実施 2023.07 ・ 更新 2026.08.17
信託銀行が全社員6,000人に生成AIを開放、月2,000時間超の業務削減
プロジェクト期間:1年 〜 2年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを試したいが用途が決まらない
- 翻訳や要約に時間を取られている
- 現場から改善の提案が出てこない
どのようなAIの取り組み?
法人向けChatGPTを全社に開放し、月平均2,000時間以上の業務工数削減につながったAI取り組み
業種
信託銀行(金融)
取り組み領域
全社共通業務/翻訳・要約・資料作成
使ったAI
法人向けChatGPT「ChatMee」(生成AI)
主な成果
月平均2,000時間以上の業務工数削減
信託銀行が、株式会社AVILENの法人向けChatGPT「ChatMee」を全社に導入した事例です。生成AIが世間の注目を集め始めた2023年春頃、特定の業務課題を解くためではなく、まず全社員に生成AIを体感してもらうことを目的として検討が始まりました。使われ方の中心は、英文の日本語訳、現地ローカル社員に向けたメールやアナウンスの英訳、長文の要約といった日常業務です。企画職ではアイデアの壁打ち相手としての利用が多く、主業務を進めながらコード生成やVBAツールの作成を並行して依頼する使い方も広がっています。約6,000人の社員のうち約2,000人がアクティブに利用する規模へ定着し、社内アンケートの有効回答をもとに月平均2,000時間以上の削減が算出されています。
出典:【AI活用事例_三菱UFJ信託銀行×AVILEN】生成AI活用で月平均2,000時間以上の業務時間削減を実現 |支援事例|AVILEN 発行元:株式会社AVILEN
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
2023年春頃、生成AIという言葉は広く知られていたものの、多くの社員にとってそれが自分の仕事とどう結びつくのか、具体的なイメージが湧かない状態にありました。この事例が出発点に置いたのも、特定業務の非効率を潰すことではなく、まず全社員に可能性を体感してもらい、現場から「こんな改善ができるのではないか」という声を引き出すことでした。
編集部の見立てでは、ここでの本当の困りごとは、解くべき課題が足りなかったことではなく、課題が現場の一人ひとりの手元に散らばったまま、経営や企画の側から見えていなかったことにあります。日々の翻訳や要約に費やされている時間は、担当者にとっては当たり前の作業として処理されるため、改善対象として言語化されにくい。だからこそ、上から用途を定義しに行くのではなく、ツールを先に配って使い道を発見させるという順番が選ばれたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
用途を先に決めずに全社員へ配るという設計が、この取り組みの骨格です。通常、AI導入は投資対効果を説明するために対象業務と対象部門を絞り込むところから始まりますが、ここではその順番が反転しています。誰にどの業務で効くかを事前に特定できないなら、判断できる人の数を最大化したほうが早い、という割り切りが働いたと考えられます。結果として、企画職の壁打ちのように当初は想定しにくい使い道まで拾い上がる状態が生まれました。
入口を翻訳と要約という汎用業務に置いたことも、定着を後押ししたはずです。英文の和訳や現地ローカル社員向けの英訳、長文の要約は、部門や職種を問わず今日その場で試せる作業であり、成果の良し悪しをその人自身がすぐ判断できます。この「試して確かめるまでが短い」用途が最初にあったからこそ、コード生成やVBAツールの作成のような、一歩踏み込んだ使い方へ進む人が出てきたのでしょう。
未知のリスクを、導入前に洗い切るのではなく運用しながら潰していく進め方も見逃せません。実際、運用の過程で追加のリスク対応事項が次々と発生していますが、提供元であるAVILENが都度の相談に応じる形でプロジェクトが進んでいます。全社規模で先に配るという判断は、この伴走体制とセットでなければ成立しにくい。リスクの棚卸しを完了条件にしない代わりに、発生時の応答速度を確保するという役割分担が置かれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
約6,000人の社員のうち、約2,000人がアクティブに利用する規模へ定着しました。社内アンケートの有効回答をもとに算出した業務工数の削減は月平均2,000時間以上で、有効回答が全体の約半数だったことから、実際にはこれを上回る削減が生じていると見られています。今後は金融業界における生成AI活用のトップランナーを目指し、活用推進を続けていく方針です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、部門をまたいで似た作業が発生している組織です。海外とのやり取りが日常的にある、資料や報告書の読み込みに時間がかかる、といった状況なら、用途を細かく定義しなくても使い手のほうが使い道を見つけてくれます。逆に、数十人規模の組織でこの進め方をそのまま真似るのは難しいでしょう。全社員の三分の一が使う中から多様な用途が立ち上がってきた構図は、母数の大きさに支えられている面があり、人数が限られるなら最初から用途を一つ二つに絞って深く使うほうが早く成果に届きます。効果の把握がアンケートベースである点にも注意が必要で、投資判断の材料として数字を求められる場合は、どう測るかを配り始める前に決めておいたほうが安全です。
最初の一歩としては、直近の会議資料か英文メールを一本だけ選び、要約と翻訳を実際に生成AIに任せて、自分の手作業と結果を並べて見比べてみる。効くかどうかの手応えは、その比較の一回でおおよそつかめます。
この事例は2023年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社AVILEN
法人向けChatGPT『ChatMee』を提供するAI企業。生成AI導入支援、人材育成、開発、コンサルティング、AI技術実装、デジタル組織開発などのサービスを展開している。
三菱UFJ信託銀行株式会社
出典・参考情報
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