実施 2025.10 ・ 更新 2026.08.17
社員の92%がAI活用、コロプラが築いた抵抗感をほぐす浸透モデル
プロジェクト期間:2年 〜 3年
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- AIを入れたのに一部しか使わない
- 現場がAIを怖がって触らない
- 効率化止まりで先に進めない
どのようなAIの取り組み?
社員の心理状態を段階で捉えるモデルを独自に作り、AI活用を全社に広げた取り組み
業種
ゲーム開発(情報・通信)
取り組み領域
全社のAI活用推進/ゲーム開発
使ったAI
生成AI(社内活用と自社ゲームへの組み込み)
主な成果
社員の92%が業務でAIを活用
モバイルゲームやコンシューマーゲームを手がける株式会社コロプラは、2022年頃から社内でのAI活用推進を本格化させました。同社が組み立てたのは、AI活用の広がりを5段階で捉える成熟度モデルと、社員がAIをどう受け止めているかを6段階で表す心理的浸透度モデルという、二つの独自のものさしです。マネージャー以上が先に使う環境を整え、Slackでの体験共有、人事が主体となる勉強会やLT会といった場を設けつつ、経営層は活用の方向性とガイドラインを示しました。並行して、自社のゲームにもAIを組み込み、素材の自動生成やプレイヤーごとの体験づくり、画像解析を使った機能などに広げています。
出典:コロプラ式「導入だけで止めない」AI活用の"浸透ステップ"公開 〜社員活用率90%超、3人に1人が業務量半減を実感――その具体策とは~ | ニュース | 株式会社コロプラ 発行元:株式会社コロプラ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
AI活用を進めるにあたって同社が向き合ったのは、ツールが足りないことではなく、社員がAIに対して抱く心理的な抵抗でした。国内では生成AIを入れても試験的な利用で止まりやすいという状況があり、同社もまた、組織全体で体系的に使う文化をどう根づかせるかという問いに直面していました。
編集部の見立てでは、この困りごとの本質は「使い方が分からない」ことよりも、使ってよいのかどうかの判断を各社員が一人で背負わされている状態にあったのではないでしょうか。触ってよい範囲も、失敗したときの扱いも示されないままでは、様子見が最も安全な選択になります。導入が進まない組織で起きているのは能力の問題ではなく、判断の拠り所が空白になっていることだと考えられます。
どうやって、うまくいったのか
社員の心理状態を6段階に分けて捉えるという設計が、この取り組みの起点になっていると考えられます。AI活用の広がりを測る5段階の成熟度モデルが「組織としてどこまで来たか」を示すのに対し、心理的浸透度モデルは「一人ひとりが今どの気持ちの段階にいるか」を扱います。抵抗感という曖昧なものを段階として言葉にすると、遅れている人を責める話ではなく、次の段階へどう進んでもらうかという設計の話に変わります。
役職者から先に使うという順序の置き方も、効き方の大きい判断です。上位者が実際に使っている状態そのものが、使ってよいという合図として機能します。そこにSlackでの「使ってみた」という声の共有や、人事が主体となる勉強会、LT(持ち時間の短い発表)の場が重なることで、上からの方針と現場の実感が同じ方向を向きます。トップダウン、ボトムアップ、ミドルアップダウンを並べたのは、経路を増やすためというより、どの立場から見ても矛盾しない状態を作るためだったのではないでしょうか。
用途を社内の効率化に閉じなかった点も見逃せません。宝石の名称や背景ストーリー、映像・音声の自動生成、プレイヤーごとに異なるカードを生み出す独自AI、食事の画像解析によるカロリー記録機能といった実装は、AIを製品価値そのものに接続する使い方です。自分たちの本業がAIで変わる姿を社員が目にできる環境は、学ぶ動機を業務命令の外側から支えます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
社員の92%が業務でAIを活用し、そのうち半数以上がほぼ毎日使う状態まで定着しました。活用者の30%以上が業務量を50%以上減らせたと実感しています。心理面でも、活用者の4分の1が自らを「革新期」と捉える一方、入り口にあたる「受容期」は10%以下にとどまりました。社内には「AIを使うのが当たり前」という空気が生まれ、抵抗を感じていた社員も次の段階へ進む流れができつつあります。
うちでも使える?
心理の段階を可視化してから施策を当てるという進め方は、業種を問わず持ち込みやすい部類に入ります。特に、部署ごとに温度差が大きく、一部の熱心な人だけが使っている状態で止まっている組織とは相性がよいはずです。上位者が先に使う、体験を共有する場を用意する、方針とガイドラインを示すという要素は、いずれも大きな投資を必要としません。
一方で、そのまま真似ると効きにくい面もあります。この事例では、自社製品にAIを組み込んで新しい体験を作る場面が身近にあり、AIを使う理由が業務命令の外に存在していました。AIが本業と接点を持ちにくい業種では、その動機を別の形で用意する必要があります。役職者が率先するという前提も、上位者自身が使わなければ空回りします。
始めるなら、社員が今どの気持ちの段階にいるのかを数人に直接聞いてみるところから。使わない理由が知識不足なのか、許可の不明確さなのかが分かれば、打つべき手は自ずと絞られます。
この事例は2025年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:数値・Excel・ログ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社コロプラ
ジャンルにとらわれない多種多様なモバイルゲームを提供する企業。「Entertainment in Real Life」をミッションに掲げ、モバイルゲーム・コンシューマーゲームの開発・提供、XR、メタバース、ブロックチェーンゲームの開発・提供、ライブ・エンターテインメント周辺事業およびサービスの提供、国内外の未上場企業への投資およびファンド運用を行う。世界初の位置ゲー『コロニーな生活』、本格アクションRPG『白猫プロジェクト』、生成AIを活用した『神魔狩りのツクヨミ』などを展開。
出典・参考情報
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