実施時期: 2023年07月|2026.06.02 最終更新
プロジェクト期間: 3年以上
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プロジェクト概要
アプローチと成果
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こんな課題を持つ企業におすすめの事例です
航空業界において、航空機の不具合は重大な事故やフライトの遅延・欠航に直結するため、徹底した整備が不可欠です。JALエンジニアリングでは、不具合が発生してから対応するのではなく、事前に部品交換などを行う「故障予測」に注力してきました。
同社は2016年から、航空機のセンサーデータや過去の整備データを統合し、整備士の経験に基づく仮説を立てて検証する「仮説検証型分析」を実践し、多くの故障予測モデルを構築してきました。しかし、電気系統のトラブルなど、メカニカルな部品とは異なり不具合に至るシナリオの仮説を立てにくい事象に対しては、従来の分析手法では予兆を検知することが困難でした。
そこで、データそのものから不具合の兆候を示す特徴量を見つけ出す「仮説探索型分析」への移行を目指し、新たなAI技術の導入と開発プロジェクトをスタートさせました。
膨大なデータから未知の予兆を自動的に見つけ出すため、日本電気株式会社(NEC)は特徴量自動設計技術を持つAI「dotData」を活用した受託開発および分析支援を行いました。
航空機から得られるセンサーデータは1機あたり数千種類に及び、中には0.2秒間隔で生成されるものもあるため、全データをそのまま学習させることは非現実的でした。そこでNECとJALエンジニアリングは議論を重ね、入力データの構築方法に独自の工夫を凝らしました。
具体的には、不具合が発生したフライトデータとその直前のデータを「異常データ」とし、一部の「正常データ」とともにサンプリングしてAIに投入する手法を開発しました。これにより、限られたデータ量でも正常と異常を分類する特徴量を自動抽出することが可能になりました。さらに、AIが抽出した特徴量の中からエンジニアリング的に意味のあるものを人間がピックアップし、従来の検証手法と組み合わせるという独自のハイブリッドな分析フローを確立し、プロジェクトを伴走支援しています。
改善・向上したこと
品質・安全性向上
データ分析・意思決定支援
データドリブン文化の定着
推進したこと
システムへのAI機能組込み
データ戦略・活用策定
2019年からの試験的な運用を経て、明らかに不具合の予兆を示す有効な特徴量の抽出に成功しました。例えば、ボーイング787のエアコンシステム部品における不具合の予兆検知では新たな特徴量を発見し、この取り組みは航空技術協会の表彰審査会委員長特別賞を受賞するなどの高い評価を得ています。
また、従来の整備士の知見では「システム稼働中に兆候が現れる」と考えられていた事象に対し、AIの分析によって「システム停止中に特定の傾向を示す特徴量が存在する」という新たな事実が判明するなど、人間の経験則を補完する定性的な成果も生まれています。
現在では部品整備部門との共同分析も進んでおり、より多くの担当者がデータ分析に取り組む体制が構築されつつあります。
全社共通・汎用業務
整備・メンテナンス
製造
設備異常検知・予知保全
数値・Excel・ログ
システムログ・操作履歴
機械・設備・位置
設備稼働ログ・機械センサー
採用したAI技術
AIモデル・構築手法
(RAG / ファインチューニング / 他)
機械学習(数値データからの予測・推論)
統計モデル(数値データに基づく傾向分析)
その他のツール
WarpBiz編集部の事例考察
本事例の成功の最大の要因は、AIにデータを丸投げするのではなく、膨大なセンサーデータを適切にサンプリングし、人間の知見とAIの探索能力を掛け合わせた独自の分析フローを構築した点にあります。このアプローチは、製造業における設備の予知保全や、インフラ業界での異常検知など、大規模なIoTデータを扱う他業種にも応用できる有効な手法です。導入にあたっては、AIが導き出した結果を現場のエンジニアが解釈し、実務に落とし込める体制づくりが重要となります。同様のAI活用やデータ分析基盤の構築を検討される方は、ぜひ他の予知保全の事例記事もご覧ください。
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