実施 2025.02 ・ 更新 2026.08.17
キリングループ600名の生成AI研修、月2,200時間削減を生んだ事後課題
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 研修は受けたのに業務で使われない
- 社員ごとのAIスキル差が大きい
- 現場の活用ノウハウが共有されない
どのようなAIの取り組み?
実践型の生成AI研修と、受講後に実務でプロンプトを試す事後課題を組み合わせ、グループ全体で月約2,200時間の労働時間削減につなげたAI取り組み
業種
飲料・食品製造(食品・飲料)
取り組み領域
社員教育/AI人材育成
使ったAI
生成AI(実践型の社内研修プログラム)
主な成果
グループ全体で月約2,200時間の労働時間を削減
キリングループは長期経営構想「KV2027」でデジタル技術による業務プロセス変革を掲げ、その担い手となるビジネスアーキテクト人材を育てる社内プログラム「DX道場」を運営しています。今回の取り組みはその一環にあたり、株式会社AVILENが独自に設計した生成AI研修プログラムを、グループ各社の社員約600名が受講しました。カリキュラムは1人あたり約10時間で、座学だけで完結させず実践に重心を置いた構成です。特徴的なのは受講後の扱いで、受講生が自分で作成したプロンプトを実際の業務に当てはめ、その効果を確かめる事後課題が設定されました。この流れを経て、グループ全体で月約2,200時間の労働時間削減と、450件以上の活用事例の集約という成果が示されています。
出典:AVILEN、キリンホールディングスに生成AI研修を提供 〜社員の生成AI活用スキルを向上し月2,200時間の労働時間削減に成功〜 | NEWS(ニュース) | 株式会社AVILEN 発行元:株式会社AVILEN
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
出発点にあったのは、生成AI活用の効果を最大化するには現場の社員一人ひとりが使いこなすスキルを身につける必要がある、という認識でした。技術を用意する段階と、それが日々の仕事の中で回り始める段階との間に、埋めるべき距離があったわけです。
編集部の見立てでは、この距離の正体は知識量の不足ではなく、「翻訳」の担い手が定まっていなかったことにあります。自分の担当業務のどの工程なら生成AIに任せられるのかを判断できるのは、その業務を毎日回している本人だけです。とすれば、必要だったのは全社共通の使い方マニュアルではなく、各社員が自分の仕事をAIの扱える単位に分解し、言葉にして指示へ落とす力そのものだったのではないでしょうか。約600名という規模での育成に踏み込んだ判断も、その理解に立てば納得がいきます。
どうやって、うまくいったのか
受講後に、自分で作ったプロンプトを実際の業務で使い、効果を検証させる事後課題を置いた設計が、この取り組みの核心だと考えられます。研修の成果を「理解したかどうか」ではなく「自分の業務で動いたかどうか」で測る枠組みに切り替えたことになるからです。プロンプトを書くには対象業務の手順や判断基準を自分で言語化する必要があり、検証まで課すことで、その良し悪しが本人に結果として返ります。学びを現場に持ち帰るかどうかを個人の意欲任せにしなかった点が、定着の分かれ目になったのでしょう。
1人あたり約10時間という、座学に偏らない実践中心のカリキュラム構成も見逃せません。手を動かす時間が確保されていれば、受講中に扱う題材そのものが自分の業務に近づき、事後課題への移行が滑らかになります。ここではAVILENが研修プログラムの設計と提供を担い、キリングループ側は育成の場と業務で試す機会を用意するという役割分担が成立しており、外部の知見と社内の業務文脈が別々に存在したままにならない構図です。
単発のイベントではなく、ビジネスアーキテクト人材の育成を目的とした「DX道場」という既存プログラムの一部に組み込んだ位置づけも効いています。研修が経営構想から続く育成体系の一段として扱われれば、受講は業務の一部として認められ、事後課題に時間を割く正当性も生まれます。さらに、受講生が生み出したプロンプトを提出・集約する流れが用意されており、個人の手元で終わりがちな工夫が組織の共有財産へ移っていく。この回収の仕組みまで含めて一つの設計と見るべきです。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
グループ全体で月に約2,200時間、社員1名あたりでは約3.6時間の労働時間削減という定量的な成果が示されています。あわせて、報告書のたたき台作成、翻訳を踏まえた議事録の作成・要約、毎日更新される活動記録からの好事例抽出といった実務に直結するプロンプトが数多く生まれ、活用事例は450件以上が提出・集約されました。1人あたりの削減幅は1か月分としては控えめですが、それが約600名分積み上がったところに、この形の成果の性質がよく表れています。
うちでも使える?
応用が利きやすいのは、文書作成や要約、記録の整理といった、手順を言葉で説明できる業務が日常的に発生している職場です。報告書のたたき台づくりや議事録の要約は業種を問わず現れますし、受講者が自分の裁量で業務のやり方を少し変えられる環境であれば、事後課題の形はそのまま持ち込めます。研修制度がすでにあり、その中に組み込めるなら、なおさら回しやすいはずです。
一方で、接客や機械操作のように成果物が文章として残らない業務が中心の現場では、プロンプトに落とせる対象そのものが見つけにくく、同じやり方は噛み合いにくいでしょう。受講後の業務適用に上長の承認が要る、あるいは提出された事例を読んで整理する担い手がいないという状況でも、450件規模の蓄積までは届きにくいと考えられます。
まず試すなら、次の定例会議の議事録要約を数名がそれぞれ自作のプロンプトで処理し、出来上がりを持ち寄って見比べる場を一度だけ設けてみてはいかがでしょうか。誰のプロンプトがなぜ効いたのかが分かれば、それが最初の1件目のナレッジになります。
この事例は2025年2月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
プロジェクト実施・導入企業
株式会社AVILEN
「データとアルゴリズムで、人類を豊かにする」をパーパスに掲げ、上場企業を中心に約800社の企業(2024年8月末時点)へ、AI搭載のソフトウェア開発とビルドアップパッケージ(デジタル組織の構築支援)を主軸としたAIソリューションを提供。AIトランスフォーメーション戦略の策定からテクノロジー活用アビリティの向上、AI導入まで一気通貫で支援する。生成AI研修プログラムも提供している。
キリンホールディングス株式会社
出典・参考情報
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