実施 2025.09 ・ 更新 2026.08.17
クレディセゾンが生成AIを全社員に展開、一人あたり年170時間削減の見込み
プロジェクト期間:半年未満
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを一部の詳しい社員しか使えていない
- 全社に広げたいが進め方が見えない
- 社内文書が整理できずAIが使えない
どのようなAIの取り組み?
ChatGPT Enterpriseの全社員導入とAIを前提とした業務の再設計により、一人あたり年間170時間の削減を見込むAI取り組み
業種
クレジットカード事業(金融・サービス)
取り組み領域
全社業務・顧客対応
使ったAI
ChatGPT Enterprise(企業向け生成AI)
主な成果
一人あたり年間170時間の削減を見込む
クレジットカード事業を手がけるクレディセゾンは、2021年から進めてきたデジタル変革の延長線上で、生成AIを全社員・全業務の変革の中心に据える新たな戦略を始動しました。第一弾として、OpenAIの企業向け生成AIサービス「ChatGPT Enterprise」を社員3,700人へ導入しています。本格展開の前には、OpenAIの全面的な支援を受けながら、役員を含む約300人によるパイロット導入(試験的な先行導入)で業務への効果を検証しました。並行して、社内の文書や規定をAIが解釈しやすい形へ整える情報設計や、AI開発指針とモニタリングの整備によるガバナンスづくりにも着手しており、2028年春のAIコールセンター開始を見据えた計画も動いています。
出典:300万時間の業務削減へ クレディセゾン、全社員のAIワーカー化を目指し「CSAX戦略」を始動。ChatGPT Enterpriseを3,700人に導入、2028年春のAIコールセンター実現へ | 株式会社クレディセゾンのプレスリリース 発行元:株式会社クレディセゾン
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
クレディセゾンは2021年からのCSDX戦略のもと、システムの内製開発を広げ、情報システム部門とデジタル部門を統合し、社員のITリテラシー向上や主要システムのクラウド移行、大幅な業務削減といった結果を積み上げてきました。それでも生成AIの急速な広がりを前に、AIを一部の専門職が扱う技術と位置づけたままでは足りないと判断し、すべての社員と業務にとっての変革のエンジンとして定義し直しています。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとは「AIツールが足りない」という話ではありません。業務の手順も社内に蓄えられた文書も、人間だけが読んで動かす前提で組み上げられていたこと、そこが本質だったのではないでしょうか。デジタル化で成果を出してきた組織ほどその前提は固く作り込まれており、ツールを配るだけでは効き目が頭打ちになる。だからこそ、業務の設計そのものを問い直す形になったと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
全社3,700人へ広げる前に、役員を含む約300人で先に試したという順序に、この取り組みの組み立てがよく表れています。とりわけ参加者に役員が含まれている点が効いていると考えられます。全社員に使わせる施策は、決裁する側が使用感を持たないままだと、現場から上がる「効果が見えない」という声に耐えられません。自分たちの業務で効き目を確かめてから配布規模を広げる進め方は、投資判断と現場の納得を同時に確保する設計になっています。
独自性がもっとも際立つのは、AIが読み取りやすいように社内の文書・規定・ナレッジを整え直す「AIフレンドリーな情報・システム設計」でしょう。人間にとっての読みやすさと、AIにとっての構造的・意味的な読みやすさは別物で、見出しの立て方や記述の粒度、用語の揺れといった部分が回答の質を左右します。ツールの性能を追うのではなく、AIに渡す前の材料そのものを直しにいく発想。これは生成AIを「使う」段階から「前提にする」段階へ移るための条件だと言えます。
AI開発指針の策定とモニタリングプロセスの整備を、展開と同じタイミングで進めている点も見逃せません。全社員が日常業務で使う以上、誤った出力や不適切な扱いは個人の注意だけでは防ぎきれず、ルールと監視の仕組みが追いつかなければ利用そのものが止まってしまいます。顧客対応でも、2028年春のAIコールセンター開始を見据えて音声認識などを使いながら応答や処理の範囲を段階的に広げる計画を採っており、影響の大きい領域ほど時間をかけて広げる組み立てになっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
約300人を対象としたパイロット導入の検証では、参加した社員一人あたり年間170時間の業務削減が見込めることが確認されました。これは検証段階で得られた見込み値ですが、この結果を根拠として全社員への本格導入が始まっています。会社としては2027年度末までに累計300万時間の業務削減を目指しており、顧客対応でもAIに任せられる部分を自動化して、オペレーターが複雑な対応や顧客体験の向上に専念できる体制を構築していく予定です。
うちでも使える?
応用しやすいのは、まず限られた人数で効き目を測り、削減時間という共通の物差しで判断してから広げるという進め方です。規模や業種を問わず取り入れられますし、先行して試すメンバーに決裁権を持つ人を入れる工夫も同じように使えます。社内の文書をAIが扱いやすい形へ整える発想も、抱えている文書量の多寡にかかわらず効いてくるはずです。
一方で、そのまま持ち込むのが難しい部分もあります。3,700人規模を前提としたガバナンスの仕組みや、2028年春を見据えた顧客対応の段階的な移行計画は、時間軸も体制も大きく、少人数の組織が写し取れるものではありません。社内の規定やノウハウがそもそも文書になっていない場合は、AI向けに整える以前に、まず書き出す作業から始めることになります。
最初の一歩としては、手元にある業務マニュアルを1本だけ選び、そのままAIに読ませて実際の質問を投げてみてはいかがでしょうか。答えが的外れになる箇所が、整備すべき書き方の問題をそのまま教えてくれます。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社クレディセゾン
金融・保険業を営む東証プライム上場企業(資本金759億2900万円)。2021年よりデジタル技術の活用によるビジネス変革・転換に取り組む「CSDX戦略」を推進し、2025年に全社員のAI活用を進める「CSAX戦略」を始動。
出典・参考情報
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
