実施 2024.01 ・ 更新 2026.08.17
楽天証券が投資相談にAIアバター、音声で応じる対話体験を新春イベントで初披露
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 専門的な話だと客が身構えてしまう
- 文字のチャットだけでは伝わりきらない
- 対面に近い接客をオンラインでも出したい
どのようなAIの取り組み?
音声で受け答えするAIアバターを既存の生成AIチャットとつなぎ、投資相談の新しい入り口づくりに取り組んだ事例
業種
証券会社(金融)
取り組み領域
顧客相談/問い合わせ対応
使ったAI
投資相談AIアバター(生成AI+アバター・音声技術)
主な成果
自社イベントで初披露、正式提供を目指す段階
楽天証券は、投資や資産形成に不安を感じる顧客が気軽に疑問を解消できる接点をつくるため、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社の支援を受けて「投資相談AIアバター」を開発しました。基盤には、NVIDIAのアバター開発ツール「NVIDIA ACE」を用いたデロイト トーマツのカスタマーサービス向けソリューション「Quartz Frontline AI powered by NVIDIA」を採用し、同社が既に提供していた生成AIチャット「投資AIアシスタント(β版+プラス)」と連携させています。アバターは音声で受けた質問に対し、聞き耳を立てるしぐさを見せたり、口の動きを音声に同期させたりしながら、日本語の合成音声で回答します。2024年1月の自社イベントで来場者に初披露され、正式提供に向けた取り組みが続いています。
出典:楽天証券、「NVIDIA ACE」を採用した日本初の「投資相談AIアバター」を開発 | 楽天証券株式会社のプレスリリース 発行元:楽天証券株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
楽天証券が向き合っていたのは、投資や資産形成そのものに顧客が抱く不安と、それに伴う心理的なハードルでした。同社は生成AIを使ったチャットサービスを既に提供していましたが、それでもなお、お金や投資の疑問を気軽にぶつけられる手段が求められていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの核心は「答えが手に入らないこと」ではなく、「聞くこと自体のためらい」にあったのではないでしょうか。文字で正確な回答が返る仕組みが先に存在していたにもかかわらず、新しいコミュニケーション手段が必要とされた。この順序は、足りなかったのが情報量ではなく、質問をぶつける相手としての手応えだったことを示しているように読めます。分からないことを分からないまま尋ねてよい、と感じさせる要素の不在。そこにアバターという選択が置かれた点が、この取り組みの出発点になっています。
どうやって、うまくいったのか
回答の中身と、それを届ける振る舞いを別々の層として扱った構成が、この取り組みの土台にあります。すでに稼働していた生成AIチャット「投資AIアシスタント(β版+プラス)」をそのまま回答の供給源として活かし、アバター側は音声で受け取り音声で返す表現の役割を担う。この切り分けにより、金融の回答内容という最も慎重さを要する部分を作り直さずに、接客の体験だけを新しく積み増せる形になったと考えられます。
人間らしさの作り込みを、抽象的な「親しみやすさ」ではなく具体的な挙動へ落とし込んだ設計も見逃せません。顧客が話しているあいだに聞き耳を立てるしぐさを返し、発話に合わせて口の動きを同期させる。どちらも派手な機能ではありませんが、相手が自分の話を受け止めているという感覚は、こうした反応の有無で大きく変わります。心理的なハードルを下げるという目的に対し、演出の総量を増やすのではなく、対話が成立していると感じられる最小限の手がかりに資源を寄せた判断がうかがえます。
外部の基盤とパートナーの知見を組み合わせた分業の形も、実現を後押しした要素でしょう。アバター開発ツールであるNVIDIA ACEを土台に、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社がカスタマーサービス向けに整えたソリューション「Quartz Frontline AI powered by NVIDIA」を用い、同社が開発を支援する。音声認識、合成音声、アバターの描画といった技術要素を自前で一から揃えるのではなく、既製の基盤の上で自社サービスとの連携部分に力を集中させる進め方です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
開発された「投資相談AIアバター」は、2024年1月に開かれた「楽天証券 新春講演会2024」で来場者に初披露され、その場で新しいAI体験として提供されました。NVIDIA ACEを活用した会話型の相互コミュニケーションが可能なAIアバターサービスを個人向けに開発した例としては、日本初の取り組みとなります。現在は正式提供を目指す段階にあり、投資の疑問をアバターを通じて直感的に解決できる環境の構築が進められています。
うちでも使える?
この形が効きやすいのは、聞きたいことがあるのに聞きづらい、という心理が来客や相談の壁になっている業種です。編集部の事例考察でも、小売店やレストラン、販売代理店など対面接客が重んじられるBtoCの顧客サポートへの応用可能性が挙げられています。特に、すでにFAQやチャットで回答の中身が整っている場合は、その資産を活かしたまま受け答えの見え方だけを変える余地があります。
一方で、回答の正確さがまだ固まっていない段階でアバター化に進むのは危うい選択になりかねません。人の姿と声で返ってくる答えは、文字よりも受け手に信じられやすく、誤りがあったときの影響もその分だけ大きくなります。金融のように回答の正確さが顧客の判断に直結する領域では、なおさら慎重さが要るところです。また反応の速さや音声認識の精度がそのまま体験の質になるため、継続的な調整とインフラ面の手当てを前提に考える必要があります。
まず試すなら、既存のチャットに寄せられた質問を眺め、「文字で聞くのは気が引けそうな質問」がどれくらい混じっているかを見てみてはどうでしょうか。そこに厚みがあるなら、声とアバターに置き換える価値がある領域が見えてきます。
この事例は2024年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
小売店・レストラン・販売代理店などカスタマーサービス向けのサービスソリューション「Quartz Frontline AI powered by NVIDIA」を提供するコンサルティング会社。代表執行役社長は佐瀬真人。
楽天証券株式会社
出典・参考情報
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