実施 2025.01 ・ 更新 2026.08.17
セブン銀行が購買データをAI分析、カードローン広告の獲得単価が半分に
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 顧客の本当のニーズがつかめない
- 広告費のわりに申し込みが増えない
- データを分析できる人が社内にいない
どのようなAIの取り組み?
グループの購買データをAIに自動で分析させ、カードローン広告の顧客獲得単価を従来の半分に引き下げたAI取り組み
業種
銀行業(金融)
取り組み領域
マーケティング/カードローンの広告配信
使ったAI
AIデータ分析プラットフォーム「dotData」(NEC提供)
主な成果
顧客獲得単価(CPA)を従来の2分の1に削減
セブン銀行は、カードローンのマーケティングと与信審査を高度化するにあたり、自社が持つ金融データだけでなく、セブン&アイグループの購買データに目を向けました。用いたのは、日本電気株式会社(NEC)が提供するAIデータ分析プラットフォーム「dotData」です。自社のカードローンデータと、グループ共通会員IDにひも付いた購買データを連携させてこの基盤に投入すると、AIが数十万から数百万に及ぶパターンを自動かつ網羅的に洗い出し、どの商品の購入実績や購入頻度、組み合わせがカードローンの申し込みに影響するかをスコアの形で示します。その出力をもとに、データサイエンティストが分析モデルを組み立て、システム上で精度を検証しながら、ターゲティング広告を届ける相手を絞り込んでいきました。
出典:金融行動と購買行動を組み合わせた先進的な分析で成果を上げるセブン銀行 グループデータの活用により顧客獲得単価を2分の1に削減 発行元:日本電気株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
セブン銀行はATMの現金管理や与信審査など、すでにさまざまな業務でAIとデータの活用を進めてきました。それでも、顧客の生活スタイルや価値観までは金融データから読み取りにくく、そこにグループの購買データという活路を求めています。ところが、金融を本業とする同社には、リテール分野のデータをどう読むかという知見が足りていませんでした。膨大な購買データを前に仮説を立てて検証していく従来のやり方では、時間も手間も際限なくかかります。
編集部の見立てでは、困りごとの正体はデータ量の多さそのものではなく、「どこを見ればよいか」を決める前提知識を持たないまま、扱うデータだけが増えた点にあったのではないでしょうか。仮説検証型の分析は、最初の当たりが的確なほど早く答えに届きますが、裏返せば、土地勘のない領域では試行回数だけが膨らみます。異業種のデータを手に入れたこと自体は前進でも、それを読み解く目がなければ分析の負担がかえって増える。この構造こそが最初の関門だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
まず注目したいのは、仮説を立てる工程そのものを人からAIの網羅探索へ預けた、分業の切り方です。数十万から数百万に及ぶパターンを自動で洗い出し、購入実績や頻度、商品の組み合わせがカードローンの申し込みとどう関係するかをスコアとして並べる。この形にすると、リテールデータへの土地勘が乏しいという不利が、少なくとも分析の入口では効かなくなります。知見が足りない領域なら、人が筋のよい仮説に絞り込もうとするより、機械に総当たりさせたほうが速いという割り切りが働いたのでしょう。
AIが導き出した洞察をそのまま施策に流し込まず、データサイエンティストが分析モデルとして組み直し、精度を検証したうえで配信対象を決めている点も効いています。自動探索が返すのは統計的に目立つ関係性であって、そのすべてが打ち手として意味を持つわけではありません。探索は広く、実装は絞る。この二段構えが、網羅性と実務での使いやすさを同時に成り立たせたと見ています。
土台として見落とせないのが、グループ共通会員IDによって、金融側の行動と購買側の行動を同一の顧客としてつなげられたことです。事業が異なるデータは粒度も蓄積のされ方も違うため、集めただけでは掛け合わせになりません。ひも付けの軸が先に用意されていたからこそ、AIの探索対象が二つのデータの山ではなく、一人の顧客をめぐる連続した情報として成立しています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
購買データを踏まえてターゲティング広告の配信対象を絞り込んだ結果、顧客獲得単価(CPA・顧客を一人獲得するのにかかる広告費用)が従来の2分の1まで下がりました。あわせて、これまでの審査では通らなかった顧客に対しても、購買データを加味することでサービスを提供できる可能性が広がっています。今後は、高度な分析スキルがなくても扱えるという同プラットフォームの特性を生かした現場主導のAI・データ活用、そして金融とリテールのデータを掛け合わせた新規ビジネスの創出が方針として掲げられています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、顧客を同じIDで追えるデータが複数の接点にまたがって存在し、しかも施策の結果を数字で確かめられる出口を持っている場合です。広告配信は、配信した相手と申し込みの有無が対応づくため、AIが示した関係性が実際に役立ったのかを短い周期で判定できます。この検証のしやすさが、自動探索という手法と相性よく噛み合っています。
逆に、扱えるデータが自社の一領域に閉じていたり、顧客をひも付ける共通のIDがなかったりすると、探索の材料そのものが揃いません。また、AIが挙げた関係性を打ち手に翻訳する担い手も要ります。この事例でもデータサイエンティストがモデル化と精度検証を担っており、探索結果をそのまま現場が使える形にはなっていません。
はじめの一歩としては、いま広告や案内の送り先をどんな条件で選んでいるかを一つ書き出し、その条件が何のデータに由来しているかをたどってみてはいかがでしょうか。自社の中だけで完結しているなら、そこが掛け合わせの余地です。
この事例は2025年1月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社セブン銀行
原則24時間365日稼働する安全・安心な決済インフラを提供する銀行。全国に2万7000台以上のセブン銀行ATMやスマートフォンアプリ「Myセブン銀行」を通じてカードローンの借入・返済などのサービスを提供する。セブン&アイ・ホールディングスの一員で、コーポレート・トランスフォーメーション部にAI・データ推進グループとデータサイエンティストを擁する。
出典・参考情報
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