実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
受注率83%、電話の取りこぼしを音声AIで拾った通販の分担設計
プロジェクト期間:1年 〜 2年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話がつながらず注文を逃している
- 日によって電話の数が読めない
- 電話対応の人手が採用できない
どのようなAIの取り組み?
あふれた注文電話を音声AIが一次受付し、人との分担で受注率83%を確保した通販のAI取り組み
業種
テレビ通販(通信販売)
取り組み領域
コールセンター/電話注文受付
使ったAI
PKSHA VoiceAgent(音声対話AI)
主な成果
音声AI経由の受注率83%を達成
テレビ通販を手がけるディーニーズ株式会社は、注文電話の一次対応にPKSHA Technologyの音声対話AI「PKSHA VoiceAgent」を組み込みました。オペレーターが受け切れずにあふれた電話をAIが受け取る形で、まずは代金引換の注文受付から運用を始め、その後クレジットカード決済にも対応範囲を広げています。運用の要になったのは、AIだけで注文を完結させない設計でした。氏名や住所の復唱確認で顧客がつまずく状況が見つかった時点で、聞き取り切れなかった部分は後からオペレーターが録音を確認して埋める流れへ切り替えています。質問は「はい」「いいえ」で答えられる形に整え、商品の色やサイズ、届け先の住所に応じて復唱内容や送料が変わる分岐も組み込みました。
出典:導入事例|ディーニーズ株式会社〜ボイスボット注文受付で機会損失防止 人と遜色ない受注率83%で、クレジットカード決済完結 発行元:株式会社PKSHA Technology
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
顧客層の中心は60代から80代で、インターネットよりも電話でのやり取りを好むため、コールセンターが主要な顧客接点になっていました。ところがテレビ通販の呼量は天候や突発的なニュースに左右され、人員配置の予測が立ちません。受け切れなかった電話は自動音声応答で用件を預かってかけ直していましたが、約15%はつながらず、つながった場合でも受注率は通常の約80%から60〜65%へ落ち込んでいました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は回線や人員の不足そのものではなく、顧客が「買おう」と思った瞬間と、企業が応答できる時刻のあいだに生じるズレにあったのではないでしょうか。テレビを見てその場で電話をかけるという行動の性質上、購買意欲はその瞬間に限られます。かけ直しでの受注率低下は、まさにその時間差が売上に直結していたことを示す数字でしょう。呼量のピークが読めない以上、人を増やす方向だけでは埋めきれない構造だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
最も効いたのは、音声AIに注文情報のすべてを取り切らせることを早い段階で諦めた切り分けだと考えられます。立ち上げ期には受注が思うように伸びず、その原因が氏名や住所を読み上げて確認する場面にあると特定されました。そこで、AIが拾い切れなかった部分は後からオペレーターが通話録音を聞いて補う流れへ組み替えています。顧客に正確な聞き取りの負担を押しつけず、その負担を人が後工程で引き受けるという役割の置き換えが、途中離脱を防ぐ決め手になったと読めます。
質問の形そのものを作り替えたシナリオ設計も、同じ発想の延長線上にあります。自由に話してもらうのではなく「はい」「いいえ」で答えられる問いに落とし込めば、音声認識が苦手とする揺らぎの大きい発話を避けられます。認識精度を技術側で引き上げるのではなく、聞き方を変えて精度が要らない状態を作る。この判断の順序が、高齢の顧客が多い窓口という前提とかみ合っていたのでしょう。
もう一つ見逃せないのが、簡易データベースと条件分岐を使い、商品の色やサイズ、届け先の住所に応じて復唱内容や送料を自動で切り替えた作り込みです。定型的な受付でありながら、顧客ごとに答えが変わる部分を機械的に処理できるようにした点は、応答の自然さを支えていたはずです。しかもこれらの調整は、専門知識がなくても現場担当者がフローを組み替えられるSaaSの特性を活かし、短い周期で回されました。改善の速さは、開発を外部に依頼せずに済む体制そのものから生まれています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
かけ直し対応の比率は約30%から10ポイント下がり、あふれた電話による機会損失が大きく減りました。待たせずにその場で受け付けられるようになった結果、音声AI経由の受注率は83%に達し、人が対応した場合とほぼ変わらない水準に並んでいます。オペレーターを確保しにくい深夜や早朝もAIが受けることを前提にした人員配置が可能になり、顧客からのクレームもほとんど出ていません。今後は受注の全面的な自動化や、より複雑なカスタマーサポート領域への展開が視野に入っています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、問い合わせの山が読みにくく、聞き取る項目がある程度決まっている一次受付です。飲食店の予約や修理サービスの受付のように、取りこぼした一本がそのまま売上の取りこぼしになる業務であれば、費用対効果も見えやすいでしょう。逆に、顧客の話を聞きながら商品を提案していく相談型の受注では、この事例のような定型の質問に落とし込むこと自体が難しくなります。
もう一つ注意したいのは、後追いで補完する余地があるかどうかです。この事例が成り立ったのは、聞き取れなかった情報を録音から人が埋められたからで、その場で本人確認を完結させる必要がある手続きには同じ形を持ち込めません。録音を確認する人員が確保できなければ、AIで受けた電話が後工程で滞留するだけになります。
まずは自社の受付でよく尋ねる質問を一つ選び、「はい」「いいえ」で答えられる形に言い換えられるか、声に出して試してみる。そこで言い換えに詰まる質問こそ、人が担うべき部分の輪郭です。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
ディーニーズ株式会社
出典・参考情報
導入事例|ディーニーズ株式会社〜ボイスボット注文受付で機会損失防止 人と遜色ない受注率83%で、クレジットカード決済完結
発行元:株式会社PKSHA Technology
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