実施 2024.10 ・ 更新 2026.08.17
マブチモーター、生成AIで3カ月9500時間削減 翻訳と集計を軸にした全社展開
プロジェクト期間:1年 〜 2年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 間接業務に人手を取られている
- 情報漏洩が心配でAIを試せない
- 海外向けの翻訳に時間がかかる
どのようなAIの取り組み?
法人向けの生成AIサービスを全社に展開し、翻訳やデータ集計といった間接業務で3カ月に約9500時間の削減効果を生んだAI取り組み
業種
小型モーターの製造・販売(電気機器・製造業)
取り組み領域
翻訳・特許調査・データ集計などの間接業務
使ったAI
法人向け生成AIサービス「exaBase 生成AI」
主な成果
全社展開から3カ月で約9500時間を削減
小型モーターを手がけるマブチモーターは、経営計画に掲げたIT活用と間接業務の効率化の一環として、2023年から生成AIの検討を始めました。導入パートナーには日鉄ソリューションズ(NSSOL)を選び、社内公募で集まった有志約130名がトライアルに参加して、部門ごとの使いどころを洗い出しています。利用するサービスには、入力した情報がAIの学習に使われず、部門単位でアクセス制限をかけられるExa Enterprise AIの「exaBase 生成AI」を採用しました。2024年10月から全社運用に移り、海外拠点向け研修動画の翻訳、多言語の特許文献の調査、消耗品コストデータを扱うための表計算関数やVBAコードの生成など、部門をまたいだ用途に広がっています。
出典:生成AIで間接業務を効率化 導入3カ月で9500時間の削減に|ユーザーズボイス|日鉄ソリューションズ 発行元:日鉄ソリューションズ株式会社
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
2023年の検討開始時点で社内にあったのは、生成AIへの関心と、ハルシネーションや情報漏洩への懸念、そして「自社の業務に本当に役立つのか」という迷いでした。間接業務の効率化そのものは経営計画として掲げられていたものの、その手段に生成AIを選べるかどうかは決めきれない状態にあったわけです。
編集部の見立てでは、この事例の出発点にあった困りごとは、作業量の多さよりも判断材料の欠落にあります。リスクの輪郭も効果の大きさも社内で誰も測っていない以上、慎重な部門ほど動けません。翻訳やデータ集計に時間を取られている実感はあっても、それが生成AIで解ける種類の負担なのかは、使ってみるまで誰にも言えない。この見えなさこそ、最初に外すべき詰まりだったのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
社内公募で有志約130名を集め、その手で使いどころを洗い出させたトライアル設計が、この取り組みの起点になっています。上から用途を割り当てるのではなく、実際に手を動かした人がユースケースと課題を持ち寄る形をとったことで、翻訳の下訳や関数の作成といった、机上の企画では出てきにくい粒度の業務が候補として浮かび上がりました。アンケートを通じて有用性を検証する進め方も、賛否を含む社内の実感をそのまま材料にできる点で理にかなっています。有志という集め方自体が、意欲のある層から着手して社内向けの説得材料を作る動線になっていたと見ています。
情報漏洩への不安を、利用ルールの整備ではなくサービス選定の要件として処理した判断も効いています。入力情報が学習に使われないこと、部門ごとにアクセス制限をかけられることを備えた法人向けサービスを選ぶやり方は、「気をつけて使う」という個人の努力に頼らずに済む線引きです。懸念をトライアル期間中に一つずつ潰していく段取りと合わせて、全社展開の前に反対理由が減っていく順序が組まれていました。
ハルシネーションを前提に置いた業務の組み立ても見逃せません。研修動画の翻訳では生成AIの訳文を人が確認する体制を敷き、字幕の文字数調整のような機械的な部分は自動化するという切り分けがなされています。選ばれた用途が、下訳、特許文献の読み解き、表計算の関数やVBAコードの生成といった、出力の妥当性を担当者がその場で判断できる領域に寄っている点も、この設計思想と地続きでしょう。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
全社展開から3カ月で約9500時間、年換算では約3万8000時間の業務削減効果が生まれ、これは全社の業務削減効果合計の63%にあたります。個別の業務でも変化が出ており、1〜2カ月かかっていた研修動画の翻訳は最短5日程度になり、これまで手が回らなかった中国語への対応も始まりました。海外特許調査の翻訳時間は体感で半分から3分の1に、半日を要していた関数作成は即座に終わるようになっています。今後は利用度の低い部門への普及と、機械学習を組み合わせた高度な活用が視野に入っています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、出力の正しさを担当者がその場で判断できる業務です。外国語の下訳、専門文書の読み解き、表計算の関数やコードの生成は、いずれも結果を見れば妥当かどうかが分かり、間違っていても手直しの範囲で収まります。海外拠点や海外文献とのやり取りが日常的にある会社であれば、業種が違っても似た使い方は見つかるはずです。
逆に難しいのは、確認そのものに手間がかかる領域でしょう。特許文献の翻訳が成り立っているのは、内容を評価できる担当者が社内にいるからで、その目がなければ訳文の妥当性は誰にも判断できません。この事例が入力情報を学習に使わない法人向けサービスの採用を前提にしている点も重要で、無償のサービスをそのまま業務に持ち込むなら、同じ安心感の上で議論することはできません。
試すなら、直近で外部に依頼した翻訳や、時間のかかった集計作業を一つ選び、生成AIに通してから人が確認し終えるまでの時間を実測してみてはどうでしょうか。削減幅が数字で語れるようになれば、社内の話し合いは一気に具体的になります。
この事例は2024年10月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
AIツール・サービスの提供形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
日鉄ソリューションズ株式会社
日本製鉄グループのIT企業。生成AIに関する知見と生成AIサービス「exaBase 生成AI」の導入・活用ノウハウを提供している。
マブチモーター株式会社
出典・参考情報
生成AIで間接業務を効率化 導入3カ月で9500時間の削減に|ユーザーズボイス|日鉄ソリューションズ
発行元:日鉄ソリューションズ株式会社
掲載企業の方へ:本記事は公開情報をもとに作成しています。内容の修正・削除、または貴社確認のうえでの公式掲載をご希望の場合はこちらからご連絡ください。
