実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.17
コンビニ発注をAI予測で支援し週約6時間削減、お手本店の品揃えも提案
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 発注量がベテランの勘頼み
- 欠品と廃棄ロスが減らない
- 毎日の発注作業に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
販売実績に加えて店舗周辺の通行量や気象データもAIが分析し、発注の推奨値を自動で算出することで、1店舗あたり週約6時間の作業時間を削減したAI取り組み
業種
コンビニエンスストア(小売)
取り組み領域
店舗の発注業務・在庫管理
使ったAI
需要予測AI(AIレコメンド発注)
主な成果
発注業務の時間を1店舗あたり週約6時間削減
コンビニエンスストアの店舗発注を対象に、「AIレコメンド発注」と呼ばれる仕組みが導入されました。過去1年間の販売実績、店舗周辺の通行量(時間帯別・性別・年代別)、気象データ、カレンダー情報といった幅広いデータをAIが学習し、日別・便別・単品別に最適な販売予測数を算出します。加えて、立地が似ていて利益額の高い店舗を「お手本店」として参照し、自店で扱っていなかった売れ筋商品を推奨する機能や、次の納品までの在庫繰り越しを考慮して売場のボリュームを保つ数量を自動で加算する仕組みも組み込まれています。推奨値は1日4回更新され、新商品やイレギュラーな事情については店舗スタッフが手動で調整します。この結果、発注業務にかかる時間が1店舗あたり1週間で約6時間削減されました。
出典:AIを活用した新たな発注システムを導入 ~店舗の業務効率化と販売機会の最大化を実現~|ニュースリリース|ファミリーマート 発行元:株式会社ファミリーマート
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
これまでの発注は、各店舗の担当者が自店の過去の実績と自分の経験をもとに判断する形で行われてきました。そのため店舗や担当者によって精度がばらつき、読みが外れれば欠品による販売機会の損失につながり、逆に多めに読めば過剰在庫が廃棄ロスとして残るという二方向のリスクを抱えていました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は担当者の熟練度が足りないことではなく、判断の材料が「自店の過去」と「個人の記憶」の内側で完結していた点にあります。売れ行きを左右する要素は店の外側にも数多くあるはずなのに、それを日々の発注に持ち込む手立てがなかった。さらに、うまく売っている店の判断が他店へ伝わる経路もないため、良い読み方が個人の中に留まり続けます。属人化とは、能力の偏りである以前に、情報が一店舗の内側に閉じている状態を指しているのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
推奨値を、自店の過去1年の販売実績だけで組み立てなかったことが、この仕組みの出発点になっています。店舗周辺の通行量を時間帯・性別・年代まで分けて取り込み、そこへ気象データとカレンダー情報を重ねたうえで、日別・便別・単品別という細かい単位まで販売予測数を落とし込む。人ひとりが頭の中で扱える情報量をはるかに超える材料を、発注という日常業務の土俵に載せた設計だと言えます。
立地が似ていて利益額の高い店舗を「お手本店」に設定し、自店で扱っていなかった売れ筋を推奨する機能は、需要予測とは別種の課題を解きにいっています。自店の実績だけを学習させる限り、そもそも置いていない商品は「売れなかった」という記録すら残らないため、品揃えの空白はデータ上に姿を現しません。その空白を他店の実績で埋める発想は、予測の精度を高める方向ではなく、予測の対象そのものを広げる方向の工夫として整理できます。
推奨値を1日4回更新しながら、新商品や突発的なイベントについては店舗スタッフが手で調整できる余白を残した運用も見逃せません。次の納品までの在庫繰り越しを踏まえて売場ボリュームを保つ数量を自動加算する仕組みからは、数字上の最適解だけでなく、棚が寂しく見えない状態を保つという現場の判断基準まで計算に織り込もうとした意図が読み取れます。繰り返し発生する定型的な予測はAIが担い、例外は人が引き受ける。この線引きこそが、現場で使い続けられる形につながったと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
AIが発注の推奨値を自動で算出するようになったことで、発注業務にかかる時間は1店舗あたり1週間で約6時間削減され、担当者の負担が軽くなっています。一方、適切な陳列量の維持による販売機会の最大化や、過剰発注を抑えることによる廃棄ロスの適正化は、現時点では期待される効果として位置づけられています。今後は導入店舗での売上や収益への影響を検証したうえで、展開店舗を広げていく方針です。時間削減がすでに数字で示され、売上と廃棄への効果はこれから検証するという順序で整理されている点は、成果の読み方として押さえておきたいところです。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、同じような判断を毎日繰り返していて、売れ行きが天候や人の流れといった店の外側の条件に左右される業務です。複数の拠点を持ち、条件の近い店舗どうしを比べられる環境があれば、お手本店を参照する考え方はそのまま活かせる余地があります。飲食やサービス業の多店舗展開はもちろん、拠点ごとに品揃えや仕入量を決めている業態なら検討する価値があるでしょう。
逆に、店舗数が少なく比較対象となる同条件の拠点が見つからない場合、この仕組みの肝である「お手本」が成り立ちません。案件ごとに条件が変わる受注型の仕事や、扱う商品の入れ替わりが激しく過去の実績が参考になりにくい領域も、同じやり方をなぞるのは難しいはずです。
まず試すなら、社内で利益が出ている拠点を一つ選び、自分の拠点に置いていない商品や提供していないメニューがどれだけあるかを突き合わせてみる。AIを入れる前でも、品揃えの空白は見えてきます。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ファミリーマート
コンビニエンスストア「ファミリーマート」を全国展開する企業。代表取締役社長は細見研介。おむすびや弁当、サンドイッチなどの商品を店舗で販売している。
出典・参考情報
AIを活用した新たな発注システムを導入 ~店舗の業務効率化と販売機会の最大化を実現~|ニュースリリース|ファミリーマート
発行元:株式会社ファミリーマート
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