実施 2025.04 ・ 更新 2026.08.17
生成AIで事故受付センターの通話後処理35%削減を目指す損害保険の実証実験
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 電話対応後の記録作業に追われている
- 応対品質の評価や指導が手間
- 集めた顧客の声を活かせていない
どのようなAIの取り組み?
生成AIで通話内容の自動要約と応対品質の要因分析に取り組み、通話後処理の35%削減を目標に掲げた実証実験
業種
損害保険業(金融)
取り組み領域
コンタクトセンター/事故受付
使ったAI
生成AI・音声認識(Altius ONE for Support)
主な成果
通話後処理時間の35%削減を目指す実証実験
SBIグループの自動車事故受付センターで、生成AIがコンタクトセンター業務にどこまで役立つかを確かめる実証実験が進んでいます。パートナーはコンタクトセンター運営を手がけるアルティウスリンク株式会社で、同社のデータ活用プラットフォーム「Altius ONE for Support」を土台に、三つのテーマで検証が行われています。ひとつは、音声認識でテキストにした顧客とオペレーターの会話を自動で要約する仕組みづくり。もうひとつは、応対データを生成AIで構造化して品質に関わる特徴量を取り出し、顧客満足度との相関を調べる分析。三つめが、契約内容やサポート体制への意見・要望をキーワードとして抽出・分類し、表に出ていないニーズを掘り起こす取り組みです。実験では、通話後の記録作業などにかかる時間を35%減らすことが目標に置かれています。
出典:2025年のプレスリリース - SBI損保 発行元:SBI損害保険株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
事故受付センターでは、通話が終わったあとの記録作業に時間がかかっていました。加えて、応対品質を評価して指導するまでに多くの工数がかかること、日々たまっていくお客さまの声(VoC)を商品やサービスの改善へ十分に回しきれていないことも、あわせて課題として挙げられています。
一見すると別々の困りごとですが、編集部の見立てでは、この三つは同じ一点に行き着きます。通話という出来事が音声のまま流れて消えてしまい、記録にも、評価にも、改善のための分析にも使える形で残っていなかった、ということです。後処理時間の正体は、耳で聞いた内容を人が業務データへ翻訳し直す手作業のコストであり、評価の工数もVoCの死蔵も、同じ翻訳が追いつかないことの別の現れ方だったのではないでしょうか。つまり本質は、応対件数の多さではなく、応対の中身がデータ化されていないことにあったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
検証を三つのテーマに分けて並列に走らせた組み立てが、この実験の設計上の要と言えます。通話の自動要約、品質と顧客満足度の相関分析、意見・要望のキーワード抽出は、いずれも音声から起こしたテキストという同じ素材を出発点にしながら、効き方の異なる用途を並べたものです。素材が共通なら、テキスト化の精度や粒度といった土台の課題は一度で洗い出せますし、用途ごとに有用性を見極められるため、どれかがうまく働かなくても全体が止まりません。
土台にプラットフォームの標準機能である「対話要約アプリ」を据えた進め方も、検証の焦点を絞る効果を持ちます。要約する仕組みそのものをゼロから作り込むと、確かめたい問いが「AIに作れるか」へずれてしまいますが、既にある機能を当てはめる形にすれば、問いを「事故受付という現場の記録として、この要約が使えるか」に置いたまま検証を進められます。
品質評価に踏み込んだ部分では、生成AIによる応対データの構造化、品質に関わる特徴量の抽出、顧客満足度との相関分析という順に手順が積まれ、そこへアルティウスリンクが長年培ったコンタクトセンター運営の知見が差し込まれています。ここに、AIと人の役割分担がはっきり表れています。数字の上で関係がありそうな要素を大量に挙げるのはAIの得意分野ですが、そのうちどれが応対品質として本当に意味を持つのかは、現場を知る側でなければ判断がつきません。経験則の言葉を数値の裏づけと突き合わせる設計だからこそ、抽出された要因が指導の材料として使える水準に届くのだと考えられます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
現時点は検証の段階であり、示されているのは実績ではなく目標と見込みです。通話後の記録作業などにかかる時間は35%の削減が目標として掲げられ、達成されれば高い電話応答率の維持と顧客満足度の向上につながると期待されています。相関分析の結果を使えば応対品質を数値化・可視化して評価を自動化でき、管理者の品質チェック工数の削減と、データに基づく指導が可能になる見込みです。今後は検証結果を踏まえて実業務への適用を進め、顧客満足度を予測するモデルの構築など、生成AIの使いどころを広げる予定とされています。
うちでも使える?
応用の見込みが立ちやすいのは、応対の記録づくりが業務時間を圧迫していて、しかもその応対を録音してテキストに起こせる職場です。損害保険に限らず、電話やチャットで問い合わせを受ける窓口であれば、要約の部分は近い形で試せるでしょう。
一方、品質の相関分析まで持ち込むには条件が要ります。この事例で分析が成立しているのは、応対データという入力側と、顧客満足度という結果側のデータが両方そろっているからです。満足度アンケートや評価スコアに当たるものが手元にない場合、AIが特徴量を並べても何と突き合わせればよいかが決まりません。また、抽出された要因を「これは指導に使える」「これは偶然の相関だ」と見分ける経験を持つ人が社内にいるかどうかも分かれ目になります。事故受付のように、聞き取る項目がある程度決まっている応対に比べ、話の筋が毎回大きく変わる相談業務では、要約の型そのものを固めるところから始める必要があるはずです。
最初の一歩としては、直近の通話を数十件だけテキストに起こしてAIに要約させ、その要約をそのまま記録として使えるかどうか、普段記録を書いているオペレーター自身に見てもらうこと。使えない箇所が出れば、それが自社の応対で本当に残すべき情報の輪郭になります。
この事例は2025年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:マーケティング
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
アルティウスリンク株式会社
コンタクトセンター事業、バックオフィス事業、ITソリューション事業、その他関連事業を手がける企業。資本金1億円。1,300社以上のコンタクトセンター運用実績を持ち、コンタクトセンターを起点としたデータ活用プラットフォーム「Altius ONE for Support」を提供している。
SBI損害保険株式会社
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