実施時期: 2023年07月|2026.05.19 最終更新
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プロジェクト概要
アプローチと成果
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こんな課題を持つ企業におすすめの事例です
航空業界において、安全・安心なフライトの実現と、不具合に起因する遅延や欠航の抑制は最重要テーマです。JALグループの航空機整備を一手に担うJALエンジニアリングでは、不具合が発生してから修理するのではなく、事前に部品を交換する「故障予測」に注力してきました。
同社は2016年から「故障予測プロジェクト」を立ち上げ、フライトデータと整備データを統合的に分析する取り組みを開始しました。当初は、整備士の経験に基づく仮説を立てて検証する「仮説検証型分析」を採用し、着実に成果を上げていました。しかし、電気系統のトラブルなど、メカニカルな部品トラブルとは異なり仮説を立てにくい不具合の予測が困難であるという課題に直面しました。そこで、データそのものから特徴量を見い出して仮説を導出する「仮説探索型分析」への移行が求められるようになりました。
膨大なデータから有意な特徴量を見い出すため、特徴量自動設計技術を持つ予測分析自動化AI「dotData」を導入しました。dotDataは、ツール側で自動的に特徴量を抽出し、人間が解釈可能な形で可視化できる点が評価されました。
しかし、航空機のセンサーデータは1機あたり数千種類に及び、データ量が膨大であるため、過去の全データを学習させることは非現実的でした。そこで同社は、不具合が発生したフライトデータと直前のフライトデータを「異常データ」とし、一部抽出した「正常データ」とともにサンプリングデータとして投入する独自の手法を考案しました。
この手法により、限られたデータ量から正常と異常を選り分ける特徴量を自動抽出させることが可能になりました。さらに、dotDataが抽出した特徴量の中から、エンジニアリング的に意味がありそうなものを人間がピックアップし、従来の手法で検証して故障予測モデルを構築するという、AIと人間の知見を融合させたフローを確立しています。
改善・向上したこと
品質・安全性向上
データ分析・意思決定支援
エラー・ミスの削減
推進したこと
データ戦略・活用策定
AI活用の社内展開・定着
2019年からの試験運用を経て、不具合の予兆を示す有効な特徴量の抽出に成功し、2020年から本格的に仮説探索型の故障予測分析を開始しました。
具体的な成果として、ボーイング787のエアコンシステム部品の不具合予兆検知に関する特徴量作成に成功し、航空技術協会の表彰審査会委員長特別賞を受賞しています。また、対象システムが停止している最中に特定の傾向を示す特徴量が存在するなど、人の知見だけでは見出せなかった新たな特徴量を発見することにも成功しました。
今後は、dotData活用の質と量の双方を強化し、部品整備部門など社内のより多くの部門での分析・予兆検知の取り組みを広げていく展望です。
自社活用(自社開発・活用推進)
全社共通・汎用業務
整備・技術部門
製造
設備異常検知・予知保全
文書・ナレッジ
マニュアル・業務規定・FAQ
数値・Excel・ログ
システムログ・操作履歴
機械・設備・位置
設備稼働ログ・機械センサー
採用したAI技術
AIモデル・構築手法
(RAG / ファインチューニング / 他)
機械学習・統計モデル(数値データからの予測・分析)
その他のツール
WarpBiz編集部の事例考察
本事例の成功の最大の要因は、膨大なデータに対して全量学習を行うのではなく、異常データと正常データをサンプリングして投入する独自のアプローチを考案し、AIの自動抽出と人間の知見を巧みに組み合わせた点にあります。この手法は、製造業の生産ラインにおける設備保全や、インフラ業界の異常検知など、膨大なセンサーデータを扱うあらゆる領域に応用可能です。AI導入にあたっては、データを丸投げするのではなく、目的を明確にし、実際のデータと分析を回しながらアジャイルに価値を検証する姿勢が求められます。同様のAI活用を検討される方は、ぜひ他の事例記事もご覧いただき、自社に合ったツール探しにご活用ください。
JALグループが運航する航空機の機体や部品の整備を一手に担う。国内外の航空会社の機材整備も手掛ける。
故障予測分析をAIでさらに高度化 空の安全を守るJALエンジニアリングの取り組みとは
発行元:日本電気株式会社(NEC)
関連度の高い事例を選定しています。少しお待ちください。