実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.17
三菱UFJニコスの生成AI活用、汎用利用から業務特化へ現場社員が探る検証
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生成AIの使い道が翻訳や要約で止まっている
- 現場から具体的な活用案が出てこない
- Excelマクロを作れる人が限られている
どのようなAIの取り組み?
全社導入した生成AIの使い方を、翻訳や要約といった汎用的な範囲から業務特化型へ広げるため、現場の社員自身がユースケースを考案し検証したAI取り組み
業種
クレジットカード事業(金融)
取り組み領域
コールセンター/バックオフィス事務
使ったAI
法人向けChatGPT(生成AI)
主な成果
検証を通じてAIと人の役割分担を整理し、社内に活用文化が広がる
クレジットカード事業を手がける三菱UFJニコスは、法人向けChatGPTを全社に導入したものの、使われ方が翻訳や要約といった汎用的な範囲にとどまっていました。そこで株式会社AVILENの支援を受け、各部署の社員が自分の業務課題を持ち寄ってユースケースを考え、その場で検証するアイデアソン形式のプロジェクトを立ち上げます。コミュニケーション推進部はコールセンターでAIがどこまで顧客に寄り添えるかを、事務本部は日常的に多用しているExcelマクロの作成と保守をAIが担えるかを検証しました。結果として、AIに任せられる範囲と人が確認すべき範囲の線引きが進み、社内でAIを使うことへの心理的な抵抗も下がっています。
出典:【AI人材育成事例_三菱UFJニコス×AVILEN】三菱UFJニコスが全社をあげて取り組む、生成AI活用キラーケース創出プロジェクト |支援事例|AVILEN 発行元:株式会社AVILEN
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
生成AIそのものは、すでに全社の手元にありました。翻訳や要約では確かに使われていた一方で、業務の中身に踏み込んだ使い道、いわゆるキラーケースが出てこない。しかも社内にはRPA(定型作業を自動化するソフト)や自動化ツールが先に根づいており、単純な作業の置き換えという発想では、すでにある仕組みと差がつかない状態でもありました。
編集部の見立てでは、この行き詰まりの正体は生成AIの性能不足ではなく、知識が分かれて存在していたことにあります。どの作業が本当に重いのかを知っているのは各部署の担当者であり、生成AIが何を得意として何を苦手とするかを知っているのは技術に明るい側です。両者が離れたままでは、業務を知る人は何を頼めるのかを思いつけず、技術を知る人はどこが痛いのかを特定できません。使い道が出てこなかったのは発想力の問題というより、二つの知識が同じ机に乗る場がなかったからではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
アイデアソンという形式をとり、検証するテーマの選定そのものを各部署の社員に委ねた設計が、この取り組みの起点になっています。外側から「この業務にAIを使いましょう」と持ち込む形ではなく、日々その作業に手を動かしている人が自分の困りごとを持ち寄るため、題材が最初から実務に接地します。コミュニケーション推進部が選んだコールセンター対応、事務本部が選んだ大量のExcelマクロの作成と保守は、どちらもその部署の内側からでなければ出てこない具体性を備えていました。
検証の問いを「省人化できるか」ではなく「人でなくても柔軟でスムーズな対応が成り立つか」へ置き換えたことも、評価の質を大きく変えたと考えられます。人数を減らせるかを問えば答えは丸かバツに寄ってしまいますが、応答の内容や対応の流れを一つずつ確かめていく進め方なら、どんな条件までなら任せられ、どこから崩れるのかという境界が浮かび上がります。事務本部側でも、正確性が厳しく問われる環境でAIがどこまで精度を出せるのかという見極めが軸に据えられました。手早く数字を出しにいくのではなく限界の位置を確かめにいく設計が、その後の役割分担の議論を成立させたのだと読めます。
支援にあたった株式会社AVILENが、助言を渡して終わりにせず、週に複数回のセッションと事務局とのミーティングを重ねる伴走の形をとった点も見逃せません。現場から最初に出てくる課題は輪郭がぼやけていることが多く、それを検証できる問いの形に整えるには、対話を繰り返す時間そのものが必要になります。あわせて生成AIを社内にどう広げるかという組織展開のノウハウも共有され、技術の使い方と普及のさせ方が一つのプロジェクトの中で同時に扱われました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
コールセンターの検証では、一定の条件下であればAIが顧客のニーズに適切に応えられることが確認され、オペレーターを補完する役割を担うことで業務全体の効率化が期待できるという手応えが得られています。マクロ業務では、AIが高い精度でこなせる場面と人の最終確認が欠かせない場面が明確に切り分けられ、役割分担を設計できる状態になりました。加えて、参加者が各部署へ知見を持ち帰ったことで、周囲から「この業務にも取り入れてみては」という提案が自発的に出るようになっています。いずれも削減実績の数字ではなく、検証を通じて得られた見通しという段階の成果です。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、AIを試す対象を現場が自分で選べる余地がある会社です。顧客対応や事務処理を抱える組織であれば業種を問わず、同じように部署の中から題材を出すやり方は成り立ちます。反対に、通常業務が詰まっていて検証に時間を割けない状況や、経営層が生成AIをどう位置づけるのかを言葉にしていない状況では、現場発のアイデア出しは日常業務に押し流されやすくなります。ここで得られたのは「条件次第で任せられる」という検証結果であって、コールセンターやマクロなら同じ精度が出るという保証ではない点にも注意が要ります。扱う内容の正確性要求が高いほど、確認工程を誰がどう設計するかという手間が上乗せされます。
最初の一歩としては、手元にあるExcelマクロや定型的な問い合わせへの回答文をひとつ選び、同じものを生成AIに作らせて出力を突き合わせてみることです。どこまでが合っていて、どこから人の目が要るのか。その一本の線を引くところから、自社なりの役割分担が見えてきます。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社AVILEN
生成AI導入支援(人材育成・開発・コンサルティング)、AI技術実装、デジタル組織開発、AIエージェント導入などを提供する企業。法人向けChatGPT「ChatMee」を提供し、2023年に東証グロース市場へ上場。ISO 27001(ISMS)およびPマークを取得。
三菱UFJニコス株式会社
出典・参考情報
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