実施 2025.05 ・ 更新 2026.08.17
査定額の理由を会話で説明する生成AI、LIFULLらがLINEでベータ提供
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 問い合わせ前に離脱されてしまう
- 価格の根拠説明に時間を取られている
- 初期の軽い相談を受け止めきれない
どのようなAIの取り組み?
生成AIが査定額の理由と周辺の相場感を会話で示し、LINE上でマンション売却の初期相談に応じる仕組みを共同開発したAI取り組み
業種
不動産情報サービス・不動産仲介(不動産)
取り組み領域
マンション売却の査定・初期相談
使ったAI
生成AIによる成約価格推定AI(対話型AI)
主な成果
査定額の根拠を対話で説明するLINE査定をベータ提供開始
不動産情報サービスの株式会社LIFULLと、不動産仲介の株式会社ウィルが共同で、生成AIを土台にした「成約価格推定AI」を開発し、LINE上で使える「AIウィルくんのマンション査定 BETA」の提供を始めました。利用者が所在地や間取り、築年数、物件のアピールポイントを入力すると、AIが推定した売却価格に加えて、その価格に至った理由や周辺の相場感を自然な会話の形で返します。比較対象とした近隣の事例や、価格を押し上げる要素・引き下げる要素を整理して伝える機能を備え、「もっと高く売るにはどうしたらよいか」といった、対面では切り出しにくい質問にも同じAIが一貫して応じます。取引情報は常に最新のものが反映される設計で、値動きの大きいエリアや、取引データが少ない地域・マンション棟に対しても価格推定を行えるようにしています。
出典:LIFULLと不動産仲介のウィル、生成AIを価格推定に活用した日本初の売却査定AIを共同開発し、提供開始 | 株式会社LIFULL(ライフル) 発行元:株式会社LIFULL
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
売却を考え始めた人が抱えていたのは、自分の物件がいくらで売れるのか見当がつかない、相談すれば営業されそうで気が重い、という二つの重さでした。加えて、従来の機械学習を用いたAI査定サービスでは価格は出るものの、なぜその価格なのかという理由が示されず、個別の疑問にも答えられない状態が続いていました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は情報の不足ではなく、返ってきた数字に対して聞き返す相手がいないことにあったのではないでしょうか。査定額という一つの数字だけを受け取っても、それが高いのか安いのか、何を直せば変わるのかが分からなければ、利用者は判断を保留するほかありません。数字は答えではなく問いの入り口であり、その問いを受け止める場が用意されていなかったことが、最初の一歩を止めていた要因だと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
価格そのものではなく、価格の成り立ちを返す設計に舵を切ったことが、この取り組みの中心にあります。比較対象となった周辺事例を示し、査定に影響するプラス要素とマイナス要素を分けて整理して伝えるため、利用者は提示額を検算する材料を手にできます。従来のAI査定が抱えていた不透明さは、精度の問題というより、出力が数字一点に絞られていた構造の問題だったと読み取れます。説明を機能として実装した点に、この設計の要があります。
聞きにくい質問までAIの守備範囲に取り込んだことも、実運用を成り立たせている要因でしょう。「もっと高く売るには」という問いは、担当者を前にすると値踏みされる不安がつきまとい、口に出しにくいものです。相手がAIであれば、その心理的なコストは生じません。日常的に使われているLINEに載せたことと合わせて、身構えずに接触できる入口が設計として組み立てられています。
説明する以上は根拠となるデータの鮮度が信頼を左右する、という前提に立った運用の仕組みも見逃せません。常に最新の取引情報を反映させる構造を作り込み、相場変動の激しいエリアや、取引データが乏しい地域・マンション棟でも柔軟に推定できるようにしています。作った時点の精度で固定するのではなく、供給し続ける前提で組んだ設計です。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
LINEという日常のなかにある場を通じて、利用者が自分のペースで納得感を持ちながら売却を検討できる体験が形になりました。対話で査定の根拠をたどれるため、初期段階のライトな相談ニーズにも気軽に応えられるようになっています。ウィル社の担当者は、AIがスピーディで客観的な情報を提供する一方、人の担当者は利用者の不安に寄り添う「人の温度」を感じるサポートに注力できるようになったと評価しています。今後の展望としては、対象エリアの拡大、戸建てや土地への物件種別の拡張、そして査定精度の向上と根拠説明のさらなる充実が挙げられています。成果の中身は、対応量の置き換えというより役割の再配分にあると捉えられます。
うちでも使える?
応用しやすいのは、金額が大きく、購入や売却の頻度が低く、相場が一般の人には見えにくい商材の初期接点です。中古車の買取査定、住宅設備の見積もり、金融商品の提案などは、価格に対して「なぜ」が生まれやすく、その問いを担当者に投げる前段階で答えられる仕組みの価値が出やすい領域といえます。
一方で、この形がそのまま効くとは限りません。価格の根拠を示すには、比較できる取引データが手元にあることが前提になります。取引が相対交渉で完結して記録が残らない商材や、条件が一件ごとに違いすぎて比較対象を作れない領域では、説明の材料そのものが揃いません。加えて、生成AIが示す根拠が常に正しいとは限らないため、誤った説明が意思決定を歪めないよう、確認プロセスや専門家による最終チェックを設計に組み込む必要があります。
まず試すなら、直近の見積もり案件をいくつか取り上げて、その金額を自社の保有データだけで説明しきれるかを確かめてみてはいかがでしょうか。説明できない部分が、そのままAI化の壁になります。
この事例は2025年5月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:営業
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社LIFULL
「あらゆるLIFEを、FULLに。」をコーポレートメッセージに掲げ、社会課題を事業を通して解決することを目指すソーシャルエンタープライズ(東証プライム:2120、代表取締役社長:伊東祐司)。不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」、空き家の再生を軸とした「LIFULL 地方創生」、シニアの暮らしに寄り添う「LIFULL 介護」など、さまざまな領域に事業を拡大している。
出典・参考情報
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