、多少の外れも数の力で吸収でき、経験則で回せていた。人数が絞られると一品ごとの当たり外れがそのまま在庫不足や廃棄として表面化し、感覚に頼った発注では追いつかなくなります。加えて、限られた人員で運営する現場に専門人材を新たに置く余地は乏しい。つまり、分析の必要性が高まった局面で、分析をする人がいないという構造的なねじれが生じていたわけです。
どうやって、うまくいったのか
分析役を外から連れてくるのではなく、日々の発注を担う現場の担当者を分析の担い手に据えた設計が、この取り組みの土台になっています。データ分析は、レポートを作った時点ではまだ何も変わらず、発注量や品揃えという意思決定に反映されて初めて効果が出ます。分析する人と判断する人が同一であれば、その受け渡しが要りません。見て、考えて、翌日の発注で試すという短い循環が、そのまま業務の中に埋め込まれた形です。
分析テーマを「商品中心」と「人を中心にした分析」の二つに切り分けた点も効いています。漠然と「売上を分析する」では手が止まりますが、売れ筋と死筋を判別するという問いと、利用頻度で顧客をグループ分けして購買傾向を掘るという問いに分ければ、次に見るべき表が決まります。この二軸の設計は、限られた商品数のなかで何を残し何を外すかという判断と、誰に向けて品揃えを組むかという判断に、それぞれ対応していると読み取れます。
進め方の順序にも意図がうかがえます。NECが支援役として伴走し、まず分析の基礎知識と課題整理の手法を学んでから、Power BIを使った実践的なワークショップに進むという段取りをとりました。ツールの操作を先に覚えても、問いが定まっていなければグラフは増えるだけです。学習と自社データでの実践を接続し、現場が肌で感じていた売れ行きの感覚をデータで裏付ける作業から入ったことが、分析を特別な業務ではなく日常の延長に落とし込む働きをしたのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
分析からは、一般的なコンビニとは異なる傾向が見えてきました。デスクで食べても散らからない直まきおにぎりが人気を集めるといった、オフィス内の売店ならではの需要や、時間帯・顧客グループごとの細かなニーズです。こうした結果は実際の発注業務に反映されており、現場の担当者が自らデータを見て、考えて、実践するサイクルを回せる状態になりました。限られた人員でも精度の高いサービス向上が可能になった点は、中堅・中小企業にとって示唆的です。今後は、商品の組み合わせ傾向を把握するバスケット分析など、さらに踏み込んだ活用も計画されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、購買や利用の記録が日々自動的に貯まり、その結果が発注量や品揃えという具体的な判断に直結する業務です。飲食業や小売、サービス業のように、レジや予約システムにデータが残る現場であれば、同じ道筋をたどれる可能性があります。
一方、この事例には見落とせない前提があります。オフィス内の売店という性質上、利用者はほぼ固定された同じ人たちで、同じ人が繰り返し来店するからこそ、利用頻度でグループ分けする「人を中心にした分析」が意味を持ちました。不特定多数が一度きり訪れる立地では、同じ切り口はそのままでは効きにくいはずです。また、分析の担い手を現場に置く以上、学習と実践に充てる時間を業務として確保できるかが分かれ目になります。
始めるなら、自社の売れ筋を誰もが同じ基準で言えるかを確かめるところから。販売数か、粗利か、欠品の頻度か。定義を関係者で一つに決めれば、その日から見るべき数字が決まります。
この事例は2023年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
NEC
多くの顧客企業のデータ活用を支援し、システムの提供やインテグレーション、AIを活用したサービスの共同開発などを進める企業。AI・アナリティクス事業統括部を擁し、約1000人を超えるAI・データ分析人材が在籍。過去のプロジェクトで作成した分析モデルを「レシピ」としてオンデマンドに活用できる環境を整備し、研修体系「NECアカデミー for AI」を提供している。
株式会社NECライベックス
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