実施 2023.09 ・ 更新 2026.08.17
センコーグループが配車・物量予測を題材に現場社員約20名を育てたデータ活用研修
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 人手不足で現場が回りきらない
- ムダが見えていても減らせない
- データ活用が専門部署で止まる
どのようなAIの取り組み?
AI分析ツールと育成プログラムをセットで導入し、配車や物量予測を題材に現場社員のデータ活用力を育てた人材育成の取り組み
業種
総合物流業(運輸・物流)
取り組み領域
データ人材育成/配車・需要予測
使ったAI
dotData(AI自動化分析ソリューション)
主な成果
参加した約20名全員が学習継続を希望(実業務適用モデルは未完成)
センコーグループは物流を中核に、商事やライフサポートなどを手がける企業グループです。ドライバー不足と自動車運転業務の時間外労働の上限規制を背景に、輸配送のムダを削るためのデータ活用を進めるにあたり、専門家ではない現場の従業員が自分でデータを扱える体制づくりに踏み出しました。選んだのは、NECのAI自動化ソリューション「dotData」と、その使いこなしを学ぶDX人材育成サービスです。全社員を対象にした入門講座からハンズオン研修へと段階を踏み、自ら立候補した約20名を5つのチームに分けて、配車最適化、需要予測、物量予測、シフト最適化といった実際の業務課題をテーマにしたOJT(実務を通じた訓練)を実施しています。チーム編成では、あえて異なるグループ会社のメンバーを混在させました。
出典:社会の循環器である物流を止めない センコーグループが挑むデータ活用と人材育成 発行元:日本電気株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
目の前にあったのは、少子高齢化に伴うドライバー不足と、2024年4月から適用される自動車運転業務の時間外労働の上限規制です。より短い時間、少ない人数で従来以上のサービスを提供しながら、ドライバーの収入も担保しなければならない。その糸口として着目されたのが、往路は満載でも復路は空荷になるといった輸配送のムダでした。
見過ごせないのは、社内大学「センコーユニバーシティ」にすでにデータ活用のコースがありながら、プログラミング言語や統計解析ツールの習得に時間がかかり、全社的な定着には届いていなかったという経緯です。編集部の見立てでは、困りごとの本質は分析できる人の数ではなく、学ぶ対象がツールの操作技術に寄りすぎて、現場が抱える具体的なムダと結びつかないまま終わっていた点にあります。どの便のどこに無駄が出ているかは、日々の運用を知る人にしか言語化できません。習得のハードルの高さは、その当事者を分析の外側に置き続けることでもありました。
どうやって、うまくいったのか
起点になったのは、人に高度なスキルを求めるのではなく、専門家でなくても直感的に扱える環境を先に用意するという順序の入れ替えです。ここで選ばれたAI自動化ソリューションは単体で導入されたのではなく、使いこなしを学ぶ育成サービスと一体で採用されました。ツールと教育がセットになっている点を評価して選定したという判断には、道具だけ配っても現場では動かないという前提が透けて見えます。学びの出口を操作の習得ではなく業務課題の解決に置き直したことが、過去に定着しなかった取り組みとの分かれ目になったと考えられます。
参加者の集め方も、この設計を支えています。全社員向けの入門講座から始め、ハンズオン研修を挟み、そのうえで自ら手を挙げた約20名だけが実務課題のOJTへ進む段階構成です。指名で頭数をそろえる方式を採らず、関心の高まった人だけが次の段階へ移る形にしたことで、実務に踏み込む段階では動機の揃ったメンバーが残ります。自発性を研修の成果として期待するのではなく、参加の条件として先に置いた設計だと言えるでしょう。
チームの組み方と伴走の仕方には、さらに踏み込んだ工夫があります。テーマは配車最適化や需要予測、物量予測、シフト最適化という実在の業務課題に据え、メンバーはあえて異なるグループ会社から混成しました。多様な事業データを掛け合わせて新たな価値を生むという狙いを、研修の場そのものの構造に埋め込んだ格好です。開発・育成を担ったNECの講師は答えをすべて示さずヒントで好奇心を刺激し、チームごとの進捗レポートを見ながらプログラムを微修正するという、走りながら形を変える支援の役割を担いました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
参加した約20名は、データを用いた課題解決の手法と、精度を改善していくプロセスを実践的に学んでいます。すぐに実業務へ適用できる完璧なモデルが完成したわけではないものの、参加者全員が学習を続けたいと答えるところまで意欲が高まりました。経営層からの評価も得ており、第一期メンバーの学びを深めながら、グループ内の多様な人材が集まってデータ分析から新しいビジネスを生む場へ広げていく展望が示されています。成果を完成物ではなく人の変化として捉えている点が、この取り組みの性格をよく表しています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、ムダの所在が現場の実感としては見えているのに、それを数字で示す手立てがない組織です。配車や物量の予測のように、日々の業務で自然にデータが貯まり、担当者自身が「どこに無駄が出ているか」を言葉にできる領域なら、外部の専門家に委ねるより現場が自分で回したほうが検証は速く進みます。
一方で、そのまま真似しにくい条件もあります。約20名を実務課題に充てられる人員の余力、複数のグループ会社から人を出せる規模、そして進捗を見ながら内容を調整する伴走者の存在。このいずれかを欠くと、研修は操作の習得で止まりやすくなります。この事例が得たものが完成したモデルではなく学習意欲である以上、短期の費用対効果で判断する場では評価しづらいという点も、あらかじめ織り込んでおきたいところです。
小さく始めるなら、自社の業務データのうち、担当者が「ここは無駄が出ている」と口にする対象をひとつ選び、その予測や割り当てをテーマに試してみる。人選は指名ではなく立候補で。
この事例は2023年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
NEC
AI自動化ソリューション「dotData」と、その使いこなしやデータ活用を学ぶ「DX人材育成サービス」を提供する企業。センコーグループ向けには入門講座、dotDataを使ったハンズオン研修、実務実践型のOJT研修を講師派遣とともに提供した。
センコーグループホールディングス株式会社
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