実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.17
全社の業務工数を可視化しAIで置き換え、年間9,560時間の削減見込み
企業規模:300人以内
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- どの業務に時間を取られているか分からない
- 細かい作業に追われ企画が進まない
- 社員がAIを使いこなせない
どのようなAIの取り組み?
全社の業務工数を計測して構造的なボトルネックを特定し、年間9,560時間の削減を見込む段階まで進めたAI取り組み
業種
飲食店向けWebサービス(情報通信)
取り組み領域
全社の定型業務/求人原稿制作
使ったAI
生成AI(社内プロンプト共有システム)
主な成果
全社で年間9,560時間の業務削減を見込む
飲食店向けのサービスを手がける株式会社シンクロ・フードは、自社の生産性を引き上げる狙いから、各部門の担当者を集めた全社横断のプロジェクトを立ち上げ、業務のAIへの置き換えを進めています。出発点に置かれたのは、全従業員の全業務にかかる工数の計測でした。時間の使われ方を数字で見える形にしたうえで、構造的なボトルネックがどこにあるのかを特定しています。並行して、社内向けのAI活用基盤として独自のプロンプト共有システムを開発し、安全に使うためのルールや制度を整備しました。非エンジニアの社員に向けては、プロンプト・エンジニアリング(AIへの指示文の設計)の研修も実施しています。個別業務への適用としては求人広告サービスの原稿制作を取り上げ、営業担当とライターのあいだで交わされる制作依頼のプロセスにAIを組み込み、関東の一部エリアで半自動化のテストを完了させました。
出典:AI活用で年間9,560時間の業務削減を見込む~全社横断の取り組みで、生産性向上と新しい価値創造へ~ | 株式会社シンクロ・フードのプレスリリース 発行元:株式会社シンクロ・フード
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
定型業務に工数が吸い取られ、顧客対応や新しいサービスの企画・開発といった、本来なら力を注ぐべき仕事に時間を回しきれない。これが取り組み前の社内にあった状態です。業務の構造的なボトルネックがどこにあるのかも明確になっておらず、非エンジニアを含めた全社的なAIリテラシーの底上げも急がれていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「定型業務が多いこと」そのものではなく、どの作業に、どれだけの時間が吸われているのかを会社として把握できていなかった点にあるのではないでしょうか。時間の使われ方が見えないままだと、削減の議論は感覚と声の大きさで決まってしまい、AIを入れる先も「使えそうな部署」から選ばれることになります。手をつける順番を決める材料そのものが欠けていた、というのがこの事例の入口だったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
全従業員の全業務について工数を計測し、可視化してから着手先を決めるという順序が、この取り組みの土台になっています。個別業務の自動化から入れば、目に見える成果は早く出ますが、それが会社全体の時間の使い方を変える一手かどうかは分かりません。先に全体の分布を押さえてから構造的なボトルネックを特定する進め方は、投じた労力が全社の数字にどうつながるかを、あらかじめ説明できる状態をつくります。飲食業界向けにサービスを提供する立場から、まず自社の生産性に向き合うという発想も、この順序と地続きです。
使う側の環境整備を、適用と同時並行で進めた点も見逃せません。独自のプロンプト共有システムは、うまくいった指示文が個人の手元に留まらず、社内で使い回せる資産に変わる仕組みだと読めます。そこに安全に利用するためのルールと制度、さらに非エンジニア向けの研修を重ねた構成は、「AIが得意な一部の人が代行する」状態を避け、各部門の担当者が自分の業務を自分で置き換えられるところまで引き上げる意図によるものではないでしょうか。全社横断で各部門から担当者をアサインした体制も、この狙いと噛み合っています。
求人原稿制作での適用先の選び方にも、判断の跡がうかがえます。狙いを定めたのは原稿を書く作業そのものより、営業担当とライターのあいだで交わされる制作依頼というプロセスの受け渡し部分でした。人から人へ情報が渡る接合部は、待ち時間や書き直しが溜まりやすく、AIの介在で効きやすい領域です。しかも全国一斉ではなく関東の一部エリアに限定した半自動化テストにとどめており、品質の確かめ方を持たないまま範囲を広げないという慎重さが働いています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年6月末の時点で、全社では年間9,560時間ぶんの業務削減効果が見込まれる段階に達しています。これは今期末に掲げた10%削減目標に対して24.9%の進捗にあたります。半自動化テストを行った組織単体でも、年間900時間の削減が想定されています。現場からは、細かな作業が減って営業や企画に集中できるようになった、AIを新しい挑戦にも活かせるようになり開業段階から寄り添う取り組みに挑んでいる、といった声が出ています。同社は3年後に業務時間30%削減を掲げています。
うちでも使える?
この進め方が効きやすいのは、複数の部門に似た形の定型作業が散らばっていて、しかもその総量を誰も正確に言えない会社です。工数の計測は特別な技術を必要とせず、規模が小さいほど短期間で全体像をつかめます。一方で、全従業員に自分の業務時間を申告してもらう作業は、現場から見れば監視されている感覚を招きやすく、数字の精度も協力度合いに左右されます。目的が「人を減らすため」ではないと示せない状態で始めると、集まった数字自体が使いものにならない可能性があります。
また、この事例で成果が見込まれているのは、原稿制作のように入力と出力の形式がある程度そろった業務です。顧客ごとに判断が変わる商談や、責任の所在が絡む承認業務は、同じ形では置き換えにくいと考えられます。
最初の一歩としては、直近1週間で自分の部署が繰り返した「誰かに渡して、返ってくるのを待った」やりとりを一つ選び、その待ち時間の長さを測ってみてはいかがでしょうか。受け渡しの接合部は、この事例が実際に狙いを定めた場所です。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
株式会社シンクロ・フード
飲食店の出店・開業・運営に役立つサービスをワンストップで提供する「飲食店ドットコム」を運営する企業。飲食業界専門の求人サイト「求人飲食店ドットコム」、SNSショート動画アルバイト求人サイト「グルメバイトちゃん」のほか、「店舗デザイン.COM」「内装建築.com」「モビマル」「求人@インテリアデザイン」「農業ジョブ」など飲食業界を超えたサービスも展開。東京証券取引所プライム市場上場(証券コード3963)、資本金8億8230万円。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
