実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.17
月914万PVの不動産サイトに生成AIチャット、東急リバブルの24時間接客β版
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- サイトの情報が多すぎて客が迷う
- 夜間や休日の問い合わせに出られない
- 一人ひとりに合った案内ができない
どのようなAIの取り組み?
自社に蓄積した不動産取引のノウハウと生成AIを組み合わせ、24時間の対話型Web接客をβ版として始めたAI取り組み
業種
不動産仲介・販売業(不動産)
取り組み領域
Webサイトの接客・問い合わせ対応
使ったAI
対話型AIチャット(生成AI/Claude-3.5 Sonnet)
主な成果
24時間の相談対応が可能に、離脱率改善とコンバージョン増加は今後の見込み
東急リバブルは、月平均914万ページビューを集める自社Webサイトに、対話型チャットサービス「Tellus Talk(テラストーク)」のβ版を置きました。開発は生成AIの専門知見を持つ電通デジタルおよび電通との共同で進められ、同社が長年蓄えてきた不動産取引のノウハウやデータを土台に組み立てられています。回答を生む中核には、Anthropicの大規模言語モデル「Claude-3.5 Sonnet」を採用。接客対象のページにはAIキャラクター「Tellus(テラス)」が置かれ、「東京タワーが見える物件がいい」といった漠然とした希望や、「ローンが残っているけど売却できる?」のような前提条件のついた質問にも、意図を汲み取って応じる形をとっています。夜間や休日を含め、途切れない相談の受け口が用意されました。
出典:【東急リバブル】ニュースリリース|東急リバブル、生成AIを活用した対話型チャットサービスの提供を開始 発行元:東急リバブル株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
月914万ページビューという規模のサイトには、物件情報も取引の解説も揃っています。それでも顧客は目的のページにたどり着けず、売却相談の窓口では、人が対応できない夜間になると従来のシナリオ型チャットボットへ切り替わっていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は情報の量ではなく、「探して選ぶ」という作業を顧客側に預けたままにしていた構造にあります。不動産の取引は人生で数回しか経験しないもので、質問は「まず何から考えればいいのか」という段階から始まります。あらかじめ想定した選択肢をたどらせるシナリオ型は、問い合わせが定型化している領域でこそ力を発揮する仕組みであり、こうした一人ひとり形の違う不安には原理的に噛み合いにくい。時間帯によって応対の質に段差が生まれていたのは、その噛み合わなさが表面化したものだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
回答の土台を汎用的な生成AIの知識ではなく、自社に積み上がった不動産取引のノウハウとデータに置いた設計が、この取り組みの芯だと考えられます。売買の実務では、同じ「売却したい」でも残債の有無や住み替えの予定で話の筋道が変わります。そうした判断の型を持っているのは現場側であり、そこを土台に据えたことで、対話の中身が一般論の説明から個別の相談に近づいたはずです。
曖昧な要望や前提条件のついた相談を、あえて対話にゆだねる切り分けも効いています。「東京タワーが見える物件がいい」という言い方は、検索条件としては成立しませんが、会話としては十分に通じる注文です。条件を絞り込ませる前に、まず意図を汲み取る側に回るという順序の入れ替えが、サイト内を回遊させるのではなく相談として受け止める体験に変えている。処理速度と推論能力を基準にモデルを選んでいる点も、待たせない対話という要件から逆算した判断と読めます。
外部の知見を取り込む分業と、届け方の工夫も見逃せません。生成AIの設計・実装については電通デジタルと電通が共同で担い、東急リバブル側は業務知識とデータを持ち込む形をとっています。加えて、キャラクター「Tellus」を介して話しかけられる見た目にしたことは、聞くほどでもないと感じる質問の心理的なハードルを下げる狙いがあるでしょう。β版として世に出す形も、実際の質問に触れながら精度を確かめていく前提の選択と受け取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
顧客がいつでもどこでも、プロの営業担当に近い水準の回答をWeb上で得られる環境が整いました。対話を通じて言葉になっていないニーズを捉え、一人ひとりに合わせた情報提供ができる状態になっています。一方、サイト内のコミュニケーション強化による離脱率の改善や、コンバージョン(問い合わせや申し込みなど成果につながる行動)の増加は、今後見込むものとして示されている段階です。数値の実績ではなく体制の整備が語られている点は、β版という位置づけと整合します。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、顧客が相談したい内容を自分で言語化しきれない領域です。保険や金融、住宅設備の入れ替えなど、購入や契約の頻度が低く、選ぶ前に前提から確かめたくなる商材では、同じ構図が当てはまります。前提として要るのは、社内に相談対応の型が蓄積されていること。過去のやりとりや説明資料が残っていない状態で汎用の生成AIだけを置いても、この事例のような個別性は出にくいはずです。
逆に難しいのは、回答の誤りがそのまま実害になる範囲です。個別物件の価格や税務・法務の判断まで踏み込ませれば、ハルシネーション(もっともらしい誤答)が信用を損ないます。AIに任せる範囲の線引きと、その線を越えた相談を人へ渡す道筋を最初に決めておく必要があります。
まず試すなら、営業時間外に届いた問い合わせを直近1か月分だけ読み返し、既存のチャットボットや自動応答で返せたもの・返せなかったものに印を付けてみてください。返せなかった側の質問文の書かれ方に、対話型AIに任せるべき範囲が見えてきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社電通デジタル
クリエイティビティとテクノロジーを活用した、デジタルマーケティングやDXによる企業の「成長と変革」を支援。資本金4億4,250万円。生成AIに関する専門知見を有し、株式会社電通とともに東急リバブルの対話型チャットサービス「Tellus Talk:β版」を共同開発。
東急リバブル株式会社
出典・参考情報
【東急リバブル】ニュースリリース|東急リバブル、生成AIを活用した対話型チャットサービスの提供を開始
発行元:東急リバブル株式会社
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