実施 2024.12 ・ 更新 2026.08.17
生成AIの全社定着で年間151万時間削減、GMOインターネットグループの進め方
プロジェクト期間:1年 〜 2年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを入れたが社内に広がらない
- 使う人と使わない人の差が大きい
- 社内の知識が個人に埋もれている
どのようなAIの取り組み?
社内の考え方を学習させた独自のAIと全社規模の教育を組み合わせ、生成AIの日常利用を組織全体に広げたAI取り組み
業種
インターネットインフラ・広告メディア(情報通信)
取り組み領域
全社の業務全般/社内AI活用の推進
使ったAI
生成AI検索(天秤AI byGMO、ChatGPT Search、Perplexity)とClaudeを土台にした社内AI
主な成果
2024年の業務削減時間が推定151万時間超
GMOインターネットグループは、グループ全体で生成AIを日常業務に組み込む取り組みを進めています。情報収集やアイデア出しの場面では、自社が提供する生成AI検索サービス「天秤AI byGMO」に加え、ChatGPT SearchやPerplexityといった複数のAI検索を使える状態にしました。社内向けには、代表の思考や「GMOイズム」と呼ばれる企業カルチャーを学習させたバーチャル知的ナビゲーターを、Claudeを土台に開発して提供を開始。あわせて、全パートナー(同社における従業員の呼称)を対象としたAIテスト「GMO AIパスポート」、非エンジニア向けのリスキリングプログラム「虎の穴」、Slack上で使えるChatGPTアプリなど、教育の場と安全に使える環境の整備を並行して進めています。
出典:GMOインターネットグループ、生成AI業務活用率が88.6%に!自社提供の生成AI検索「天秤AI byGMO」の業務利用率が、「ChatGPT Search」に次ぐ利用率 | GMOインターネットグループのプレスリリース 発行元:GMOインターネットグループ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
この取り組みの出発点は、生成AIをこれから入れるという段階ではありませんでした。ツール自体はすでに手元にあり、それでも具体的な活用の仕方が定着しきらない、従業員ごとに最新ツールへの追いつき方に差がある、という状態が課題として置かれています。加えて、業務時間の削減だけを目的にする段階から、AIを使って新しい価値を生む段階へ移りたいという狙いもありました。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は道具の不足ではなく、組織として「どこまで使えている状態が標準なのか」を誰も把握できていないことにあったのではないでしょうか。全社の活用状況が見えないままだと、うまく使えている人の工夫は個人の中に閉じ、次の段階へ進む判断もできません。活用の広がりと深さを測る物差しを持つこと自体が、最初の関門だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
代表の思考と企業カルチャーを学習させた社内専用のAIを、外部のツールとは別に用意した設計が、この取り組みの中核にあります。汎用の生成AIは一般的な知識には強い一方で、その会社らしい判断の基準までは持ち合わせていません。社内の考え方を吸収させたナビゲーターを別に立てたことで、一般的な調べ物は外部のAI検索へ、社内の文脈が要る相談は自社ツールへ、という役割の分かれ道が自然にできたと考えられます。理念や暗黙の判断基準は研修資料として配っても浸透しにくい種類の情報ですが、質問すれば答えが返る形にすれば、必要になった瞬間に触れられます。
全パートナーを対象にしたAIテストと、非エンジニア向けのリスキリングプログラムを組み合わせた育て方も見逃せません。テストは一人ひとりの理解度を測ると同時に、組織として「ここまでは全員ができる」という水準を引く働きをします。技術職以外にも学びの入り口を用意した点は、活用が一部の部署だけで進んで他が置き去りになる展開を避けるうえで効いたのではないでしょうか。
三つ目は、使う場所を業務の動線に寄せた環境づくりです。Slack上からChatGPTを呼び出せるようにすれば、別の画面を開き直す手間が消え、同僚に尋ねるのと同じ流れでAIに聞けます。さらに、複数のAI検索を並べて使い分けさせる形をとった判断は、ツールを一つに絞る運用とは逆で、目的に応じて答えの出方を比べる習慣そのものを鍛える方向に働きます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
グループ全体の生成AI活用率は88.6%に達し、2024年の合計業務削減時間は推定で151万時間を超えました。パートナー一人あたりでは月間30.1時間にあたります。現場からは、生成AI検索で多角的な回答を見比べられるためアイデア出しがスムーズになり、クリエイティブな作業が豊かになったという声が寄せられています。単なる効率化からAIとの共創へと従業員の意識が移り、データドリブンな企業文化の定着も進んでいます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、社内に蓄積された知識や判断の基準を、文章の形で取り出せる組織です。理念、過去の意思決定、社内でよく交わされる質問と答えが文書として残っていれば、それを学習させた相談相手をつくる発想はそのまま持ち込めます。社内ナレッジの共有や理念の浸透を課題に感じている経営企画や人事の部門とは、特に相性がよいはずです。
一方で、この事例をそのまま真似るのは難しい面もあります。自社でAIサービスを開発・提供している会社ならではの技術的な土台がありますし、パソコンに向かう業務が中心という前提も効いています。現場作業が主で端末に触れる時間が短い職場や、判断基準が文書化されず先輩の口伝えで受け継がれている職場では、まず言語化から始めることになります。加えて、AIの回答をうのみにしない注意喚起と、用途に応じたツールの使い分けの周知は、規模を問わず必要になる部分です。
はじめの一歩としては、自部門で新人からよく出る質問を一つ選び、社内資料を添えた場合とそうでない場合とで生成AIの答えがどう変わるかを見比べてみてはいかがでしょうか。自社の文脈を渡す価値が、そこで手触りとして分かります。
この事例は2024年12月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
GMOインターネットグループ株式会社
ドメイン、セキュリティ、決済などビジネス基盤となるサービスを提供するインターネットインフラ事業を主軸に、インターネット広告・メディア事業、インターネット金融事業、暗号資産事業を展開する総合インターネットグループ。東証プライム市場(証券コード:9449)、資本金50億円。「AIで未来を創るNo.1企業グループへ」を掲げ、グループ全パートナーによる生成AI活用を推進している。
出典・参考情報
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