実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
Honda、生成AIで熟練者の知識を文書化しモデル化期間67%短縮を確認
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの知識が引き継げない
- 図やグラフだらけの資料が活かせない
- 専門知識のデータベース化が進まない
どのようなAIの取り組み?
図表中心の社内資料を生成AIで文章化し、熟練技術者の知識モデル作成にかかる期間の短縮を検証したAI取り組み
業種
自動車製造業(製造)
取り組み領域
車両開発/技術ノウハウの継承
使ったAI
生成AI・大規模マルチモーダル・モデル(watsonx.ai)
主な成果
知識モデル化の期間を3年から1年へ67%短縮
本田技研工業は、衝突安全車両の開発検討において、熟練技術者の知識を若手へ渡す仕組みとしてAdvanced Expert System(A-ES)を使ってきました。ただし、この仕組みに載せる知識モデルの作成が重く、2万点を超える自動車部品のうち数点分をつくるだけで400時間を要していました。ここにIBMが加わり、社内に分散するノウハウを生成AIで抽出してデータベース化する進め方を提案します。図とグラフが中心でテキストの少ないPowerPoint資料を、画像も解釈できる大規模マルチモーダル・モデル(LMM)で文章に変換し、蓄えたテキストを検索して回答づくりに使えるRAGの形へ整える設計です。2023年11月から12月にかけて、IBMのAI基盤watsonx.aiを使ったPoC(小規模な試験運用)が実施され、モデル化期間の短縮が示されています。
出典:本田技研工業株式会社 事例紹介 | IBM 発行元:IBM
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
衝突シミュレーションは1回に1日以上かかることも多く、エラーが出れば手戻りは小さくありません。その負担を軽くするためにA-ESが使われてきたわけですが、今度はA-ESに載せる知識モデルづくり自体が重くなっていました。2万点を超える部品のうち、数点分で400時間。この数字を部品全体へ引き伸ばして考えると、対象を広げるほど時間が膨らむ構造が浮かび上がります。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は知識が足りないことでも、継承の意欲が乏しいことでもありません。熟練技術者の知は資料として確かに残っていました。ただ、それが図とグラフという人間向けの形式で保存されていたために、機械に渡すたびに人手による翻訳が挟まっていた。知識継承の問題に見えて、実際には知識を機械が読める形へ置き換えるコストが、展開できる範囲の上限を決めていたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
資料そのものを作り直させず、AI側の読み取り方を変えたことが、この取り組みの起点になっています。熟練技術者が残したPowerPointは図とグラフが主役で、テキストはまばら。ここで人手による書き起こしや資料フォーマットの統一を先に求めれば、知識を持つ当人たちの手が止まり、着手前に息切れしかねません。画像も解釈できる大規模なモデルで図表の中身を文章に起こす手法を選んだことで、既存資産をそのまま入口にできています。
変換したテキストをデータベースへ保存し、検索して引き出せるRAGの形まで設計した点も見逃せません。図表を文章にするだけなら、その場かぎりの読み取り作業で終わってしまいますが、蓄積して検索できる状態にすれば、別の検討でも同じ知識に手が届きます。図表を読み取るモデルと、そのテキストを扱う言語モデルを組み合わせた役割分担が、一度の抽出を繰り返し使える資産へ変えていると考えられます。
価値検証からデリバリー、運用までを一続きのデモンストレーションとして組み立てた進め方も、実現可能性の見極めに効いています。2023年11月から12月という短い期間に、技術が成立するかどうかだけでなく、運用まで通して確かめる設計にしたことで、本番開発へ移すかどうかを判断する材料が揃う。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
試験運用を通じて、技術文書を文章としてモデル化できるようになり、モデル化にかかる期間は3年から1年へと67%短縮されています。工数の面でも、開発業務で30%、企画・管理業務で50%の削減効果。膨大な開発情報を安全に扱える基盤が形になったことで、ドキュメントを活用できる範囲そのものが広がり、今後の展開に向けた土台が整いつつあります。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、知識が図面・写真・グラフの形で溜まっている職場です。設計、設備保守、施工管理のように、説明の中心が図で、文章は補足程度という資料が積み上がっている領域なら、読み取り側を変えるという発想はそのまま持ち込めます。
一方で、この事例には知識モデルという明確な出口が先にありました。抽出したテキストを何に使うのかが決まっていないと、資料を文章化した段階で満足してしまい、検索できる状態まで到達しないおそれがあります。また、図の意味が社内の暗黙の約束事に支えられている場合、たとえば凡例や記号の意味が部署ごとに違うような資料では、文章に起こしても読み手が変わると解釈が揺れます。書式や品質のばらつきをどこまで許容するかは、着手前に見ておきたいところ。
最初の一歩としては、手元の資料を1本選び、図やグラフが伝えている内容を人が言葉で書き起こしてみるのが分かりやすいはずです。そこで何が言葉にしにくかったかが、AIに読ませたときに落ちる情報とほぼ重なります。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
本田技研工業株式会社
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