実施 2025.09 ・ 更新 2026.08.17
デロイト トーマツ、AIエージェント全社展開で月10万時間の稼働削減
プロジェクト期間:2年 〜 3年
企業規模:1,000人以上
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 生成AIを配ったのに使われない
- 社内データを安全に使う基盤がない
- プロンプト作りが一部の人頼み
どのようなAIの取り組み?
AIエージェントの全社展開と定着施策を並行させ、月間約10万時間の稼働削減に至ったAI取り組み
業種
コンサルティング(専門サービス)
取り組み領域
全社の知識業務/提案資料作成・人事業務
使ったAI
自社開発の生成AIツールとAIエージェント(RAG・Private LLM)
主な成果
月間約10万時間の稼働削減、約12,000人に定着
コンサルティングを手がけるデロイト トーマツ グループは、2023年にCxO直下へ特任チームを設け、生成AIの活用を全社規模で進めてきました。チャットボット型のツールや提案資料の自動作成ツールなど4種類を自社開発し、社内データを扱うためのRAG(外部データを検索してAIの回答に活用する仕組み)と、大量アクセスに耐える負荷分散型の基盤を整備しています。並行して、エンジニア向けの専門研修による開発人材の育成、100種類以上のプロンプト集の配布、参加必須のeラーニング、各組織へのスーパーユーザーチーム設置といった定着施策を進めました。2025年3月にはAIエージェントの全社展開を完了し、2025年7月時点でグループ約12,000人が実務で活用、月間約10万時間の稼働削減に達しています。
出典:デロイト トーマツ、生成AI活用で月間約10万時間の稼働時間削減に成功、AIエージェントも全社展開 | デロイト トーマツ グループ 発行元:デロイト トーマツ グループ
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
生成AIのツールを用意することと、それが日々のプロフェッショナルワークの中で使われ続けることの間には、大きな隔たりがあります。この事例で解こうとされていたのは、まさにその隔たりでした。社内データを安全に扱える基盤がないままでは業務の中核には踏み込めず、うまく使える人と使えない人の差がそのままアウトプットの差になる。プロンプト作成の属人化という言葉は、その状態を端的に表しています。
編集部の見立てでは、困りごとの本質は「AIの性能」でも「ツールの数」でもなく、成果が個人の工夫に紐づいてしまう構造そのものにあったのではないでしょうか。誰かが試行錯誤して良い結果を得ても、それは組織の資産にならず、隣の人はまたゼロから同じ試行錯誤を繰り返す。数千人規模の組織では、この小さな重複が膨大な稼働として積み上がっていきます。
どうやって、うまくいったのか
CxO直下に特任チームを置いた体制設計が、まず起点にあります。全社にまたがるAI活用は、基盤・ツール・研修・業務プロセスのどれか一つを担当部門が動かしただけでは進みません。意思決定の権限を持つ層の直下に推進役を据えたことで、ツールを作る判断と、それを前提に業務のやり方を変える判断が、同じ場所で下せる状態になったと考えられます。実際、この事例では生成AIの活用を前提に業務プロセスそのものを組み替える動きまで踏み込んでいます。
開発・育成・定着の3つを同時に走らせた進め方も、見逃せない要素です。ツールを4種類自社開発する一方で、エンジニア向けの専門研修で作り手を育て、現場側には100種類以上のプロンプト集、参加必須のeラーニング、新卒・中途入社者向けの研修を用意する。さらに各組織内にスーパーユーザーチームを置き、身近な相談相手が存在する状態をつくっています。開発だけが先行すれば使われないツールが増え、研修だけが先行すれば学んだ先に使う場がない。この順序を切らさずに並走させた設計が効いています。
属人化への対処を、教育ではなく仕組みの側で引き取った判断も特徴的です。タスクに応じた最適なプロンプトの生成から、社内資料の参照、アウトプットのレビューまでをAIエージェントが一貫して実行する構成は、個人のプロンプト技能に成果が左右される余地を構造的に縮めます。加えて、アクセス権管理付きのRAGや社内向けのPrivate LLM(外部に出さず自社内で運用する大規模言語モデル)を整えることで、人事情報のような機微なデータを扱う人事エージェントの領域まで踏み込める土台が用意されました。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2025年7月時点で、グループ全体の約12,000人がプロフェッショナルワークの中で生成AIツールを活用する状態まで定着し、月間約10万時間の稼働削減に至っています。AIエージェントの展開により、コンサルタントが個別にプロンプトを試行錯誤する手間がなくなり、アウトプットの品質向上と作業時間の短縮につながりました。人事エージェントでは、個人情報を適切に管理しながら労務管理などの自動化が進み、業務負担の軽減とデータ活用による精度向上という定性的な効果も生まれています。
うちでも使える?
この事例の考え方が効きやすいのは、資料作成や調査、社内規程の参照といった、成果物の質が個人の慣れに左右されやすい仕事を多く抱える組織です。同じような作業を何人もが別々に繰り返しているなら、その手順をAI側に持たせる発想は規模を問わず応用が利きます。
一方で、そのまま真似るのが難しい部分もはっきりしています。4種類のツールを自社開発し、負荷分散型の基盤を組み、エンジニアを研修で育てる進め方は、内製できる人員を抱えられる規模が前提です。アクセス権管理付きのRAGにしても、誰がどの資料を見てよいかという権限情報が社内で整理されていなければ設計に入れません。まずは既製のツールで足元を固め、権限の整理を先に進めるほうが現実的な場合が多いはずです。
小さく始めるなら、社内で最も頻度の高い文書作成を一つ選び、うまく書ける人のプロンプトをそのまま別の人に使ってもらう。同じ品質が出るかどうかで、仕組み化できる業務かが見えてきます。
この事例は2025年9月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
プロジェクト実施・導入企業
デロイト トーマツ グループ
Deloitte Touche Tohmatsu Limited(Deloitte Global)のグローバルネットワーク組織を構成するメンバーファームおよび関係法人の一つ。CxO直下の特任チームを中心に生成AIの基盤構築・ツール開発・人材育成・定着を推進し、その実践経験をもとにクライアントの社内変革支援も行う。
出典・参考情報
デロイト トーマツ、生成AI活用で月間約10万時間の稼働時間削減に成功、AIエージェントも全社展開 | デロイト トーマツ グループ
発行元:デロイト トーマツ グループ
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