実施 2023.05 ・ 更新 2026.08.17
日本テレビの生放送ニュースにAI自動字幕、認識精度94%の実証実験
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生放送の字幕づくりに人手がかかる
- 騒がしい現場で音声認識が外れる
- 聞き取りと書き起こしに追われている
どのようなAIの取り組み?
NECのAI音声認識を使い、生放送のニュース番組にリアルタイムで自動字幕を付けられるかを検証した実証実験の事例
業種
テレビ放送業(情報・通信)
取り組み領域
生放送番組の字幕制作
使ったAI
AI音声認識(NEC Enhanced Speech Analysis)
主な成果
実証実験で生放送のリアルタイム自動字幕表示に成功、事前検証の認識精度は平均94%
日本テレビは字幕を付けられるすべての番組に字幕を付けて放送していますが、生放送については、人が音声を聞きながら入力と校正を行う必要があり、運用の負担が重いという課題を抱えていました。そこで、NECの音声認識技術を用いたDX支援サービス「NEC Enhanced Speech Analysis-高性能音声解析-」を使い、生放送のニュース番組「ストレイトニュース」で、AIが音声をその場で文字にし、校正を経てオンエアするまでを通す実証実験が行われました。この技術は、屋外や工場内といった雑音のある場面での自由な会話を想定して開発されたもので、事前の検証では自由会話の認識精度が平均94%に達しています。
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
SDGsの広がりを受けて放送業界でもバリアフリー化が進み、総務省の指針のもとで字幕放送の普及が求められてきました。日本テレビはすでに字幕を付けられる番組すべてに字幕を付けていましたが、生放送では音声を聞き取っての手入力や校正が欠かせず、音声と字幕のタイミングのずれを防ぎ、専門用語にもその場で対応しなければならない状況にありました。
ここでの困りごとの本質は、字幕を作れないことではなく、品質を人の耳と手だけで支える方式のままでは、字幕付きの生放送を増やそうとするほど負担も比例して膨らんでしまう点にあったのではないでしょうか。品質と拡大が正面からぶつかる構造になっており、人員を積み増す以外の解き方が必要だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
放送スタジオではなく、屋外や工場内といった雑音のある業務シーンを前提に開発された音声認識モデルであることが、この取り組みの土台になっています。開発段階で音声とともに多様なタイプの騒音を学習させ、騒音フィルタなどを組み込むことで、周囲の音が混じっても認識精度が落ちにくい仕組みが作られました。編集部の見立てでは、静かな環境の音声に最適化するのではなく、条件の悪い音声を出発点に置いた設計だったからこそ、生放送という予測しきれない音の条件にも耐える余裕が生まれたと考えられます。
AIの出力をそのまま流さず、認識と校正を分けたうえでオンエアにつなげた工程設計も見逃せません。文字にする速さはAIに任せ、放送に出す最終的な判断は人が担うという役割の切り分けは、AIに完璧さを求めない代わりに、誤りが視聴者にそのまま届くことを防ぐ現実的な折り合いの付け方です。
対象を生放送のニュース番組一本に絞り、実証実験という形で確かめた進め方にも意味があります。字幕付与の全体をいきなり置き換えるのではなく、時間帯も内容も定まった番組で技術の限界を見極める段取りは、放送を止められない業務に新しい技術を差し込むときの現実的な入り口といえます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
実証実験では、生放送のニュース番組でリアルタイムに自動字幕を表示するところまで到達しました。事前の検証における自由会話の認識精度は平均94%で、従来製品と比べて10%以上高い水準が確認されています。放送局の担当者からは、多少の課題は残るものの生放送でオンエアできる技術だという評価が示されました。今後の展望としては、大規模言語モデル(LLM。大量の文章を学習した文章生成AI)と音声認識を組み合わせ、会話内容の要約やアクション項目の自動抽出といった、より踏み込んだ活用が挙げられています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、雑音のある場所で交わされる話し言葉を記録に残す必要があり、なおかつ出来上がった文字を人が確かめる工程を置ける業務です。工場や現場でのやり取り、電話や窓口での応対記録などは、この事例と条件が近いといえます。逆に、認識結果を誰も確認しないまま社外へ出す使い方や、独特の固有名詞・専門用語が絶え間なく飛び交うのに辞書を整える担い手がいない場合は、精度の数字ほどには成果が出にくいと考えられます。校正に回せる人がいるかどうかが、実運用に届くかの分かれ目になりそうです。
まず試すなら、自社でいちばん音の条件が悪い場面――機械音のする現場や、複数人が同時に話す打ち合わせ――の音声を数分だけ録り、手元で使える音声認識にかけてみるのがよいでしょう。どの語が崩れるかが見えれば、辞書登録で直せる範囲なのか、人の確認を厚くすべきなのかの判断がつきます。
この事例は2023年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
NEC
過去60年間にわたり音声認識技術の研究開発を行い、ディープラーニングを活用した独自の音声認識技術を開発。2022年3月に音声をテキスト化しデータ分析・業務活用を支援するDX支援サービス「NEC Enhanced Speech Analysis -高性能音声解析-」を開始し、コンサルタント・データサイエンティスト・SIチームが上流工程から業務適用まで一気通貫で支援している。
日本テレビ放送網株式会社
出典・参考情報
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