実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.17
三菱UFJニコスが数千冊の社内マニュアル検索に生成AI、回答精度90%超
プロジェクト期間:半年〜 1年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 社内マニュアル探しに時間を取られている
- キーワード検索で欲しい答えが出ない
- 部署間で問い合わせがたらい回しになる
どのようなAIの取り組み?
意味の切れ目で文書を分割する生成AI検索により、数千冊のマニュアルからの回答精度90%超を実現したAI取り組み
業種
クレジットカード事業(金融)
取り組み領域
社内文書検索/ナレッジ活用
使ったAI
生成AI文書検索「IntelligentSeek」
主な成果
回答精度90%超、3カ月で約35,000回の検索
クレジットカード業務のマニュアルや人事手続きの資料が数千冊規模で社内ポータルに積み上がっていた三菱UFJニコスが、大和総研と組み、生成AIを使った社内文書検索ソリューション「IntelligentSeek」を導入した事例です。従来のキーワード一致による検索では、業務特有の専門用語や略語、文脈で意味が変わる表現を拾いきれず、目的の記述に行き着くまで数十分を要することもありました。新しい検索では、100ページを超えるマニュアルを意味の切れ目で分割してから生成AIに渡す「意味チャンク」と呼ばれる方式を採り、質問の文脈に沿った回答を返します。リリース前後には説明や研修の場も設けられ、2025年2月に全社へ展開されました。
出典:大和総研の先進AI技術で実現した 全社員の業務効率を高める文脈理解型ナレッジ検索プラットフォーム | 大和総研 発行元:大和総研
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
必要な情報が社内に存在しないわけではありません。数千冊のマニュアルの中に確かにあるのに、探し当てるまでに数十分かかり、ようやく見つけた文書が数百ページとなれば、今度はその中から該当箇所を拾う作業が始まります。この二段構えの負担が全社に広がっていました。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は文書の量ではなく、検索が返す単位が「文書」のままだったことにあります。従業員が求めているのは一冊ではなく一節であるのに、キーワード一致の仕組みが指し示せるのは冊子までで、そこから先は人の目に委ねられていました。自社開発の生成AI検索が精度20%程度で止まったのも、同じ地点でつまずいたのではないでしょうか。カード業務の略語や、文脈しだいで指すものが変わる語は、汎用的な仕組みを当てるだけでは判別しきれません。
どうやって、うまくいったのか
決め手になったのは、長大なマニュアルを機械的な分量で切らず、文脈や意味が変わる箇所で切り出して生成AIに渡す「意味チャンク」の設計です。100ページを超える文書を一定の長さでぶつ切りにすると、条件と結論、前提と例外が別々の断片に分かれ、AIが受け取る材料そのものが欠けたものになります。意味のまとまりを保ったまま渡すこの方式は、AIを賢くするのではなく、AIに渡す材料の切り方を変えるという発想であり、精度の壁を別の角度から崩しています。
専門用語や略語の扱いを辞書の整備だけで片づけず、現場のユースケースと実際の質問パターンを起点に試行錯誤した進め方も効いています。同じ略語でも部署や場面で指すものが変わる業務では、汎用の言語モデルが備える一般常識より、その会社の中で実際にどう問われているかという記録のほうが手がかりになるからです。加えて、検索が外れる場面を想定してUX/UIに回り道を用意した設計は、精度100%を前提に置かない現実的な構えといえます。
リリース前にハルシネーション(AIがもっともらしい誤りを作り出す現象)のリスクと人の目による確認の必要性を先に伝え、リリース後はハンズオン研修で実際に触れる機会をつくる。この順番には、技術の性能とは別に、使う側の受け止め方まで含めて設計するという意図が読み取れます。過剰な期待から入った利用者は一度の誤答で離れますが、限界を承知で使い始めた利用者は外れても使い続けます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
意味の切れ目で文書を分割する方式により、回答精度は90%超に達しました。2025年2月の全社リリース後は月間30〜40%の利用率が続き、3カ月で約35,000回の検索が行われています。何十分もかけて探していた情報が短時間で見つかるようになったほか、部署間での問い合わせのたらい回しも解消されました。AIに関心の高い一部の社員にとどまらず全社員が恩恵を受けている点に、この利用率の意味があります。今後は対象業務やユースケースを広げ、検索した後の情報整理や入力作業の支援にも機能を拡張する構想が示されています。
うちでも使える?
応用が効きやすいのは、判断の根拠が文書として残っていて、しかもその文書が長い組織です。規定集や技術標準のように条件と例外が入り組んだ長文を抱えているほど、意味の切れ目で分割するという考え方は効いてきます。逆に、手順が短いメモや口頭のやりとりで回っている業務、あるいは文書はあっても改訂が止まり現場の実態と食い違っている業務では、検索の精度を上げたところで返ってくるのは古い答えです。この場合はAIより先に、文書そのものの整備が必要になります。
もう一つの分かれ目は、社内の言葉づかいがどれだけ独特かという点です。略語や社内限定の呼び名が多いほど、出来合いの仕組みをそのまま当てても精度は伸びにくく、現場の質問パターンを集める工程は省けません。まずは、よく寄せられる質問を20問ほど書き留めて、今の検索窓にそのまま入れてみる。何問で目的の記述にたどり着けたかを数えれば、自社の出発点が20%側に近いのか、90%側を狙える位置にいるのかが見えてきます。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社大和総研
DXソリューション、IT基盤ソリューション、ヘルステック・社会保険ソリューション、金融システムソリューションなどを提供。フロンティア研究開発センターやプロダクトソリューション部を擁し、データサイエンティストによる生成AI技術の研究開発と業務システム開発を手掛ける。生成AIを活用した社内ナレッジ検索サービス「IntelligentSeek」を提供している。
三菱UFJニコス株式会社
出典・参考情報
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