実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
住友不動産のコールセンター、AI文字起こしと自動要約で受電数20%増
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 問い合わせが増え続け、対応が追いつかない
- 通話後の記録入力に時間を取られている
- 専門用語が多く、新人が育つまでが長い
どのようなAIの取り組み?
通話のリアルタイム文字起こしと自動要約により、オペレーター1人当たりの受電数が約20%増加したAI取り組み
業種
分譲マンション・注文住宅の販売(不動産・住宅)
取り組み領域
コールセンター/アフターサービスの問い合わせ対応
使ったAI
PKSHA Speech Insight(AI音声認識・自動要約)
主な成果
日勤オペレーター1人当たりの1日の受電数が約20%増加
住友不動産のお客様センターは、分譲マンションや注文住宅のアフターサービスに関する問い合わせを24時間365日受け付けています。ここに株式会社PKSHA Technologyが提供するAI音声認識ツール「PKSHA Speech Insight」を採り入れ、通話内容をその場で文字に起こす機能と、通話後の記録を自動でまとめる機能を業務に組み込みました。オンプレミス(自社設置型)のPBXと呼ばれる電話交換機を使い続けたまま、アプリケーションを入れるだけで連携できる構成を選んでいます。不動産・建築の専門用語を約900語辞書に登録し、問い合わせの種類ごとに要約へ必ず含める項目を指定する調整を重ねた結果、出力された要約を顧客管理システムへそのまま貼り付けて使う運用に至りました。
出典:住友不動産株式会社〜オペレーターの応対件数「20%増」を実現 ACWの自動化で負荷軽減と生産性向上を両立 発行元:株式会社PKSHA Technology
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
お客様センターへの問い合わせは販売事業の拡大にともなって毎年1万件弱のペースで増え、人員をすぐに積み増すことも難しい状況にありました。扱う内容は専門的で、オペレーターが一人前になるまでにおよそ1年を要していたこと、そして通話が終わったあとに会話の要点を顧客管理システムへ手で打ち込む作業(ACW)が重くのしかかっていたことが、検討の出発点として挙げられています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は件数の多さそのものではなく、一件の電話が「話し終わったあと」にも人手の時間を要求し続ける構造にあったのではないでしょうか。記録作業が一件ごとに必ず付いて回る限り、受けられる件数の上限は人数で決まってしまいます。育成に1年かかるという事情は、その上限を押し上げる唯一の手段だった増員を、いっそう遠いものにしていました。
どうやって、うまくいったのか
まず効いたと考えられるのは、電話の仕組みそのものを作り替えずに済ませた導入の組み立てです。自社設置型のPBXを運用したまま、アプリケーションを入れるだけで既存システムと連携できるツールが選ばれており、通話基盤の刷新という重い工事が検討の土俵から外れています。音声を扱うAIは、しばしば「まず電話環境を入れ替える」という前段の大仕事に阻まれるもの。その関門を最初に取り除いたことで、議論の中心を最初から要約の使い方に置けた点は小さくないはずです。
次に挙げたいのが、自動要約を汎用的な要点まとめとして受け取らず、顧客管理システムの入力欄に収まる形へ寄せていった設計です。問い合わせの種類ごとに要約へ必ず含める項目を指定できる「属性要約オプション」を用い、落とし物の相談であれば「何を落としたか」が確実に残るよう組み立てられました。ここで狙われているのは要約の読みやすさではなく、人が手直しをせずに貼り付けられる状態そのものです。AIの出力を人が整える一手間が残っていれば記録作業は形を変えて生き延びますが、そこを消し込むところまで詰めたやり方が、負担の核心に届いたと見ています。
精度を製品の性能として受け取らず、現場の言葉に合わせて作り込む前提に立った点も見逃せません。不動産や建築の専門用語を約900語登録する作業は地道ですが、聞き取り違いの混じった要約は結局そのまま使えず、人の確認を呼び戻してしまいます。同時に、リアルタイムの文字起こしをオペレーター本人ではなくスーパーバイザーの側から使う配置にしたことで、AIは応対を肩代わりする存在ではなく、周囲が会話の中身を把握するための窓として位置づけられました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
通話内容がその場で文字になることで、スーパーバイザーが会話の流れを確認したうえでエスカレーション対応に入れるようになり、オペレーターの心理的な負担の軽減と応対品質の向上につながっています。高精度な自動要約を顧客管理システムへの入力に充てたことで通話後の記録作業(ACW)は大幅に効率化され、日勤オペレーター1人当たりの1日の受電数は約20%増加しました。今後は、蓄積された通話履歴からオペレーター向けのFAQを自動生成する取り組みや、顧客が自分で解決できるチャット・自動音声応答の導入も見据えられています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、電話のあとに必ず記録を残す決まりがあり、その記録項目が用件の種類ごとにある程度の型を持っている業務です。落とし物なら落とした物、というように「この用件ならこの情報が要る」と言い切れるなら、自動要約を入力欄の形へ合わせ込む余地があります。反対に、相談内容が一件ごとに事情の異なる込み入った話で、記録も自由記述の経緯説明として書かれている職場では、要約をそのまま貼れる水準まで持っていくのは難しく、確認と手直しの工程が残ります。電話設備の側も条件のひとつで、いま使っている交換機に外部のアプリケーションを接続できるかどうかによって、着手のしやすさは大きく変わります。
試すなら、直近の応対記録を用件の種類別に並べ、それぞれ「これが書かれていないと後で困る」項目が何行あるかを数えてみるところから。その項目が短い一覧に収まるほど定まっているなら、AIに任せられる範囲はかなり具体的に見えてくるはずです。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:顧客対応・サポート
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社PKSHA Technology
PKSHA Speech Insight(AI音声認識)をはじめ、お客様対応向け・社内対応向けのAIサービスを提供する企業。
住友不動産株式会社
出典・参考情報
住友不動産株式会社〜オペレーターの応対件数「20%増」を実現 ACWの自動化で負荷軽減と生産性向上を両立
発行元:株式会社PKSHA Technology
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