実施 2025.08 ・ 更新 2026.08.17
不動産の売却査定を最短60秒に、公開データで透明性を保つAI価格推定
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 担当者ごとに査定額がぶれる
- 価格の根拠をうまく説明できない
- 見積もりを出すまでに数日かかる
どのようなAIの取り組み?
公開データを学習したAIで売却想定価格を自動算出し、最短60秒での提示を可能にしたAI取り組み
業種
不動産査定サービス(不動産テック)
取り組み領域
売却査定/不動産価格の算定
使ったAI
不動産価格推定AI(機械学習による価格予測)
主な成果
査定価格の提示を最短60秒で実現
不動産投資の不透明さの解消を掲げるPropally株式会社が、HEROZ株式会社の「不動産価格推定AI」を自社サービスに組み込み、物件情報を入力するだけで売却想定価格を自動で算出する「無料売却AI査定」を開発しました。このAIは、過去に売買された類似物件の実売価格から適正価格を予測し、売出価格との乖離をスコアとして評価します。学習には国土交通省が提供する不動産データなどの公開情報を使い、複数の視点から評価するアンサンブルモデルによって、単一の金額ではなく価格の幅を示す構成です。従来は数日から一週間程度かかっていた査定が、最短60秒で提示できるようになりました。
出典:HEROZ開発の「不動産価格推定AI」を活用したPropallyの新サービス「無料売却AI査定」が提供開始~ 実売価格を学習した高精度AI査定によりブラックボックス化する不動産取引の透明性を向上 ~ - HEROZ株式会社(ヒーローズ) 発行元:HEROZ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
不動産テックの領域には価格査定サービスが数多くありますが、その中には簡易的なロジックによる精度の低いモデルも交じり、利用者が結果を信じきれない状況が生まれていました。金融機関の住宅ローン審査でも、不正業者が水増しした価格で融資を申し込む例が見られ、担当者の裁量に依存した担保評価の客観性が問われていました。
困りごとの本質は、査定額が正確かどうか以前に、提示された価格の妥当性を受け手の側で検証する手立てがなかったことにあるのではないでしょうか。売主も金融機関も、示された数字を疑うことはできても、代わりに置ける基準を持ちません。査定サービスが増えるほど選択肢は広がるのに信頼が積み上がらなかったのは、価格の根拠が各社の内側に閉じていたためだと編集部は見ています。
どうやって、うまくいったのか
学習の土台を国土交通省の不動産データなどの公開情報に置いた点が、この査定エンジンの性格を決めています。自社だけが抱えるデータで精度を追う道もあったはずですが、あえて誰でも辿れるデータを軸に据えたことで、算出された金額の出どころを外部から確認できる状態が保たれました。査定を担うAIは中身が見えないほど「なぜその額なのか」に答えられなくなり、精度を主張しても受け手には確かめようがありません。データの素性を開示できる形に寄せた設計は、精度を論じる前段として信頼の足場を用意したものだと考えられます。
複数の視点から評価するアンサンブルモデル(複数のモデルの予測を組み合わせる手法)を組み、単一の金額ではなく価格の幅を返す構成にした判断も効いています。一点の数字を出す設計は分かりやすい反面、外れたときに評価そのものへの不信へ直結します。幅で示せば、市場の揺れや物件固有の事情が入り込む余地を最初から可視化でき、受け取った側は自分の状況に照らしてどのあたりが妥当かを考えられます。断定を避けたというより、判断の余白を残したこと自体が実運用に耐える設計だったのではないでしょうか。
予測した適正価格と実際の売出価格の乖離をスコアとして返す仕組みは、この手法の使い道を広げています。「いくらか」を答えるだけの査定なら用途は売主向けに限られますが、「提示された価格が妥当か」を測れる形にしたことで、担保評価のように第三者が価格を検証する場面にもそのまま接続できます。加えて、将棋AIで培った類似度計算の技術を持つHEROZ株式会社がエンジンを提供し、Propally株式会社がそれを自社システムに組み込んで無料の査定サービスへ仕立てるという役割分担も見逃せない点です。予測モデルをつくる仕事と、一般の利用者が迷わず使える導線をつくる仕事を、それぞれの担い手が受け持った構図になっています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
数日から一週間程度を要していた不動産査定が、最短60秒で提示できるようになりました。適正な価格を迅速かつ客観的に算出する手段ができたことで、事業者と顧客の間にあった情報の非対称性が縮まり、利用者からの信頼性向上や他社との明確な差別化につながることが期待されています。金融機関にとっても、正確な査定を用いて不正業者や虚偽申告を事前に検知し、融資リスクを大きく軽減できる見込みです。今年度中に年間1万人の利用が目標として掲げられています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、過去の取引価格が公開データとして積み上がっていて、なおかつ売り手と買い手の持つ情報量に差がある領域です。中古車の買取や美術品の査定のように、評価が担当者の経験に委ねられてきた分野とは相性がよいはずです。逆に、取引そのものが少ない特殊な条件の物件や、市場が短期間で大きく動く局面では、類似取引という土台自体が細るため、予測値と実勢が離れる可能性が残ります。だからこそ、最終的な確認を専門家が担うプロセスを残しておくかどうかが、導入設計の分かれ目になります。
手始めには、自社が価格や見積もりを提示している場面をひとつ選び、その根拠を社外の人が辿れるかどうかを確かめてみてはいかがでしょうか。辿れないのであれば、AIを載せる前に、根拠となるデータを外部の公開情報で補えないかを探るほうが先です。
この事例は2025年8月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
HEROZ株式会社
世界を驚かすサービスの創出を目指すAI企業。将棋AIの研究開発から生まれた独自AIを軸に、ディープラーニング等の機械学習の研究開発や、生成AIを活用したAIアシスタント「HEROZ ASK」の開発など、ビジネスでの実戦的なAI活用を行う。代表取締役CEOは林隆弘氏。
Propally株式会社
出典・参考情報
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