実施 2023.11 ・ 更新 2026.08.17
西松建設が資材や建築費の変動予測にAI、見積と発注の判断材料にする運用
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 資材の値上がりが読めない
- 市況調査に時間を取られる
- 勘に頼った発注をやめたい
どのようなAIの取り組み?
経済ニュースや統計をAIで解析する予測サービスを、建築費や資材価格の見通しとして見積と発注の判断に組み込んだAI取り組み
業種
総合建設業(建設・不動産)
取り組み領域
見積・積算/資材調達・購買
使ったAI
xenoBrain(AIによる経済予測SaaS)
主な成果
調査分析業務の大幅な効率向上を見込む
西松建設のDX戦略室は、物価変動が建設コストに与える影響を適正に見込むため、物価データを整理し、先行指標となる市況から回帰分析で先行きを推計する取り組みを進めていましたが、自社だけで精度を高めることには限界がありました。そこで導入されたのが、xenodata lab. が提供する経済予測プラットフォーム「xenoBrain」です。経済ニュースや企業の開示資料、統計を独自のAIで解析し、さまざまな経済情報を予測するSaaS(インターネット経由で利用する形のサービス)として提供されています。西松建設ではこれを使って建築費指数の予測を確認し、見積金額に将来の価格変動リスクを加味する運用を開始したほか、購買業務では鉄筋に使う異形棒鋼などの個別品目の価格動向を追い、上昇が見込まれる場合は早期に発注する判断材料としています。
出典:西松建設、経済特化生成AI『xenoBrain』で建設業界の物価変動を先読み | 株式会社xenodata lab.のプレスリリース 発行元:株式会社xenodata lab.
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
大幅な物価変動が続く局面では、資材や工事費をいくらで見込むかという前提そのものが揺らぎます。DX戦略室は手をこまねいていたわけではなく、物価データを自ら整理し、先行する市況を手がかりに回帰分析で建築費の先行きを推計していました。それでも自社のみで精度を高めることには限界があった、というのが出発点です。
困りごとの本質は、予測の計算方法が足りなかったことよりも、予測を支える材料を集め続けられなかった点にあると考えられます。価格を動かすニュースや統計は日々更新され、そのうちどれが効いているのかを客観的に確かめる手立てが社内にはなかった。実際、同社が探し求めたのは高精度な予測モデルそのものではなく、影響要因となるニュースや統計を客観的に確認できるツールでした。求めていたのは答えではなく、判断の根拠だったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
自社での回帰分析に限界を感じた段階で、予測モデルを自前で磨き続ける路線をいったん打ち切った切り分けが、この取り組みの起点になっています。企業業績から業界市場規模、万単位の統計まで、価格に効きうる情報を自社で収集し更新し続けるのは現実的ではありません。情報の収集と解析という重い部分を外部の基盤に預け、社内の力を「その数字を建設の実務でどう使うか」に集中させた。役割の線引きが、限られた人手でも回る形をつくったと見ています。
予測の数値を、そのまま業務の動作へ翻訳した設計も見逃せません。見積では建築費指数の予測を確認して将来の価格変動リスクを金額に織り込み、購買では異形棒鋼のような個別品目の動向を見て、上昇が見込まれるなら発注を前倒しする。全体の相場観と、実際に買う品目という粒度の違う二つの層で使い分けている点が実務的です。予測が「参考情報」で終わらず、金額と発注時期という具体的な意思決定につながっているところに、この使い方の強さがあります。
AIの数値を唯一の答えに据えなかった位置づけも、運用を持続させる方向に働きます。目指されているのは、全国の積算や調達の担当者が集う会議の資料に参考指標として数値を記載し、他のデータと組み合わせて複合的に予測を算出する体制です。一つの数字を信じ込む運用ではなく、複数の見方を突き合わせる土台として置くやり方は、予測が外れた場合でも仕組みごと否定されにくい。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
企業業績や業界市場規模、万単位の統計データといった広範な経済予測を自社で一から構築すれば膨大なコストがかかるのに対し、SaaSとして利用できる本サービスはコストパフォーマンスが高いと評価されています。市場や業界の調査分析を社員が手作業で行う場合と比べた作業効率の向上については、大幅な改善が見込まれている段階です。現場からは、AIの予測結果が当たるかどうかだけでなく、その結果をどう実務に落とし込むかが重要だという受け止めが示されており、算出されたデータを一つのエビデンス(判断を裏づける材料)として素直に使う業務スタイルへの一歩が踏み出されています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、仕入れ価格の変動が損益に直結し、その価格が公開されたニュースや統計にある程度は表れる業種です。原材料を扱う製造業や、食材価格に左右される飲食業の調達部門などは、見積への上乗せや発注時期の前倒しといった打ち手が同じ形で効く可能性があります。逆に、相対交渉や特注品が中心で市場の指標に価格が現れにくい品目では、予測の手がかり自体が乏しくなります。また、価格を見積に反映する裁量や、在庫を早めに抱えられる資金と保管の余地がなければ、先を読めても動けません。
もう一つの分かれ目は、予測を受け取る側の構えです。この事例で機能しているのは、AIの数値を絶対視せず判断材料の一つとして扱う姿勢であり、その前提が共有されないまま導入すると、一度外れただけで使われなくなります。まずは直近の見積で金額の影響が大きかった品目を一つ選び、その価格が半年前にどう動いていたか、公開されている統計やニュースで説明がついたかどうかを確かめてみる。自社の判断にとって外部データがどこまで手がかりになるのか、そこから見えてきます。
この事例は2023年11月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:AIモデル・構築手法
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
株式会社xenodata lab.
経済特化生成AIプラットフォーム『xenoBrain(ゼノブレイン)』を運営する企業。経済ニュースや企業開示資料、統計を独自のAIで解析し、経済事象同士のつながりから企業業績・素材価格・業界需要・統計などの予測を提供する経済予測プラットフォームを提供し、事業会社の経営意思決定や金融機関の業務効率化を支援する。米国ダウ・ジョーンズ社、時事通信社、帝国データバンクとの提携により情報を収集・解析している。xenoBrainの正式版提供開始は2019年6月。代表取締役社長は関洋二郎。
西松建設株式会社
出典・参考情報
西松建設、経済特化生成AI『xenoBrain』で建設業界の物価変動を先読み | 株式会社xenodata lab.のプレスリリース
発行元:株式会社xenodata lab.
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