更新 2026.08.17
社内チャットのハラスメント検知、外部につながない環境で精度95%超を検証
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内データをクラウドに出せない
- 社内チャットのハラスメントが心配
- 閉じた社内環境でAIを使いたい
どのようなAIの取り組み?
外部ネットワークにつながない環境で動く軽量な言語モデルにより、社内チャットのハラスメント検知で95%以上の判定精度を試験検証(PoC)で確かめた取り組み
業種
チャット基盤の提供(IT・情報通信)
取り組み領域
社内チャット/コンプライアンス
使ったAI
IBM watsonx.ai・Watson NLPの分類モデル(自然言語処理)
主な成果
PoCでハラスメント判定精度95%以上を確認
三和コムテックは、クラウド利用に制限のある企業へ、オンプレミス型のチャット基盤「Rocket.Chat」を提供しています。同社はIBMをビジネスパートナーに迎えた共創プロジェクトを立ち上げ、チャット上の会話からハラスメントが疑われるやり取りを検知してアラートを出す新機能の開発に着手しました。AIおよびデータプラットフォームのIBM watsonx.aiを土台に、閉じた環境でも動く軽量なカスタム言語モデルを構築しています。学習データは法律の専門家と連携し、セクシャルハラスメントやパワーハラスメントに当たる会話例を厳選。IBM Watson NLPの分類機能で学習させ、PoCでは複数のモデルを比較して選定したうえで、判定精度95%以上という結果を得ています。
出典:三和コムテック | IBM 発行元:IBM
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
企業のコンプライアンス意識が高まり、チャット上のやり取りにも目を配る必要が出てきた一方で、三和コムテックが提供しているのは、外部ネットワークから切り離して使うことを前提としたチャット基盤です。クラウド上のAIサービスを呼び出すという一般的なやり方は、この前提とそもそも両立しません。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「使えるAIが手元にない」という技術の不足というより、守るべきものが二つあり、片方を立てると片方が崩れる構造にあったのではないでしょうか。ハラスメントの兆候が現れるのは、当事者以外の目に触れさせたくない生々しい会話です。検知の必要性が高い会話ほど社外に出しにくいという逆向きの関係が、対策を先送りさせる力として働いていたと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
ハラスメントに該当する会話例を法律の専門家とともに選び抜くというデータの作り方が、この取り組みの土台になっています。ハラスメントに当たるかどうかの判断は、同じ言葉でも関係性や場面によって変わり、最終的には法的な評価が絡む領域です。ここで正解の付け方がぶれれば、どれだけ学習を重ねても判定は安定しません。データの量を追う前に判断基準そのものを専門家の手で固めた、その順序にこの設計の勘所があると見ています。
もう一つの要因は、文章を作る大規模なモデルではなく、会話が該当するか否かを見分ける分類という一点に用途を絞った割り切りです。IBM Watson NLPの分類機能を使い、オンプレミスのパッケージ内に収まる軽量なモデルとして仕立てています。閉じた環境では使える計算資源に限りがあり、汎用的な性能を欲張るほど載せきれなくなる。やりたいことを「検知してアラートを出す」まで削ぎ落としたことが、環境の制約とモデルの規模を噛み合わせたのではないでしょうか。
モデルを最初から決め打ちせず、PoCの段階で複数の自然言語処理モデルを比較評価して選び、その後もトレーニングデータの改良とチューニングを続けている点も見逃せません。ハラスメントの線引きは時代とともに動くため、作り切って終わりにできない性質の課題です。IBMがAI基盤と技術面を担い、三和コムテックが自社製品への組み込みと業務要件を持つという役割分担も、この継続を支える形になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
PoCでは、外部ネットワークから切り離されたクローズドな環境でありながら、AIによるハラスメント判定で95%以上という精度が確認されました。クラウド上の大規模言語モデル(LLM)に頼らずとも、軽量な言語モデルをオンプレミスのパッケージ内に安全に配置できる可能性が示された形です。現在は実稼働環境への導入に向けて、IBMと連携しながらアプリケーションの開発とモデルの精度向上が進められています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、判定したい内容を「該当する/しない」の形に落とし込めて、その線引きを社内の誰かが根拠つきで説明できる業務です。データを外に出せない事情を抱える現場であっても、用途を分類に絞れば手元の環境に収まる規模で組める、という見取り図はこの事例から読み取れます。
反対に、ハラスメントのように判断が文脈や当事者の関係性に左右され、しかも社会の受け止めとともに定義が動いていく対象では、精度が出た時点がゴールになりません。データの改良と専門家による監修を続ける体制を用意できるかどうかが、実務では効いてきます。加えて、社内の会話を機械が見るという性格上、従業員への説明と運用ルールの整備は技術以前の前提条件。まず試すなら、自社で判定させたい事象について、該当する例と、紛らわしいけれど該当しない例を、判断できる担当者に十数件ずつ書き分けてもらうところから。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
三和コムテック株式会社
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