実施 2025.06 ・ 更新 2026.08.17
四国電力送配電の3カ年DX人材育成、IT用語を自社の言葉に言い換えた設計
プロジェクト期間:2年 〜 3年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの退職で現場の力が落ちてきた
- デジタルを任せられる社員が社内にいない
- 新しいやり方が現場に根付かない
どのようなAIの取り組み?
3カ年のDX人材育成プログラムを起点に、用地取得部門の地図作成業務の自動化まで結び付けた事例
業種
送配電事業(電力・エネルギー)
取り組み領域
DX人材育成/設備点検・用地取得業務
使ったAI
地図情報ソリューション、音声認識(検討段階)
主な成果
用地取得部門の地図作成業務を自動化
四国電力送配電は、電力設備の建設・運用・保守を担うなかで、ベテラン層の引退と人手不足に直面していました。同社が最初に手を付けたのは、ツールの導入ではなく人の育成です。NECの伴走支援を受けながら3カ年の体系的な育成プログラムを構築し、現場の変革を牽引する「DXキーパーソン」を、課題の解決策を立案するDXデザイナーと、データを実際に扱うデータサイエンティストの2職種に分けて育てる形をとりました。1年目は共通の基礎、2年目から専門コースへ進む段階設計で、受講者の反応を見ながら研修の中身そのものも作り替えています。この土台づくりの先で、用地取得部門では地図作成業務の自動化が実現し、変電設備の点検では音声認識を使った入力への移行が検討されています。
出典:社会インフラを支え続けるためのDX ~四国電力送配電の人材育成は「柔軟な舵取り」がカギ~ 発行元:NEC
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
険峻な山地での点検をはじめ、電力設備の保守には多大な労力がかかります。そこへベテラン層の引退と深刻な人手不足が重なり、限られた人員で業務品質を保つこと自体が難しくなっていました。加えて、長年続いてきた業務プロセスを守る意識が根強く、変革への機運が社内に十分広がっていなかったという事情もあります。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は人数の不足そのものではなく、業務のどこを変えられるのかを判断できる人が現場側にいなかったことにあります。設備や作業の勘所を知っているのは現場ですが、その知識をデジタルの手段と結び付ける言葉を持たなければ、改善案は形になりません。最初の投資先がツールではなく人になったのは、この構造を踏まえた選択だったと読めます。
どうやって、うまくいったのか
育成の入り口で「DXデザイナー」と「データサイエンティスト」の2職種を定義し、1年目の共通基礎を経て2年目から専門コースへ分岐させた設計が、この取り組みの骨格になっています。課題の解決策を立案する役割と、データを実際に扱う役割を分けたことで、受講者は自分がどちらの方向で貢献するのかを早い段階でつかめます。全員に同じスキルを一律に求める研修は得意領域の違いを吸収しきれませんが、土台をそろえてから分ける順序であれば、その難点を避けられます。
経済産業省のスキル標準に基づく難解なIT用語を、自社の業務に即した言葉へ再定義した作業は、地味に見えて効き目の大きい工夫ではないでしょうか。標準的な人材定義は網羅性が高い反面、受講者にとっては「それが自分の職場で何を意味するのか」が結び付きにくくなります。用語を自社の言葉へ翻訳するひと手間は、受講者が現場で果たすべき役割と将来像を思い描けるようにする、いわば意味付けの工程です。
プログラムを作り切りにせず、受講者の反応を見極めながら内容を組み替え続ける運用も見逃せません。BIツールの研修を、操作スキルの習得に偏らせず「なぜBIを学ぶのか」という目的意識を前面に出す内容へ刷新した判断は、ツールを扱える人が増えても課題を見つける人は増えない、という構造を捉えたものでしょう。この設計と展開はNECの伴走支援のもとで進められており、外部の知見を借りながら中身は自社の文脈へ寄せていく役割分担がとられています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
デジタル技術を活用して業務を見直そうという機運が社内で着実に高まり、用地取得部門ではNECの地図情報ソリューションの導入により、手作業だった地図作成業務の自動化が実現しました。変電設備の点検業務については、端末への手入力から音声認識を使った入力への移行が検討されている段階で、作業の安全性向上と人員配置の最適化が期待されています。今後は、受講者自身が課題を発見し、データで検証して改善案を立案する実践的なワークショップが予定されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、改善の種が日々の作業手順の中に埋もれていて、外部の担当者だけでは拾い上げにくい組織です。標準的な人材要件やIT用語をそのまま社内に示しても手応えがない、という悩みを抱えているなら、用語を自社の設備名や業務名へ置き換える工程は業種を問わず持ち込めます。反対に、3カ年をかけて人を育てる進め方は、短期で成果を示さなければならない状況とは噛み合いません。育てた人が腕を試せる実務のテーマが社内に用意されていなければ、学習が学習のまま止まる懸念もあります。
最初の一歩としては、社内で配っている研修資料や人材要件の一文を取り上げ、そこに並ぶ用語を自社の業務の言葉へ書き直してみる。読んだ本人が自分の仕事と結び付けられるかどうかが、この取り組みでも最初の分かれ目になった部分です。
この事例は2025年6月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:画像・動画・3D
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:音声AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
NEC
ITの企業。コンサルティングサービス事業部門アナリティクスコンサルティング統括部を有し、四国電力送配電のDX人材育成プログラムの開発・運用を支援するとともに、育成後のDX施策にも共に取り組んでいる。NECグループの地図情報ソリューションも提供している。
四国電力送配電株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
