実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
野村不動産ソリューションズ、生成AI対話で不動産売買の相談窓口を広げるベータ版
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 問い合わせの心理的ハードルが高い
- サイトの情報量が多く探しにくい
- 営業時間外の質問に答えられない
どのようなAIの取り組み?
生成AIとの自然な対話で、不動産情報サイト内の物件情報やコンテンツから答えを直接返すチャットサービスを、ベータ版として共同開発したAI取り組み
業種
不動産仲介・不動産情報サイト運営(不動産)
取り組み領域
顧客からの問い合わせ・相談対応
使ったAI
生成AIを使った対話型チャット(AI ANSWER Plus ベータ版)
主な成果
サイト内を探す手間を省き、24時間の相談対応をベータ版で提供
不動産仲介を手がける野村不動産ソリューションズは、売買を検討する顧客の相談窓口として2016年からチャット型のQ&Aサービスを運営してきました。この仕組みを、生成AIによる対話型のサービスへと作り替えたのが「AI ANSWER Plus(ベータ版)」です。開発は、生成AIの知見と不動産領域の経験を併せ持つ株式会社LIFULLと共同で進められました。特徴は、同社が運営する不動産情報サイト「ノムコム」の物件情報や住まい関連のコンテンツ、データをAIが直接参照する構成にある点です。物件探しの相談から、売買の段取り、複数物件の比較、専門用語の意味まで、幅広い問いに対して自然な言葉で回答します。現在はベータ版での提供にとどまり、精度の向上を続けながら2024年春を目途に正式版への移行を目指す段階です。
出典:野村不動産ソリューションズ×LIFULLの共同開発 11月29日より 「AI ANSWER Plus(ベータ版)」の提供開始 | 野村不動産ホールディングス株式会社のプレスリリース 発行元:野村不動産ホールディングス株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
不動産の売買は、金額も手続きの複雑さも日常の買い物とは桁が違います。だからこそ「こんなことを聞いたら失礼ではないか」「まだ本気で買うと決めたわけではないのに問い合わせてよいのか」という迷いが生まれやすく、同社が2016年からチャット型のQ&Aを置いてきたのも、その入口を低くするためでした。ところが従来のQ&A形式では、顧客の細かなニュアンスまでは汲み取りきれないという限界が残っていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な困りごとは「答えが用意されていない」ことではなく、「顧客の側が、自分の迷いを質問の形に整えなければならない」ことにあったのではないでしょうか。あらかじめ用意された選択肢に自分の状況を当てはめる作業自体が、実は相談のハードルそのものだったと考えられます。サイト内に情報がどれだけ蓄積されていても、探し方が分からなければ存在しないのと同じ、という構造も重なります。
どうやって、うまくいったのか
最も効いていると考えられるのは、AIが自社サイト内の物件情報やコンテンツ、データを直接参照する形で設計されている点です。一般的な知識だけで答えるのではなく、自社が保有し更新している情報を答えの源に据えることで、回答が具体的な物件やコンテンツに接続されます。この設計は、顧客が検索して読み比べるという工程をAI側に肩代わりさせるものであり、「情報を探させる」から「答えを返す」への転換だと整理できます。
もう一つの要因は、対応する範囲の広げ方にあります。物件探し、売買の段取り、比較検討、専門用語の解説と、扱う問いが並列に置かれているのは、顧客の迷いが一つの型に収まらないことを前提にした設計と読めます。特に専門用語の解説が同じ窓口に含まれている点は見逃せません。用語が分からないまま話を進めるのは気まずい、という感覚こそが相談を止める要素であり、それを人に聞かずに解消できる場を同じ対話の中に置いた判断は、入口を低くする狙いと一貫しています。
自社データと外部の技術力を明確に分担させた進め方も、この取り組みを支えています。不動産領域の情報と顧客接点は野村不動産ソリューションズが持ち、生成AIの実装ノウハウはLIFULLが担うという役割分担で、共同開発として進められました。加えて、完成を待たずベータ版として世に出し、精度向上と研究を続けながら正式版を目指すという段取りは、対話の品質が実際の利用を通じてしか磨けない性質のものだと踏まえた選択と考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
顧客が自分でサイト内を探し回る手間が省かれ、求める情報へたどり着きやすい環境が整いました。個人情報を明かさないまま、24時間いつでも専属のアシスタントのように疑問を解消できる点も、相談の入口としての性格を強めています。ただし現時点ではベータ版であり、確定した成果というより、これから精度を高めていく途上にあります。同社は生成AIの精度向上と研究を続け、2024年春を目途に正式版への移行を目指す計画です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、扱う商品やサービスの説明が長く、専門用語が多いために、顧客が問い合わせる前の段階でつまずいている業種です。自社サイトに情報を蓄積してきたが読まれていない、資料は揃っているのに電話やフォームでの質問は少ない、といった状態であれば、この事例と同じ構造にあります。逆に、参照させるべき情報が担当者の頭の中や個別のメールにしか存在しない場合、AIに渡せる材料がないため、そのままでは同じやり方は成り立ちません。情報の鮮度が命の領域では、元データの更新が止まった瞬間に回答も古びる点にも注意が必要です。
もう一つ踏まえておきたいのは、この取り組みが完成品ではなくベータ版として動いている点です。対話の自然さや回答の正しさは、実際の質問にさらされて初めて調整できます。まずは自社サイトの中で、顧客からよく寄せられる質問の答えが「どのページのどの部分に書かれているか」を数件たどってみてください。すぐに指し示せないものが多いなら、AIに答えさせる前に整えるべきものが見えてきます。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
野村不動産ソリューションズ株式会社
個人向け不動産仲介事業、法人向け不動産仲介事業、保険代理店事業、銀行代理業、不動産情報サイト運営事業を手掛ける企業。不動産情報サイト「ノムコム」を運営している。
出典・参考情報
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