実施 2025.03 ・ 更新 2026.08.17
水中ポンプのレンタル会社、ベテラン頼みの商品知識をAIに集約した営業支援
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 商品知識が足りず提案が遅れる
- ベテラン一人に質問が集中
- 採用が進まず人手を増やせない
どのようなAIの取り組み?
社内に散らばる商品知識をAIチャットボットに集約し、社員が回答を訂正して育てる運用まで組み上げた事例
業種
水中ポンプの機械レンタル業(サービス)
取り組み領域
営業/社内ナレッジ活用
使ったAI
営業サポートAIシステム(AIチャットボット+アバター)
主な成果
属人的だった商品知識を全社で共有し、見積提示を迅速化
水中ポンプに特化した機械レンタル事業を営む富士丸産業が、株式会社ユニキャストの手がける営業サポートAIシステムを社内に導入した取り組みです。商品情報や過去の提案事例、関連資料をひとつのデータベースにまとめ、社員がチャット画面から質問を入力すると、AIがその内容を参照して即座に回答を返します。特徴的なのは、社員がAIとのやり取りを評価し、誤りや不足を訂正して情報を更新できる点で、使うほど回答精度が高まる運用が組まれています。利用者が最初に触れる画面には、株式会社デジタル・フロンティアと共同開発したフォトリアルなアバター「KSIN(けしん)」を配置し、まずAIに聞いてみるという習慣づくりを後押ししています。
出典:AIチャットボット機能を活用した営業サポートAIシステムを、富士丸産業に導入 | 株式会社ユニキャストのプレスリリース 発行元:株式会社ユニキャスト
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
富士丸産業は関連商品を多数扱っており、担当者の商品知識が追いつかない場面では、社内の有識者に確認を取ってから提案や見積もりを組み立てる必要がありました。そのぶん回答は遅れ、特定のノウハウ保持者への依存が強まるほど、リードタイムの延長や機会損失のリスクも膨らみます。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの核心は知識が足りないことそのものではなく、知識の在りかが人の頭の中にしかなく、参照する手段が「誰かに聞く」以外に用意されていなかった点にあります。聞くたびに相手の時間を奪う構造では、質問そのものがためらわれ、聞ける相手も自然と限られていく。営業人材の不足が長期化している状況を踏まえれば、この形を維持したまま人を増やして解決する道は、そもそも見込みが薄かったと言えます。
どうやって、うまくいったのか
もっとも効いていると見えるのは、商品情報・過去の提案事例・関連資料をひとつのデータベースに束ねたうえで、そこへ社員自身が手を入れられる経路を残した設計です。AIの回答をそのまま正解として配って終わりにせず、会話履歴を社員が評価し、誤りや不足を訂正して反映する往復を組み込んでいます。この往復があることで、現場で実際に使われている言い回しや、案件で通用した説明が少しずつデータベース側へ移っていきます。知識を一度集めて完成とせず、使う行為そのものが更新作業を兼ねる形に組み替えたことが、精度の維持を運用の中に埋め込んだのだと考えられます。
利用者の入り口にフォトリアルなアバター「KSIN(けしん)」を据えた判断も、見た目の演出以上の意味を持ちます。社内ナレッジの仕組みが止まる典型は、道具が用意されても誰も入力しなくなることで、手間の多さより先に「わざわざ登録するほどのことか」という心理的な引っかかりが立ちはだかる。アバターとの対話という形式は、その引っかかりを質問と会話へ置き換え、聞いてみる動作を日常の側へ寄せています。訂正やアップデートを「AIを教え、育てる」体験として受け取れるようにした点も、蓄積という地味な作業に手応えを与える組み立てです。
システムの構築をユニキャストが、アバターの開発をデジタル・フロンティアとの共同で進めた分担も見逃せません。回答の土台となるデータベースや運用フローと、利用者が最初に触れる見た目や対話の質とでは、必要な技術も設計の勘所も別物です。担い手を分けてそれぞれを詰めた進め方が、正確に答えることと気軽に使われることの両立を可能にしたのではないでしょうか。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
社内に散在していた属人的な知識が組織の資産として集約され、全社員が一貫した情報を素早く引き出せる環境が整いました。AIが即座に回答や提案を返すことで営業担当者の負担は軽くなり、踏み込んだ商品提案や素早い見積提示ができるようになっています。ただし、リードタイム短縮による受注率の向上や顧客満足度の改善は、現時点では期待される効果として示されている段階です。今後はWebサイト上に生成AIを活用した顧客向けチャットボットを置き、24時間365日の対応へ広げる展望も描かれています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、商品や仕様、過去のやり取りといった判断材料が資料やメールの形で社内に残っているにもかかわらず、問い合わせが特定の人に集まっている業務です。カスタマーサポートや社内ヘルプデスクのように、聞かれる内容がある程度似通う領域とも噛み合います。
一方で、回答が現場ごとの条件や交渉の呼吸に左右され、文書化された根拠がほとんど残っていない仕事では、集約する材料そのものが足りません。もう一点、この仕組みは訂正とアップデートを担う人がいて初めて精度が上がるため、それを任せられるのが結局ベテラン一人だとすれば、依存の形が人からAIの保守作業へ移るだけになりかねない。評価と修正を複数人で回せる見込みがあるかどうかは、着手前に確かめておきたい条件です。
小さな一歩としては、ここ一か月のうちに誰かへ口頭で聞いた質問を、聞いた文言と返ってきた答えをセットにして数件だけ書き留めてみてはいかがでしょうか。集約すべき知識の粒度が見えてきます。
この事例は2025年3月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ユニキャスト
2005年に茨城で学生ベンチャーとして創立した情報通信企業。生成AIを取り入れ、アバター接客ソリューションや配送ロボアプリ開発などのロボティクス事業、AV機器制御システム・WEB制作などのクライアントワーク事業、ITインフラ構築・運用支援などのITサービス事業を展開。資本金500万円、未上場。
富士丸産業株式会社
出典・参考情報
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