実施時期: 2023年03月|2026.05.19 最終更新
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アプローチと成果
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こんな課題を持つ企業におすすめの事例です
製造業を取り巻く環境が劇的に変化する中、市場ニーズの多様化に対応しつつ、グローバルで同等以上の品質を担保することが求められています。日本を代表するタイヤメーカーである横浜ゴム株式会社は、早くからデータ分析やAI技術を研究開発や設計、製造プロセスに活用してきました。2020年にはAI利活用構想「HAICoLab(ハイコラボ)」を立ち上げ、AIで得られた情報に人が解釈を加える「人とAIの協奏」によるイノベーションを目指していました。
しかし、従来のデータ分析手法では扱える因子の数に制限があり、分析対象の業務とデータ分析手法の両方に精通した人材が因子を設定しなければならないという課題を抱えていました。そこで、インプットデータとアウトプットデータを入力するだけで、AIが重要な特徴量を自動的に発見・抽出するツール「dotData」に着目しました。人間が理解できる形で特徴量を抽出できる点が同社のAI活用ポリシーと合致したため、PoC(概念実証)を経て正式な導入を決定しました。
高性能タイヤの設計業務において、試作評価で取得した各プロセスのデータをdotDataに投入しました。試作品の特性向上に寄与すると考えられる「特徴量」をAIに自動設計させ、その結果に対してプロジェクトメンバーが解釈を加えて次の試作に盛り込むというサイクルを繰り返しました。
また、ゴムの原材料や配合剤を混ぜ合わせる「ゴム混合プロセス」の最適化にもdotDataを適用しています。混合機のロータ回転速度や消費電力、混合時間、材料の投入タイミング、外気温といった多様な因子と、完成したゴムの物性値との関係性を分析しました。過去のデータと物性値をAIに学習させ、自動生成された特徴量に人が解釈を加えて仮説検証を実施しました。
さらに、スタッドレスタイヤの設計においても、氷上制動性能(凍った路面で短距離で減速・停止する性能)に影響する因子を過去の試作評価データから割り出しました。抽出された特徴量を用いて、重要な因子と制動距離との関連性を定式化し、設計プロセスに組み込んでいます。
改善・向上したこと
データ分析・意思決定支援
生産性向上
品質・安全性向上
推進したこと
新サービス・製品開発
AI活用の社内展開・定着
高性能タイヤの設計では、AIの抽出結果に基づく試行錯誤を繰り返すことで、段階的に性能と安定性が向上しました。また、データと対峙する過程で新たな気付き(副次的効果)が得られ、タイヤの設計プロセスを革新するためのデータ活用が一気に加速しています。
ゴムの混合プロセスにおいては、物性値を狙い通りに推移させるための因子の特定に成功しました。AIの活用を通じて、材料開発メンバーも納得する混合プロセスの本質につながる知見が得られています。スタッドレスタイヤの設計でも、タイヤを試作する前に決定できる設計因子に基づいた、見通しの良い関係式を導き出すことができました。
今後は、データが存在しない領域を補完するための新たなデータ取得を進めるとともに、現実データと仮想データを利用して複雑な関係性を明らかにし、データ分析の専門家以外でも気付きを得られる環境の構築を目指しています。
自社活用(自社開発・活用推進)
全社共通・汎用業務
専用AIツールの導入
研究開発
製造
生産計画の最適化
研究開発支援
設計支援・ジェネレーティブデザイン
数値・Excel・ログ
品質検査・測定データ
機械・設備・位置
設備稼働ログ・機械センサー
採用したAI技術
AIモデル・構築手法
(RAG / ファインチューニング / 他)
機械学習・統計モデル(数値データからの予測・分析)
その他のツール
WarpBiz編集部の事例考察
成功の最大の要因は、専門家による因子設定の限界を特徴量の自動抽出ツールで突破し、そこに現場の人間が解釈を加える「人とAIの協奏」を実践した点にあります。このアプローチは、製造業の他工程(検査や設備保全)だけでなく、小売業の需要予測や金融業のリスク分析など、複雑な要因が絡む業務全般に応用可能です。導入にあたっては、AIが提示した特徴量を業務に落とし込むためのドメイン知識と、試行錯誤を許容する組織文化の醸成が求められます。同様のAI活用を検討される方は、ぜひ他の事例記事もご覧いただき、自社に合ったツール探しにご活用ください。
グローバルな成長を続ける日本を代表するタイヤメーカー。各種タイヤ製品のほか、タイヤホイール製品やゴルフ関連製品、工業品・航空部品などの分野でも幅広く事業を展開。
関連度の高い事例を選定しています。少しお待ちください。