実施 2023.12 ・ 更新 2026.08.17
伊藤忠商事の生成AI新規事業、社員のアイデアを8つの企画と試作品へ
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内にAIの使い手が育たない
- 新規事業のアイデアが形にならない
- 現場の困りごとが技術と結びつかない
どのようなAIの取り組み?
生成AIとデータ基盤を組み合わせ、社員発のアイデアを8つの事業企画とMVP(実際に使える最小限の製品)にまとめたAI取り組み
業種
総合商社(卸売・商社)
取り組み領域
新規事業開発/社内人材育成
使ったAI
Azure OpenAI Service(生成AI)とデータ分析基盤
主な成果
8つの事業企画とMVPを構築(事業化は今後)
総合商社の伊藤忠商事では、希望する社員が本業以外の案件に関われる部署横断の協業プラットフォーム「バーチャルオフィス」を土台に、「生成AIを活用したビジネスの創造」というプロジェクトが立ち上がりました。幅広い事業分野を担当する社員が抱える業務課題を解き、自社ならではのデータ活用法を探ることが狙いです。パートナーには生成AI活用の実績を持つ株式会社ヘッドウォータースが入り、基礎知識の提供とアジャイルコーチングのカリキュラム、アイデアソンの開催、データサイエンティストとの壁打ちによる企画の絞り込み、そしてAzure OpenAI Serviceなどを用いたMVP構築までを伴走しました。結果として8つの事業企画が具体化し、現場社員が主体となってAIとデータを扱う体制が立ち上がっています。
出典:伊藤忠商事「バーチャルオフィス」の生成AI及び Microsoft Fabric等のデータプラットフォーム活用を支援しました ~ Microsoft Ignite Japanで支援内容が紹介されます ~ - 株式会社ヘッドウォータース 発行元:株式会社ヘッドウォータース
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあったのは、幅広い事業分野を担当する社員がそれぞれ抱える業務上の課題と、自社らしいデータ活用法をどう見つけるかという問いでした。議論の器としては、有志が本業以外の案件に関われる「バーチャルオフィス」がすでに動いており、新規事業の創出に向けた話し合いも重ねられていました。
編集部の見立てでは、ここでの詰まりは課題の数ではなく、課題を最もよく知る人と、それをAIで形にする技術との距離にあったのではないでしょうか。総合商社のように扱う事業が広い組織では、解くべきテーマは各カンパニーの現場に分散して存在します。中央の一部門が代表して拾いにいく進め方では、扱える範囲がどうしても細ってしまう。解決策を配るのではなく、現場の社員自身が生成AIを扱える状態をつくる方向へ進んだ背景には、そうした構造への判断があったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
教育を最初の一手に据え、そこからMVP構築までを一本の流れとして設計したことが、この取り組みの骨格になっています。生成AIの基礎知識の提供と、短い周期で作りながら考えるアジャイルコーチングのカリキュラムが先に置かれ、その延長線上にアイデアソン、企画の絞り込み、試作の構築が並んでいました。ツールを配ってから使い道を探すのではなく、扱える人を先に増やしてから題材を出させる順序になっている点が要と言えます。
発散と収束を明確に分けた進め方も効いたと見ています。アイデアソンでは各カンパニーの事業課題に対する案を数多く出し、その後にデータサイエンティストとの壁打ちを通じて8個へ絞り込むという二段構えが取られました。技術側の視点を早い段階で当てることで、実現の見込みが薄い案を抱えたまま先へ進む事態を避けられます。アイデアの量を確保する場と、それを技術的な現実に照らす場を別に用意した設計が、企画としての昇華を支えたのではないでしょうか。
技術面では、Azure OpenAI ServiceやMicrosoft Fabric、Azure Databricksを組み合わせた基盤のアーキテクチャを先に考案し、そのうえでMVPの構築に入る手順が取られています。生成AIの部分だけを切り出さず、データを蓄えて扱う仕組みまで含めて土台を決めてあれば、8つという複数の企画を同じ基盤の上で並行して試せます。個別に環境を作り込む場合と比べ、試作の立ち上がりが速くなる構えです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現場の社員が主体となって生成AIとデータを活用する体制が整い、各事業が抱える業務課題の解決に向けた検討は具体的な段階へと進みました。取り組み自体も日本マイクロソフトから最先端のAI活用事例として評価され、「Microsoft Ignite Japan」で紹介されています。一方で、絞り込まれたビジネスプランの事業化支援や外販AIサービス開発への協力は、これから期待される段階にあります。
うちでも使える?
応用しやすいのは、解くべき課題が本社ではなく各現場に散らばっている組織です。事業や拠点ごとに事情が違い、中央の情報システム部門が全部を代行するには量も種類も多すぎる、という状態であれば、現場の人にAIの扱い方を教えて題材ごと出してもらう進め方は噛み合います。部署をまたいで人が集まれる場が社内にあるなら、そこを起点にできる点も大きいでしょう。
逆に、この形がそのまま効きにくい場面もあります。今回は社員が本業以外の案件に時間を使える仕組みが先にあり、そのうえで教育とアイデアソンが乗りました。参加が業務時間外の持ち出しになる前提だと、教育まではできても企画の練り上げまで続きません。加えて、出てきた案を技術的な実現性で選り分ける役割を社内外に確保できないと、絞り込みが人気投票に近づいてしまいます。
まず試すなら、直近の会議で出た「困っている」という発言をいくつか拾い、それぞれについて手元にデータがあるかどうかだけを技術のわかる人と一緒に確かめてみてはいかがでしょうか。判断できる材料があるテーマとないテーマの線引きが、最初の収束点になります。
この事例は2023年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:経営・企画
採用したAI技術・ツール
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ヘッドウォータース
AIソリューション事業を手掛ける企業。Azure OpenAI Serviceの統合開発を行い、エンタープライズ企業への生成AI導入を支援している。
伊藤忠商事株式会社
出典・参考情報
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