実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
三菱地所、ChatGPT対話で住まいの資産価値をいつでも確認できる査定サービス
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 同じ質問への電話対応に追われている
- 問い合わせの手前で見込み客を逃している
- 既存顧客との接点が途切れがち
どのようなAIの取り組み?
ChatGPTを使った対話機能により、住まいの資産価値を不動産会社への問い合わせなしで確認できるようにしたAI取り組み
業種
不動産業(デベロッパー)
取り組み領域
会員向けサービス/住まいの資産価値査定
使ったAI
ChatGPT(対話型生成AI)
主な成果
問い合わせ不要で住まいの資産価値を確認できる環境を提供
三菱地所は、自社が運営する住宅系会員組織「三菱地所のレジデンスクラブ」の会員向けに、住まいの資産価値を確認できる機能「レジクマAI査定」を提供しています。開発では、スイスに拠点を置く不動産テック企業のプライスハブルジャパンが技術面を支援しました。利用者はPCやスマートフォンから、現在の資産価値とその推移、周辺エリアの市況、類似物件の売買事例などを閲覧できます。加えてChatGPTを活用した対話機能を備え、公式キャラクター「レジクマ」に気になった点を質問すると回答が返ってくる構成です。2024年2月から試験公開したベータ版での検証を経て、本格始動に至りました。
出典:mec241010_resikuma.pdf 発行元:三菱地所株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
所有する住まいの資産価値を知りたいと思っても、その情報にたどり着くには不動産会社へ直接問い合わせるしかない。三菱地所はこの状況を、顧客にとって心理的にも時間的にも高いハードルだと捉えていました。背景には、子育てなど生活様式の変化に合わせて住まいを買い替える層が増えているという事情があります。
編集部の見立てでは、ここでのハードルは手続きの煩雑さというより、問い合わせるという行為そのものが帯びる意味の重さにあったのではないでしょうか。まだ売ると決めたわけでもない段階で不動産会社に連絡すれば、売却の意思があると受け取られかねません。価格を知りたいだけの人にとって、その一歩は情報収集ではなく決断に近いものになってしまいます。窓口を増やせば解ける問題ではなく、尋ねる相手が取引の当事者であること自体が詰まりを生んでいた、という構造です。
どうやって、うまくいったのか
査定価格をひとつ提示して終わりにせず、周辺エリアの市況情報や類似物件の売買事例を並べて見せる構成が、この機能の骨格になっています。AIが算出した数字は、それ単体では受け取る側に判断の手がかりを残しません。値そのものより、その値が相場のどのあたりに位置しているのかを利用者自身で確かめられる形にした点に、設計上の狙いが読み取れます。査定への納得を説明の巧みさではなくデータの並置で支えようとする組み立て方です。
もうひとつの軸は、ChatGPTによる応答を公式キャラクター「レジクマ」の受け答えという形に載せたことでしょう。営業担当者に尋ねるときのような感覚を残しながら、相手が人ではないぶん、遠慮なく何度でも聞き直せます。前段のハードルが人への連絡そのものにあったとすれば、これは相談窓口を無人化したというより、尋ねる相手を選び直した設計と表現したほうが実態に近いはずです。会員組織ですでに親しまれているキャラクターを入口に据えたことで、新しいAI機能でありながら、利用者から見れば見慣れた顔から始まる導線になっています。
開発体制の面では、査定の技術部分をスイス拠点のプライスハブルジャパンの支援に委ね、自社は会員基盤と顧客接点の設計に集中するという分担が敷かれました。そのうえで2024年2月からベータ版を試験公開し、検証を経てから本格始動へ移しています。外せば信頼を直接損なう情報を扱う機能を、いきなり全面展開せず段階を踏んで確かめる進め方は、扱う情報の性質に対して素直な判断と言えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
顧客は不動産会社に問い合わせることなく、自身のペースで住まいの資産価値を把握できるようになりました。周辺市況や類似物件の売買事例といった詳細なデータを併せて示すことで、AIが算出した査定価格への納得感が育つことが期待されています。この点は現時点では期待の段階であり、対話機能によって顧客が主体的に情報を集める手間を減らし、買い替え検討を支える体制が整った、というのが公表されている範囲です。今後はコンテンツや機能の拡充、対象エリアやマンションの拡大が検討されています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、顧客が持つ資産や契約の価値が時間とともに動き、その変化を自社が継続的に把握できる立場にある事業です。評価の根拠を数値と実例で示せること、そして問い合わせの手前で離れていく見込み客が実際にいること。この二つが揃っているなら、同じ組み立てを検討する余地があります。
反対に、価格が個別の事情に大きく左右される商材では、そのまま持ち込むと難しさが出ます。AIが示す標準的な評価額と実際の取引価格が開いたとき、そのずれは機能への不信に直結しますし、対話機能を備えるほど、根拠のない説明が返るリスクも抱え込むことになります。答えてよい範囲をどこで区切り、どこから人につなぐのかを先に決めておく必要があるでしょう。
手をつけるなら、直近1か月に届いた問い合わせを開いて、そのうち何件が社内にあるデータだけで答えられたかを数えてみるところから。全社展開の前に対象を絞って試験公開し、反応を見てから広げる順序も、この事例がたどった道筋と重なります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:外部・Web・SNSデータ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
プライスハブルジャパン(PriceHubble Japan)
スイスを拠点とする不動産テック企業 PriceHubble の日本法人。PriceHubble は全世界で1,300社以上から採用されるデジタルソリューションを提供し、顧客にはグローバル金融機関や不動産会社も多く含まれる。社員の約半数がデータサイエンティストとエンジニアで、ビッグデータと最先端の分析を活用した製品を開発。API や画面アプリケーション、オンデマンドのデータサイエンスサービス、DXソリューション構築のためのコンサルティングを提供する。現在スイス、フランス、ドイツ、オーストリア、日本、オランダ、ベルギー、チェコ共和国、スロバキア、イギリスの10か国で事業を展開。日本法人は設立時点から三菱地所が新丸ビルで運営する「EGG」にオフィスを構える。
三菱地所株式会社
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