実施 2025.07 ・ 更新 2026.08.17
AIが会話からカルテを自動作成、検証で作成時間を約66%削減したリハビリ病院
プロジェクト期間:半年未満
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 記録や書類作成に時間を奪われる
- 現場スタッフの残業を減らしたい
- AIを入れたのに時間が減らない
どのようなAIの取り組み?
会話からAIが診療録を自動で作成する仕組みを臨床現場で検証し、作成時間を平均で約66%短縮したAI取り組み
業種
リハビリテーション病院(医療)
取り組み領域
診療録・書類作成業務
使ったAI
会話から診療録を自動作成するAIツール「medimo」
主な成果
診療録の作成時間を平均約66%削減
リハビリテーション病院を運営する生和会グループが、グループ内の研究組織であるMR&S有限会社 SDX研究所を中心に、彩都リハビリテーション病院と川西リハビリテーション病院で、株式会社medimoのAIツール「medimo」を臨床現場で検証しました。会話の内容からAIが診療録を自動で作成する仕組みです。一回目の検証では記録の質や負担感には手応えがあったものの、作成時間そのものは縮まりませんでした。そこで二回目の検証に向けて、ツールを使う環境の最適化と運用プロセスの見直しを行い、現場のノウハウを共有する教育体制も整えたうえで再度計測しています。その結果、対象となったセラピスト全員で作成時間が短縮され、グループは関西で運営する9病院への展開を決めています。
出典:生成AI活用により3ヵ月間で約2,000時間以上の業務削減効果を確認 関西9病院に年内導入決定 | MR&S有限会社 SDX研究所のプレスリリース 発行元:MR&S有限会社 SDX研究所
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
リハビリテーションの現場でセラピストが向き合う相手は患者ですが、実際の一日には診療録をはじめとする書類作成が積み上がります。患者と関わる時間が、記録を書く時間に押されていくという構図です。
編集部の見立てでは、ここでの困りごとの本質は「書類が多い」という量の問題だけではありません。記録を書けるのは、その場に立ち会った本人だけです。つまり作業を誰かに振り分けることができず、ケアの時間を削るか、勤務時間の外側にはみ出させるかの二択になりやすい。だからこそ、人手を足す発想ではなく、記録が生まれる過程そのものに手を入れるしかなかったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
一回目の検証で作成時間が縮まらなかったとき、原因をツールの性能に求めず、使用環境と運用手順の側を点検した判断が起点になっています。AIが記録を書き起こす仕組みは、ツールを配ればそれだけで時間が浮くわけではなく、どの場面で使い、出てきた文章をどう確認し、どこまで手を入れるかという手順が決まって初めて短縮に結びつきます。うまくいかなかった検証を失敗として畳まず、次の条件を組み替える材料として使った点に、この取り組みの設計思想が表れています。
教育体制の強化とノウハウ共有を運用改善とセットで進めた点も見逃せません。会話からAIが記録を組み立てる以上、話す順序や情報の出し方といった使い手側の振る舞いが、そのまま出力の使いやすさを左右します。この種の勘所は個人が試行錯誤の末に掴むもので、放っておけば一部の人だけが速くなり、全体の時間は動かない。共有の仕組みを先に用意したやり方は、うまい使い方を個人の工夫に留めず、現場全体の標準へ引き上げる働きをしたと考えられます。
検証を二段階に分け、研究組織とツール提供元、そして二つの病院という役割の異なる主体で進めた進め方にも意味があります。SDX研究所が検証の設計と評価を担い、株式会社medimoがツールを提供し、彩都リハビリテーション病院と川西リハビリテーション病院が実際の臨床で使うという分担があったからこそ、一回目の結果を冷静に測り直し、条件を変えて再検証する流れが成立したのではないかと見ています。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
運用プロセスの見直しと教育体制の整備を経た二回目の検証では、対象となったすべてのセラピストで診療録の作成時間が短縮され、削減率は平均で約66%となりました。スタッフが感じる主観的な業務負担感も約50%軽減されています。診療録以外の書類作成でも時間短縮が確認され、導入前と比べて3ヵ月間で合計約2,000時間以上の業務削減につながりました。この結果を受け、関西で運営する9つのリハビリテーション病院への年内展開が決まり、医師や看護師など多職種への広がりも視野に入っています。
うちでも使える?
会話や対面のやり取りがそのまま記録になる仕事であれば、応用の余地はあります。商談内容を報告書に起こす営業、応対履歴を残すサポート窓口、面談記録を残す人事などは構造が近いはずです。逆に、記録の中身が数値の突き合わせや外部システムからの転記で成り立っている業務では、会話を起点にするこの形はあまり効きません。専門用語や略語が組織ごとに独自進化している現場でも、出力をそのまま使えず確認の手間が残る可能性があります。
参考にしたいのは、一回目でうまくいかなかった事実を運用側の課題として引き取った点です。試して時間が減らなかったときに、ツールの相性の問題と結論づける前に、いつ使うか、どこまで直すかという手順が決まっていたかを疑ってみる。まずは記録を書いている人が実際にどの手順で書いているかを、数人分だけ並べて見比べてみてはいかがでしょうか。
この事例は2025年7月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
MR&S有限会社 SDX研究所
生和会グループのMR&S有限会社 SDX研究所(所長:大門恭平)。業種は医療・福祉で、本社は大阪府堺市。関西圏で運営するリハビリテーション病院において、株式会社medimoが提供する生成AIサービス「medimo」の臨床現場での検証や、独自に開発するAIアプリケーション・外部企業の先進ソリューションの採用など、グループ全体のAI活用推進を担っている。
出典・参考情報
生成AI活用により3ヵ月間で約2,000時間以上の業務削減効果を確認 関西9病院に年内導入決定 | MR&S有限会社 SDX研究所のプレスリリース
発行元:MR&S有限会社 SDX研究所
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