実施 2024.02 ・ 更新 2026.08.17
電話問い合わせの約30%をAIが自動対応、アート引越センターの受注窓口の設計
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話が集中して取りきれない時間帯がある
- 同じ内容の問い合わせに人手を割いている
- 電話の後の入力や社内連絡に時間を取られる
どのようなAIの取り組み?
電話を受けて自動で応答するAIとIVR(電話の自動音声応答)を組み合わせ、受注センターに入る問い合わせの約30%を自動対応に振り替えたAI取り組み
業種
引越業(運輸・物流)
取り組み領域
受注センター/電話の問い合わせ対応
使ったAI
PKSHA VoiceAgent(電話応答AI)
主な成果
全問い合わせの約30%を自動対応(目標20%を上回る)
引越業のアート引越センターが、各地域の受注センターにかかる電話への対応を見直した事例です。新規の申し込みと既存顧客からの問い合わせが同じ窓口に集中し、時間帯によっては電話を取りきれない状態が続いていました。同社はPKSHA Technologyが提供する電話応答AI「PKSHA VoiceAgent」を採用し、まずIVRで一次受けをして用件を切り分け、段ボールの追加依頼や日程変更のように答えが定型に収まる用件だけをAIに任せる形にしています。受け付けた内容は社内システムへ自動で流し込み、担当部署への連絡を人手のメールに頼らない運用へ切り替えました。運用開始後も、質問の順番や言い回しを調整しながら精度を高める作業が続いています。
出典:導入事例|アート引越センター株式会社〜お問い合わせの約30%をPKSHA Voicebotで自動対応 従業員の負荷削減や新規顧客獲得の注力にも成功 発行元:株式会社PKSHA Technology
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
受注センターには、これから引越を申し込む見込み客の電話と、すでに契約を済ませた顧客からの細かな問い合わせが、区別なく流れ込んでいました。問い合わせが重なる時間帯には応答が追いつかず、放棄率の高さと待ち時間の長さが表面化していたわけです。
ただ、編集部の見立てでは、この困りごとの本質は電話の総量そのものではなく、性質の異なる二種類の用件が一本の入り口を共有していたことにあります。新規の相談は聞き取りに時間がかかり、売上にも直結する一方、段ボールを追加したいといった用件は答えがほぼ決まっている。両者が同じ待ち行列に並ぶ限り、人を増やしても最も応対すべき相手に手が回らない構造は変わりません。人手不足の問題として語られがちな現象の下に、実は用件の仕分けが行われていないという設計上の空白があったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
最初にIVRで用件を聞き、そのうえでAIに渡すかどうかを決める二段構えの導線が、この取り組みの土台になっています。AIに任せる範囲は、訪問見積もり後の段ボール追加、日程の変更、法人顧客の転勤に伴う再連絡といった、応対の型が決まっている用件に絞られました。すべての電話をAIで受けようとすれば判断の難しい相談まで抱え込むことになりますが、入り口で仕分けを済ませてから渡す構成なら、AIは得意な範囲だけを確実に処理できます。人が対応すべき相談を守るために自動化の範囲をあえて狭く設計した、という順序が効いていると読み取れます。
自動化の線引きを会話の終わりで止めなかった点も見逃せません。受け付けた内容は社内システムへ自動連携され、それまで人がメールで担当部署へ回していた作業が仕組みの中に組み込まれました。電話応対だけを自動化すると、受け付けた情報を誰かが転記し直す手戻りが残り、現場の負荷は思ったほど減りません。応対から社内への引き渡しまでを一続きの流れとして設計したことで、自動化した件数がそのまま負荷の軽減につながる形になっています。
顧客の話し方に合わせた作り込みと、稼働後も終わらない調整も特徴的です。関西弁で話す顧客への対応など現場からの細かな要望がシステムに反映され、運用が始まってからも質問の順番や言葉遣いを見直しながら、認識精度と完結率の向上が図られています。電話の自動応答は、途中で会話が噛み合わなくなれば顧客はそのまま人を呼ぶため、細部の言い回しが成否を分けやすい領域です。作って終わりにせず、実際の会話を見ながら手を入れ続ける運用姿勢が、自動化できる用件の幅を支えていると考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
各地域の受注センターに入る全問い合わせのうち、約30%を電話応答AIで自動対応する結果となり、当初目標の20%を大きく上回りました。人員を増やさないまま新規受注を伸ばすという本来の狙いも達成されています。社内システムとの自動連携によって情報共有のリアルタイム性が高まり、後処理業務(ACW/通話後の記録・連絡作業)の効率化にもつながりました。現場からは電話が鳴り響いて取れない状況が軽減されたという声が上がっており、今後は引越後の段ボール回収手配など適用範囲の拡大が検討されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、問い合わせの中に「聞くべきことが決まっていて、答えも一通りに定まる」用件がまとまった割合で存在する窓口です。予約日時の変更、追加注文、住所や連絡先の変更といった依頼が日常的に発生する業種であれば、この事例と同じ考え方が働きます。加えて、受け付けた内容を流し込む先の社内システムが用意されているかどうかも、効果の大きさを左右します。受付だけ自動化しても、その後を人が転記するなら負荷は移動するだけです。
反対に、顧客ごとに事情を聞き出しながら条件を組み立てる相談が中心の窓口や、電話口で例外的な判断を求められる場面が多い業務では、切り出せる範囲が小さく、投じた調整の手間に見合いにくくなります。方言や言い回しの揺れに合わせた作り込みが必要になる点も、事前に見込んでおきたいところです。
まず試すなら、直近1週間分の着信記録を用件別に数えて、答えが定型に収まる用件が全体の何割を占めるかを確かめてみてはいかがでしょうか。その比率が、自動化で狙える上限のおおよその目安になります。
この事例は2024年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:音声・音響
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
アート引越センター株式会社
出典・参考情報
導入事例|アート引越センター株式会社〜お問い合わせの約30%をPKSHA Voicebotで自動対応 従業員の負荷削減や新規顧客獲得の注力にも成功
発行元:株式会社PKSHA Technology
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