2025年2月に社内AI研究機関「ASUENE AI LAB」という常設の組織を置いた設計が、この取り組みの骨格になっています。AI活用を各部門の自助努力に委ねず、検討と実装を専任で担う主体を先に立ち上げた構えです。この形をとると、どのツールが何に向くのか、どこまで任せてよいのかという判断が、個人の経験ではなく組織側に蓄積されていきます。
ツールを配って終わりにせず、AIを用いたワークフローの標準化まで踏み込み、各事業部門へ実装を広げていった進め方も効いていると考えられます。手順が定まっていない業務にAIを差し込むと、使う人ごとに入力も結果もばらつき、「使いこなせる人だけの便利な道具」で止まりがちです。仕事の流れそのものを型にしたうえでAIを組み込めば、担当者が入れ替わっても同じやり方が残ります。自動化の入り口にFAQ対応という、答えが既に定まっている領域を選んだ切り分けも、この標準化と噛み合っています。
社内業務の効率化と、自社サービスへのAI実装を同じ時期に並走させた構成も見逃せません。CO2排出量算定クラウドに載せた特許取得済みのAI-OCR、転職プラットフォームでの職務経歴の自動要約は、いずれも利用者が手作業で入力・整理していた部分をAIに寄せる発想で、社内のFAQ対応を自動化した考え方と地続きです。社員が日常的にAIを使う環境があれば、どこまで任せられ、どこから人が確認すべきかという肌感覚が、そのまま製品側の設計判断にも回っていきます。