実施 2024.04 ・ 更新 2026.08.17
レビュー監視の目視時間を67.7%削減、ZOZOの生成AI一次判定フロー
※イメージ画像です

取り組み概要
やさしく事例解説
プロジェクト解析
実施・導入企業
こんな方へおすすめのAI解説です
- 投稿の目視チェックに時間を取られている
- 違反投稿の見落としが不安
- 人手の監視作業を減らしたい
どのようなAIの取り組み?
大規模言語モデルで投稿レビューを一次判定し、違反チェックの業務時間を67.7%削減したAI取り組み
業種
ファッションEC(小売・EC)
取り組み領域
ユーザー投稿レビューの監視・チェック
使ったAI
大規模言語モデル(LLM)を組み込んだ自社開発ツール
主な成果
違反チェックの業務時間を67.7%削減
ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営する株式会社ZOZOは、利用者が書き込むアイテムレビューをAIが巡回し、ガイドラインに反する内容を自動で拾い上げる「アイテムレビューパトロール」を自社で開発しました。ツールには大規模言語モデル(LLM)が組み込まれ、投稿されたテキストの中身を自動で解析します。ただし判定をAIだけで完結させる設計にはせず、違反の可能性が高いと判断されたレビューに限って担当者が目視で最終確認する流れを組んでいます。2024年4月の運用開始から4か月で、違反チェックにかかる業務時間は67.7%削減されました。
出典:生成AIを活用し、ZOZOTOWN上の アイテムレビューガイドライン違反をパトロールするツールを独自開発 - 株式会社ZOZO 発行元:株式会社ZOZO
やさしく事例解説
何に困って、AIを入れたのか
アイテムレビューは、利用者が商品を選ぶときの参考情報として機能します。その一方で、商品不良や配送に関する書き込みはガイドライン上レビューの対象外と定められており、以前は担当者が投稿を一から目視で確認し、対象外の内容が混ざっていないかを探していました。この全件確認が現場の重い負担になっていた、というのが出発点です。
編集部の見立てでは、困りごとの正体は投稿件数の多さそのものではなく、「大半は問題のない投稿だと分かっているのに、ごく一部の例外を見つけるために全部に目を通さざるを得ない」という構造にありました。一件ごとの判断自体は難しくありません。難しいのは、どこに紛れているか分からない少数を取りこぼさないために、確認範囲を絞れないことのほうです。負担の中身が「判断の難しさ」ではなく「探す範囲の広さ」だったからこそ、範囲を狭める道具が効いたのではないでしょうか。
どうやって、うまくいったのか
効いたのは、AIに削除まで任せず、「違反の可能性が高い」ものだけを人に手渡す形に役割を切り分けた設計です。LLMには判定が揺れる不確実性がつきまとうという前提を最初から運用に織り込み、最終的な線引きは担当者の目視に残しました。この切り分けにより、AIの精度が完璧でなくても仕組みを動かし始められます。判定を誤っても人の確認が受け止める構造になっているため、導入のハードルそのものが下がったと考えられます。
判定の対象を、汎用的な不適切表現ではなく自社のガイドラインという固有の基準に据えた点も見逃せません。商品不良や配送への言及は、一般的な意味で問題のある文章ではなく、このサービスの文脈においてのみレビューの対象外と位置づけられるものです。表現そのものではなく文章が何について書かれているかを読み取る必要があり、自然文の意図をつかむLLMの性質と噛み合っています。基準を細かく作り込むには外部ツールへの当てはめより自社開発のほうが動かしやすく、その選択が判定内容と一貫していました。
社内ニーズを起点にツールを内製し続ける進め方も、この事例を支える土台になっています。問い合わせ対応bot、記事タイトル&目次ジェネレーターといった複数のツールが同じやり方で生まれており、レビューパトロールもその流れの中にあります。大がかりな一発の導入で全社を変えるのではなく、現場が困っている単位でAIの使いどころを切り出していく積み重ねが、実際に使われる道具を生む近道になっていると読み取れます。
具体的に、どんな成果が出たのか
改善・向上したこと
推進したこと
この事例で出た成果
2024年4月の運用開始から4か月間で、ガイドライン違反のチェックに費やす業務時間は67.7%削減され、担当者が目視した件数も68.5%減っています。手を動かす量が減っただけでなく、確認すべき対象が絞られたことに意味があります。違反レビューが効率よく取り除かれることで、レビュー機能が購入の判断により役立つ情報源へ改善されていくことが期待されている段階です。なお全社的なAI活用としては、エンジニア向けに導入したGitHub Copilotについて約9割のエンジニアが生産性の向上を実感しています。
うちでも使える?
応用しやすいのは、確認すべき対象が明文化された基準で決まっていて、かつ大半は問題なしと分かっている確認作業です。SNSのコメント、社内掲示板、応募フォームの自由記述など、投稿型のコンテンツを人の目で全件見ている現場であれば、同じ切り分けが検討に値します。逆に、基準が担当者ごとの感覚に委ねられていて言葉にできていない場合や、見落としが一件でも許されず人の確認をそもそも減らせない業務では、この形はそのままでは当てはまりません。AIに任せられるのは範囲を絞るところまでで、最終判断を外せるわけではないからです。
判断の分かれ目は、「AIの判定が外れたときに、人が受け止める余地があるか」という一点にあります。そこが確保できるなら、精度を作り込む前に運用へ載せてしまうほうが早いでしょう。まずは自社のガイドラインを開き、対象外とする書き込みの例をそのまま数件書き写してみてください。基準が例文の形で示せるかどうかが、AIに任せられるかの見立てになります。
この事例は2024年4月時点の情報です。AI分野は変化が速いため、現在は同様の取り組みをより短い期間・少ない負担で実現できる場合があります。
プロジェクト解析
プロジェクト内容
AI導入・支援形態
導入部門・データ活用
導入部門:全社共通・汎用業務
活用したデータ:文書・ナレッジ
採用したAI技術・ツール
採用したAI技術:テキスト・言語AI
AIモデル・ツール
連携ツール
連携したシステム・外部サービス
プロジェクト実施・導入企業
株式会社ZOZO
ファッションEC「ZOZOTOWN」を運営する企業。代表取締役社長兼CEOは澤田宏太郎。経営戦略「MORE FASHION × FASHION TECH」に基づき、生成AIを含むAIの業務および事業への活用を進めている。
出典・参考情報
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