実施 2024.02 ・ 更新 2026.08.17
ライフの生鮮発注をAI需要予測で3週間先まで自動算出、全304店舗へ
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- ベテランの勘に頼った発注
- 欠品と廃棄が同時に起きる
- 発注業務を新人に任せられない
どのようなAIの取り組み?
AIによる需要予測の対象期間を5日先から3週間先へ広げ、スーパーの生鮮部門の発注自動化を全304店舗へ展開することが決まったAI取り組み
業種
スーパーマーケット(小売)
取り組み領域
生鮮部門の発注業務/需要予測
使ったAI
AI需要予測による発注自動化サービス「AI-Order Foresight」(BIPROGY提供)
主な成果
実験店舗の検証で発注作業時間の削減目標を達成し、全304店舗への本格導入が決定
ライフコーポレーションは、BIPROGY株式会社が提供するAI需要予測型の発注自動化サービス「AI-Order Foresight」を、生鮮部門へ広げました。同社は2021年2月から日配品——牛乳やパンのように毎日納品される商品——でこのサービスを使っており、今回は生鮮特有の条件に合わせた拡張が行われています。販売実績に加えて気象情報や特売企画情報を取り込み、AIが日々の発注数量を自動で算出。食材の加工や小分けを担うプロセスセンターやメーカーへの事前発注と、発注確定時の数量調整の機能を新たに備え、自動算出の対象期間を5日先から3週間先へ広げました。実験店舗での事前検証を経て、全304店舗の生鮮部門への本格導入が決まっています。
出典:nr_240213.pdf 発行元:BIPROGY株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
多品目を扱う売場で、どの商品をいくつ頼むかの判断は、担当者の経験と勘に委ねられていました。数が合わなければ、欠品で売る機会を逃すか、余らせて廃棄するかのどちらかに振れます。しかも生鮮部門では、プロセスセンターやメーカーへ計画数量を前もって伝える必要があり、数日先を読めば足りる日配品よりも長い時間軸での予測が求められていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの芯は担当者の熟練が足りないことではなく、業務が要求する予測の射程が、人の勘の届く範囲を構造的に超えていた点にあります。数日先であれば、天候や客足の肌感覚で補正できる余地があります。しかし三週間先の売れ行きとなると、どれだけ場数を踏んだ人でも根拠を持って言い当てるのは難しい。属人化という言葉で語られていた状態は、実のところ、誰にとっても難しい仕事を個人の責任で引き受けざるを得なかった状態だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
予測の対象期間を5日先から3週間先へ広げた設計が、この取り組みの中心にあります。ここで効いているのは、期間を長くしたこと自体よりも、予測の時間軸を業務の締切のほうに合わせたことだと考えられます。生鮮部門はプロセスセンターやメーカーへ計画数量を事前に出す必要があるため、AIが5日先までしか答えを返せなければ、肝心の意思決定の瞬間には間に合いません。事前発注と発注確定時の数量調整という二つの機能が併せて用意されたのも、予測をこの時間軸の実務に乗せるための手当てと読めます。
人が担う仕事を、画面上の異常値の確認に絞った運用設計も要点です。全品目の数量を一つずつ検算する形にしてしまうと、自動算出で浮いた時間が確認作業に食われてしまいます。判断の初期値をAIが置き、人は外れて見えるものだけを見る。この分担にしたことで、経験の浅い担当者でも同じ手順で発注に関われる余地が生まれました。
すでに日配品で動いていた仕組みを土台に、生鮮の要件へ拡張していく進め方も見逃せません。2021年から稼働している基盤があれば、データの入り口や現場の操作は据え置いたまま、生鮮特有の差分だけに開発と検証を集中できます。サービスを提供するBIPROGYが予測と発注の仕組みを担い、小売側が現場要件と検証の場を差し出すという役割分担のもと、まず実験店舗で確かめてから全店の判断へ進む段取りが取られました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
この事例で出た成果
実験店舗での事前検証では、当初計画していた発注作業時間の削減目標を達成し、精度の高い発注業務であることが実証されました。これを受けて、全304店舗の生鮮部門への本格導入が決定しています。AIが3週間先までの数量を算出し、担当者は画面上の異常値を確認するだけで済む形になることで、大幅な作業効率化と発注精度の向上が見込まれる段階です。欠品や過剰在庫の減少は販売機会の損失と廃棄ロスの削減につながっており、難易度の高い発注業務が自動化されたことで、新しく採用されたスタッフの早期戦力化という定性的な変化も生まれています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、発注先へ前もって計画数量を伝える必要があり、その締切と実際に売れる日のあいだが空いている業務です。飲食店の食材手配や、製造業における部品の先行手配のように、リードタイムが長く、読み違えれば欠品か廃棄のどちらかに振れる構造であれば、予測の時間軸を業務の締切に合わせるという考え方はそのまま持ち込めます。
一方で、この仕組みは販売実績・気象・特売企画といった外部要因のデータを日々取り込み続けることで成り立っています。売上が商品単位で記録に残っていない場合や、需要が動く理由を数値として持っていない場合は、予測の期間だけ延ばしても精度は付いてきません。多店舗で同種の商品を長く扱ってきたからこそ実績データが厚く積み上がっている、という前提がある点も見ておきたいところ。単店で少量多品種を扱い、同じ商品の販売履歴が薄い環境では、同水準の精度は期待しにくいでしょう。
最初の一歩は、直近1か月の欠品と廃棄の記録を、同じ商品で突き合わせてみること。両方が同じ品目で起きているなら、それは担当者の腕前の問題ではなく、発注の締切と読める範囲がずれているサインかもしれません。
この事例は2024年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
BIPROGY
統計解析技術とAI技術を保有し、小売業向けのAI需要予測による発注自動化サービス「AI-Order Foresight」を提供する企業。食品小売業のAIを活用した自動発注の高度化やサプライチェーン全体のDX推進に取り組む。
ライフコーポレーション
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