実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
週1回の伴走支援で全10事業部がAIを内製化、一部門で年間1368時間削減
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを何から始めるか決まらない
- 社内にAIに詳しい人がいない
- 研修しても現場で使われない
どのようなAIの取り組み?
週1回1時間の伴走セッションを1年続け、全10事業部が自分たちでAI施策をつくれる状態を目指したAI取り組み
業種
住宅・不動産事業(建設・不動産)
取り組み領域
全社横断の業務改善/AI人材育成
使ったAI
生成AI各種(ChatGPT・Gemini・Claude)とGoogle Apps Script
主な成果
広報企画部単独で年間1,368時間を削減
住宅・不動産を中心に事業を展開するアイニコグループ株式会社は、AI活用を組織に根づかせるため、株式会社THAによる実務伴走型の支援を1年間受け入れました。全10事業部を対象に週1回1時間の勉強会と実務共創セッションを重ね、ベンダーが完成品を渡すのではなく、現場の担当者自身が手を動かしてエラーを解決する進め方をとっています。不動産部門ではGoogle Apps Scriptによる反響管理表の自動集計とChatGPTでの顧客案内文の生成、介護事業部ではGeminiを使った高齢者向けのAI生活相談員、設計監理部ではClaudeによる図面差分の自動抽出と自動補正と、部署ごとに異なる施策が現場主導で形になりました。
出典:AI社長を提供するTHA、楓工務店などを展開するアイニコグループ(株)の業務改善を支援。年間1,368時間削減した部門も | 株式会社THAのプレスリリース 発行元:株式会社THA
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
AI活用を始めたいが何から手をつければよいか分からない、社内に推進できる人材がいない、研修を開いても現場に残らない。アイニコグループが抱えていたのは、多くの中小企業が突き当たるこの三つの行き詰まりでした。プロジェクト開始の時点で、API(外部サービスの機能をプログラムから呼び出す仕組み)やGoogle Apps Scriptを理解している社員は2名にとどまっていました。
編集部の見立てでは、この状況の核心は人材の頭数ではなく、AIに触る時間が業務のどこにも組み込まれていなかったことにあります。単発の研修が定着しないのは内容が物足りないからではなく、学んだ翌日に自分の仕事へ当てはめて試す枠がないためで、知識は使われないまま薄れていく。専門人材がいないという言い方の下には、試行錯誤の場が業務の中に存在しないという構造上の問題が横たわっていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
ベンダーが完成した仕組みを納品せず、現場の担当者が自分でエラーに向き合う形に徹したことが、この取り組みの骨格になっています。外部に作ってもらった仕組みは、動いている間は快適でも、仕様を変えたい場面や止まった場面で必ず作り手を呼び戻すことになります。エラーを解く経験まで現場に渡す進め方は、遠回りに見えて、担当者の中に「どこを直せば動くか」という勘所を残します。技術的な問題解決のプロセスを学べたという声が現場から上がっているのは、この設計が意図どおりに働いた表れと読めます。
週1回1時間という枠を1年間固定し、それを経営層が公式プロジェクトとして扱った時間設計も効いています。AIの習得が業務の合間の自主努力に委ねられると、繁忙期に最初に削られるのは学習の時間です。毎週決まった時刻に全10事業部が同じ枠で手を動かす形にしたことで、試して失敗し、翌週に持ち寄って直すという循環が業務のリズムそのものに組み込まれました。
題材を各部署の実務課題に直接据えた点も、定着を左右した要因と考えられます。反響管理表の集計、高齢者からの相談への応答、図面のズレの検出と、扱ったテーマはいずれも担当者が日々手を焼いていた作業で、動けばその日から負担が軽くなる。練習用の課題ではなく自分の仕事が対象であれば、動くまで粘る動機は自然に生まれます。さらに、他部署でも使える汎用性を意識して設計するという方針が共有されたことで、一つの工夫が個人の手元で終わらず、組織の側に残る形になりました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
定量面では、広報企画部単独で年間1,368時間の業務削減に達し、介護事業部では月間912分、不動産部門では月間375分の削減が生まれています。あわせて注目したいのが体制側の変化で、開始時点では2名だったAPIやGoogle Apps Scriptの使い手が、全社で活用が標準化された状態にまで広がりました。開発の起点が外部委託から社内へ移ったことは、削減時間の数字と並ぶ重い変化です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、部署ごとに定型的な集計や文書作成の手間が積み上がっていて、その作業手順を担当者本人が言葉で説明できる組織です。反響管理表の集計や案内文の作成のように、やり方を書き出せる作業ほど、現場の担当者が自分で試し、直しながら精度を上げていけます。
一方で、週1回1時間を1年続ける枠は、経営層が業務時間として公式に認めなければ成立しません。現場の善意や自主性に預けた形では、繁忙期の最初の週に消えます。基幹システムの制約が強く、担当者の手元でデータを取り出したり書き換えたりできない業務でも、この進め方の効きは鈍くなるでしょう。
最初の一歩は、来月のカレンダーに1時間の枠を4回分だけ先に押さえ、そこで扱う題材を自部署の実務から1つ選ぶこと。作ったものの出来栄えよりも、その4つの枠が最後まで残るかどうかが、伴走型を続けられる組織かどうかの試金石になります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社THA
「日本を支える中小企業に最適なAI・ITソリューションを」「日本を支える勇者たちに最強の強化魔法を」を掲げ、AI技術を中心にIT・クリエイティブ技術を提供し企業の業績向上を支援する企業。2023年8月のサービス提供開始以来、導入実績とノウハウを蓄積。主力サービスは企業理念を核とした会社専用AIキャラクターを構築する「AI社長」(現在50社が導入)と、中小企業経営者・リーダー向け実践型AIコミュニティ「AIリーダーズクラブ」。代表取締役は西山朝子。資本金500万円、未上場。
アイニコグループ株式会社
出典・参考情報
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