実施 2023.09 ・ 更新 2026.08.17
伊藤園がパッケージデザインに画像生成AI、意図共有と開発期間短縮の進め方
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- デザインの意図が言葉で伝わらない
- 外注先とイメージがすれ違う
- デザイン案の決定に時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
テキストから商品デザイン案を生成するAIと、消費者の評価を予測するAIを組み合わせ、パッケージデザインの開発期間短縮に取り組んだ事例
業種
飲料メーカー(食品・飲料)
取り組み領域
商品パッケージのデザイン開発
使ったAI
商品デザイン用の画像生成AI/デザイン評価予測AI
主な成果
デザイン開発期間の大幅な削減
飲料メーカーの伊藤園は、パッケージデザインの開発工程に二種類のAIを組み込みました。使われたのは、株式会社プラグが提供する『商品デザイン用画像生成AI』のパイロット版で、テキストを入力すると多様な商品デザインの画像が出てきます。まずこのツールで大量のデザイン案を作り、それを見ながら関係者が方向性を話し合う。合意した方向をデザイナーが具体的な形に起こし、消費者の評価を瞬時に予測する「パッケージデザインAI」で候補を絞り込みます。この生成と評価のサイクルを複数回繰り返して案を磨いていく流れです。実際にこのやり方が使われたのは、2023年9月にリニューアル発売された「お~いお茶 カテキン緑茶」のデザイン開発でした。
出典:業界初!『商品デザイン用画像生成AI』を活用したデザインで伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」リニューアル発売 | 株式会社プラグのプレスリリース 発行元:株式会社プラグ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
パッケージデザインを外部に依頼するとき、ブランド担当者が頭に描いているイメージを言葉だけで正確に渡すのは、非常に難しい作業です。伊藤園のデザイン開発でも、このコミュニケーションの壁と、そこから生じる開発期間の長期化が課題になっていました。
編集部の見立てでは、ここでの本質的な問題は、担当者の説明能力やデザイナーの理解力ではなく、両者の間に置ける「共通の見本」が存在しなかったことにあります。言葉は解釈の幅を許す道具ですから、同じ形容詞を聞いても、思い浮かべる色や質感は人によってずれる。そのずれは実際に絵が上がってきて初めて表面化し、そこから描き直しが始まります。開発が長引く原因は工程そのものの遅さというより、認識のずれが発覚するタイミングが遅すぎることにあったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
この事例で目を引くのは、画像生成AIをデザインを作らせる道具ではなく、話し合いの材料を出す道具として工程の先頭に置いた点です。まず大量の案を生成し、それを囲んで関係者が方向性を議論するという順番になっています。言葉で合意してから絵を描くのではなく、絵を見てから言葉を合わせる。この順序の入れ替えが、後工程で起きるはずだった描き直しを前倒しで潰す仕掛けとして働いたと考えられます。
もう一つの柱は、案を出す機能と案を選ぶ機能を、別々の仕組みに分けたことです。生成された案をデザイナーが具体的な形に仕上げたうえで、消費者の評価を瞬時に予測するパッケージデザインAIにかけ、候補を絞り込んでいます。生成側と評価側が同じ役割を兼ねない構造にしたことで、社内の声の大きさや個人の好みではなく、外からの物差しで候補を落とせるようになった。関係者が多い開発ほど選択の理由づけに時間を取られますが、この分業はまさにその部分に効く設計です。
生成と評価を一度で終わらせず、複数回繰り返して磨き込む流れにしたことも見逃せません。AIが出した案をそのまま採用せず、間に必ずデザイナーの手を挟む構成になっており、AIは案の幅を広げる役、人は狙いを定めて形にする役、という分担が保たれています。ツールを提供した株式会社プラグ側が生成と評価の両方の仕組みを用意し、使う側がそれを自社の開発工程に組み込んだという役割分担も、この形が実務として回った条件のひとつでしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
言葉にしづらいニュアンスを画像として共有できるようになり、短時間で幅の広いアイデアが数多く生まれています。開発の初期段階から具体的な絵を見て判断できるため、意思決定のスピードが大きく向上しました。結果としてデザイン開発にかかる期間の大幅な削減につながり、生成と評価を組み合わせた新しい開発フローが確立されています。
うちでも使える?
この進め方が効くのは、完成した姿を絵で確かめられる領域です。パッケージに限らず、アパレルの企画や什器・販促物の設計など、関係者の頭の中にある完成イメージがずれたまま進むと手戻りが大きい仕事であれば、先に画像を出して議論の土台にする発想はそのまま持ち込めます。
一方で、そのまま真似ても同じようにはいきにくい条件もあります。この事例では案を絞る側に消費者評価を予測する仕組みがあり、それが選択の物差しになっていました。良し悪しの判断が一部の人の裁量にしか置かれていない状態だと、案が増えるほど会議が長引き、生成AIがかえって決めきれない要因になりかねません。味や手触りのように画像で表せない要素が決め手になる商品でも、同じ形は取りにくいはずです。
まず試すなら、直近で描き直しが発生した案件をひとつ選び、当時の指示文をそのまま画像生成AIに入れて何が出てくるかを眺めてみる。自分の言葉が他者にどう解釈されうるのかが、そこで目に見えます。
この事例は2023年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:画像AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社プラグ
デザイン開発とマーケティング・リサーチを行う企業。事業内容はパッケージデザイン開発、マーケティング・リサーチ、商品開発支援、デザインAIの開発・提供。社内にマーケティング・リサーチ部とデザイン部を有し、パッケージデザイン評価で国内有数の実績を持つ。資本金6100万円、未上場。代表者は代表取締役社長 小川亮。
株式会社伊藤園
出典・参考情報
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