実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.17
製菓材料店88店舗と本社の情報格差、既存環境を活かした社内AIチャットボット
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内の情報が散らばって探せない
- 特定のベテランに質問が集中
- 新人が自分で調べられない
どのようなAIの取り組み?
既存のMicrosoft 365環境に生成AIを組み合わせ、本社に集まる商品・レシピの情報を全国88店舗から質問できるようにしたAI取り組み
業種
製菓・製パン材料・器具の小売・卸売(小売業)
取り組み領域
社内ナレッジ共有/店舗からの問い合わせ対応
使ったAI
生成AIチャットボット(Azure OpenAI Service+RAG)
主な成果
ベテランへの問い合わせ集中による属人化が解消
製菓・製パン材料を扱う小売・卸売の富澤商店は、全国88店舗と本社の間で滞っていた情報のやり取りを、生成AIを介した仕組みに置き換えました。DX推進を専門とするJarminalが伴走し、すでに社内で使われていたMicrosoft 365の環境に、最小限のAzure OpenAI ServiceとRAG(社内の資料を検索してAIの回答に反映させる仕組み)を組み合わせ、蓄積された情報を参照しながら普段の言葉での質問に答えるチャットボットを構築しています。取り組みはツールの設置だけで終わらず、本部スタッフの役割を問い合わせ対応からAIが参照するナレッジの管理・更新へと移し、アクセス権限やデータの扱い方のルールも同時に整えました。全社的な生成AI研修や、現場でのユースケース整理・プロンプトの整備も並行して進められています。
出典:富澤商店、Microsoft 365機能を活用した生成AIで社内ナレッジ共有を高度化 | 株式会社富澤商店のプレスリリース 発行元:株式会社富澤商店
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
1万点を超える商品と、自社で開発した約8千件のレシピ。これだけの情報を扱いながら、その多くは本社側で作られ、部門ごとに分かれて管理されていました。店舗からは必要なものにすぐ手が届かず、新人の教育も日々の業務も情報共有が追いつかない状態が続き、結果として経験豊富なスタッフのところへ社内からの質問が集まっていきます。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は情報の不足ではなく、置き場が部門ごとに分かれていて店舗からたどり着く経路が用意されていなかったことにあります。経路がないぶんの空白を、商品にもレシピにも通じたベテランが人力の検索窓として埋めていた。そう捉えると、負荷の偏りは原因ではなく、情報構造の歪みが人に現れた症状だったと読めます。
どうやって、うまくいったのか
すでに社内にあるMicrosoft 365の環境を土台にし、その上へ最小限のAzure OpenAI ServiceとRAGを載せた構成が、この取り組みの起点になっています。新しいSaaS契約や大掛かりなシステムの入れ替えを選ばなかったことで、検討の争点は「何を買うか」ではなく「どの情報をAIに読ませるか」へ移りました。費用を抑える判断に見えて、実際には社内で話を進めるうえでの合意のしやすさにも効いた設計ではないでしょうか。
もう一つの柱は、本部スタッフの役割を問い合わせ対応からナレッジの管理・更新へ振り替えた業務プロセスの組み替えです。RAGは参照先の文書が古ければ古い答えをそのまま返すため、質問に答える人を減らすだけでは仕組みが痩せていきます。回答役を情報整備役へ移したこの配置転換は、AIが使われるほど参照元も手入れされる循環を意図したものと考えられます。
導入後に現場が自走するための足場を、同時並行で敷いた点も見逃せません。Copilot Studioで内製できる体制を整え、全社的な研修とユースケース整理、プロンプトの用意、そしてアクセス権限とデータ取り扱いのルール策定までを一続きの作業として扱っています。この組み合わせがあったからこそ、問い合わせ対応の枠を越えてデータ分析や販促企画へと使い道が広がったのだと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
夜間や休日を問わずAIが即座に応答する環境が整い、新人を含むスタッフが自分で疑問を解決できる場面が増えています。各店舗のベテランに集まっていた質問対応は大幅に効率化され、特定の個人へ負荷が偏る属人化の課題は解消されました。生まれた余裕は接客や店舗運営という本来の業務に向けられ、社内の情報共有が滑らかになったことが顧客に寄り添うサービスの質にもつながっていると評価されています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、本部で作った情報を多数の拠点が使う構造を持つ組織です。商品情報やレシピ、手順書のように、答えの元になる資料がすでに文書として存在しているなら、この事例のようにRAGで参照させる形は現実的な選択肢になります。既存のライセンス環境を土台にできるかどうかも、初期の負担を左右する分かれ目です。
一方で、ベテランへの質問の中身が、その日の在庫状況や店舗ごとの事情、お客様の様子を見ての判断といった、書き残されていない領域に偏っている場合は、同じ構成をなぞっても答えは返ってきません。また、部門をまたいで資料を集める以上、誰がどこまで見てよいかの線引きと、更新を誰が担うかの取り決めは避けて通れず、ここを先送りすると仕組みは半年で古びます。
まず試すなら、直近でベテランに寄せられた質問をいくつか選び、その答えの根拠がどの資料に載っているかを実際に並べてみてはいかがでしょうか。根拠が見つからない質問がどれだけ混じっているか。そこがAIに任せられる範囲の輪郭になります。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社Jarminal
IT・業務コンサルティング事業を手がけるITコンサルティング企業。生成AIをはじめ最新のIT技術を活用した業務効率化サービスを提供し、DX推進の専門知識を持つ。代表取締役は北河政人。
株式会社富澤商店
出典・参考情報
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